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世界から戦争が消える260日


【信頼し合う国際関係】



1991年にソ連が崩壊して、冷戦は終わったはずだった。これで核戦争の危険はなくなって、東西ブロックの軍拡競争も必要がなくなったはずだった。ところが、そのあとから世界はいよいよ戦争に次ぐ戦争が起こり始め、歯止めが利かないような状態になっている。

そもそもNATOは、ソ連の脅威から防衛するために作られたはずなので、ソ連が崩壊して共産圏がなくなり、冷戦が終わったのなら、もう解散してもよかったはずなのだ。もはやたがいに警戒し合う必要もなかったはずだ。ところがNATOは存続し、それどころがさらに拡大しさえした。

1991年に湾岸戦争が起こり、NATO軍はイラクを空爆した。クウェートの少女ナイラがアメリカの議会で、イラク軍が病院を襲って、新生児を保育器から放り出して殺していると泣きながら訴えたことから、イラク攻撃が決まったのだけれど、これが後に演出だったことが判明した。ナイラと称した女性は、在米クウェート大使の娘で、当時クウェートにいたわけでもなかった。アメリカ中央情報局は、広告業者も使って世論操作のために演出を行っていることが、この頃表に出てきているけれど、これはそうしたものだったらしい。

2001年に911が起こり、アメリカがアフガンに侵攻した。これも、アフガンのイスラム過激派がニューヨークのワールド・トレード・センターを自爆テロで爆破したからだということだったけれど、これもブッシュ政権が裏で手を回して行った偽旗だった。その後、アメリカは2021年までアフガンを占領し続けていたけれど、国際法も何もあったものじゃない。この頃から、勝手な言いがかりで他の国を攻撃して、あとで違っていたことがわかっても、何の責任も問われないというようなことがまかり通るようになっていった。

そして2003年には、アメリカの国務長官コリン・パウエルが、イラクが大量破壊兵器を持っていると、国連安全保障理事会で発言して、イラクの生物化学兵器だという白い粉の入ったガラス瓶を見せ、それがイラクを爆撃する理由になった。NATOはバグダッドを爆撃して、フセイン大統領を殺害し、イラクをボロボロに破壊してしまった。しかし、その後イラクから大量破壊兵器は見つからず、すべてはフセイン政権を倒すための嘘だったことがわかった。

その後は、リビアが爆撃され、シリアが爆撃された。政府軍が市民を攻撃しているという理由からだったけれど、実はアメリカが裏で組織していたテロリスト集団が暴れていたために、政府軍が鎮圧しようとしていたことがわかった。リビアのガダフィ将軍は殺され、リビアはボロボロに破壊されたけれど、これについてもアメリカは何の責任も問われていない。

ソ連が崩壊する前から、NATOによる戦争はあちこちであったけれど、しかし東西ブロックが監視し合っているような状態で、まだ歯止めになっているようなところがあったのかもしれない。だけど、ソ連が崩壊したあとは、まるでもうやりたい放題といった風だ。あからさまな偽旗がまかり通り、あとで間違いだったことが判明しても責任を問われない。国際法もまるきり無視されたままで、国際秩序など存在していないような状態だ。NATO諸国は「世界秩序」と言っているけれど、それは国連憲章でさえなく、公正さもなく、NATO独裁とでも言うべきものだ。

ソ連が崩壊したのは、レーガン政権のときの軍拡競争で、ソ連が経済的に破綻してしまったからだったそうだ。これも、アメリカの軍事政策を決めているランド研究所が、ソ連を崩壊させる目的で提言したことだった。軍拡競争の一方で、サウジアラビアに石油の産出量を増やさせて、石油の値段を暴落させた。それで、ソ連は石油からの収入が激減して、破産してしまった。その後は、西側諸国の言うなりに国家事業を私営化していって、西側資本に植民地支配されているのと同じ状態になった。西側資本に依存することでようやく経済を保っているようなことになっていて、国は腐敗しまくり、もはや国際的な影響力を持てるような状態ではなくなった。

第二次世界大戦後、NATOを作り、冷戦状態を作り、何とかしてソ連を孤立させ、崩壊させようとしていたアメリカ政府としては、長年の願いがついに叶ったということだったのだろう。ロシアの豊かな地下資源をタダ同然の値段で手に入れ、ソ連と同盟を結んでいた国々を、言いがかりをつけて攻撃して、傀儡政権を据えたり、反政府派をテロ化させて、政府を乗っ取らせたりした。そして、冷戦が終わって必要なくなったはずのNATOが、東に拡大し続けていったのだ。

それが、2000年にプーチンが大統領に就任すると、変わっていった。エリツィンの下で働いていたプーチンを、西側諸国はエリツィン同様に操れると思って大統領に推したらしいのだけれど、これが西側諸国にとっては期待はずれだった。プーチンは就任してすぐに、企業家たちを集めて、今後は不正は許さないから、明日から政治家を買収するのはやめて、会計を透明にするようにと言い渡した。8割の企業家は、これまでの犯罪を追及されないのならと、それに従った。残りの2割の企業家は、これまで通りにやろうとして、追及され、追放された。それで、ロシア経済は復興し、2006年には莫大だった負債も返済され、国は豊かになった。

NATOが他の国に軍事介入するのも、つまりは自由化とか民主化のためと言って、傀儡政権にすげ替えるためなのだけれど、その傀儡政権が、西側資本がその国を事実上、植民地化することを許すのだ。だから、NATOの攻撃は、事実上、植民地化の戦争だと言える。ソ連が崩壊したのは、軍事攻撃されたからではなくて、軍拡競争で経済が破綻したからなのだけれど、結果は同じことだ。それでゴルバチョフが西側資本にソ連を植民地支配させることになり、プーチンがその支配からロシアを解放した。

昨年2月にウクライナの内戦にロシアが軍事介入するまでは、そんなことはほとんど知られていなかった。西側メディアの報道があまりに一方的なので、SNSから入ってくる現地の情報を追っているうちに、これまで隠されてきた闇の世界が次々と見えてきたのだ。ロシアの脅威という神話がどこから生まれたのか、NATOがどんな組織なのか、そもそも東西ブロックとは何だったのか。軍事介入を始めるときのスピーチで、プーチン大統領はすでにそうしたことについて、世界中に向かって語っていた。そのときには、何のことなのかわかっていなかったことも多い。だけど、あれから一年半以上が経った今、あのときプーチンが語っていたことが何を意味していたのかがようやくはっきりと理解できる。ロシアは初めからウクライナが敵だとは思っておらず、NATOを操っている勢力を相手にしていることを意識していたのだ。そして、NATOは平和を目指している組織などではなく、攻撃を正当化するためにありとある嘘をつく組織だということもだ。その意味で、ロシアは再び第二次世界大戦のときに侵略してきたナチス・ドイツと同様な存在と敵対していたとも言える。

プーチンが大統領に就任して一年後の2001年9月、911が起こったその2週間後に、プーチンはドイツの議会で有名なスピーチを行った。プーチンがまだ48歳だったときのことだ。そこで彼は、冷戦が終わったのにもかかわらず、多くの国々はまだ東ブロック西ブロックで考えるのをやめていない、と言っている。安全保障を考えるときに、いったい誰から、何から防衛しなければならないのかを考えるべきだと。NATO諸国は、もう敵対する相手がいないのに、まだ敵対しているかのように動いている。国際的な協力関係をと言いながら、私たちはまだたがいに信頼し合うということを学んでいない、と。

それはナイーブにも聞こえる話だけれど、あれから20年以上が経った今、プーチン政権のロシアが、まさに相互的な信頼関係を作り上げていくことにより、NATO諸国に勝ってしまったのだ。先日ソチで行われたヴァルダイ・クラブという、国際地政学フォーラムのようなイベントでのスピーチで、プーチンは、西側諸国がいう世界秩序とは、ヘゲモニーと新植民地主義に他ならないということを言っている。そして、永続する平和に必要なのは、誰もが平和に暮らせるという安心感を持て、自分の意見が尊重されると感じられることなのだと。そしてそのためには、権力のバランスが取れていて、覇権主義者たちが、誰かにどのように生活し、どのように振る舞うべきなのかを強制したりしないようになっていることが必要だと。

ロシアは、シベリアから極東まで、幅広い文化圏にわたっていて、すべての民族とこのような信頼関係を築くべく、何世紀も努力してきた。民族の伝統文化は、生き物のように全体として機能しているので、その全体を見なければ、本当に理解することはできない。それは容易なことではないけれど、しかし、そうやってたがいに信頼関係を築けたとき、そこにできる平和は永続する。そうしたやり方は、ロシア帝国の時代からの伝統であり、ロシアの不思議な強さは、実はまさにそこにあったのだ。そして、ロシアは今、その信頼関係のネットワークによって、世界をNATOの覇権主義から解放しようとしている。

ロシアが要求する多極的な世界秩序とは、民主主義にほかならない。これまで西側諸国は、民主主義と言いながら、世界中に自分たちの勝手な価値観を押しつけてきた。植民地主義の感覚のまま、民主主義を語っていたのだ。民主主義は、たがいに信頼し合い、平和的に問題を解決することができると信じるところからしか始まらない。

20年前には、たがいに信頼し合うことを学ぶべきだというプーチンの主張は、若い政治家のナイーブな理想論のようにしか受け取られなかったかもしれない。しかし、世界は今、まさにその信頼の力による結束で、NATO諸国の独裁から次々と独立していっている。それは、フランスの傀儡政権を倒したニジェールに対して、フランスが介入できない状態なのもそうだ。今年に入って、世界各地で行われた国際フォーラムやサミットでも、私たちはそのさまを見ることができた。それは、多様な民族がありのままに交流する多極化世界のルネサンスを思わせた。そのさまを見て、世界中の人々は、これまでの西側諸国がいう民主主義とか国際秩序というものは、一方的に上から押しつけられる独裁主義的なものでしかなかったということに気づいていったのだ。

私たち人間は、本当はこんな風にたがいに信頼し合い、理解して受け入れ合うことができるのだ。そして、そうしたときに、誰にとっても心地よく、それぞれがありたいようにあるだけで、多様性が開花していくような世界ができていく。そうした世界が、ようやくここまで大きくなっていったということを、今回のヴァルダイ・クラブのプーチンのスピーチは、示しているようだ。

2023年10月6日


ロシアのカンタラクシャ保護区の風景

ヴァルダイ・クラブのスピーチの要約です。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid0zqri8zmV8KhRs73LMRPcMygmw7jWf2YgrvHcA8adXuHYECRgMqGnxeTtFYAoMnmYl&id=100066546578635

🎙🇷🇺V.V.プーチン露大統領が第20回国際討論クラブ「ヴァルダイ」の本会議で演説 要点 ☝🏼主に西側の繁栄は何世紀にもわたって植民地を略奪することで達成されました。これは事実です。実際、このレベルの発展は地球全体を略奪することで達成さ...

Posted by The Embassy of the Russian Federation in Japan on Thursday, October 5, 2023

ヴァルダイ・クラブのスピーチの全文。これはドイツ語です。
https://www.anti-spiegel.ru/2023/putins-grundsatzrede-ueber-eine-neue-weltordnung/?fbclid=IwAR0R_Wt3tZvU8PAAT2YZWGFy3IktrSpsmP0LWsab-_qYwz4CtCrkra5tcqQ

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【すぐに戦争を終わらせる方法】



パレスチナがイスラエルのテルアビブ付近をミサイル攻撃したというので、また戦争状態になっているらしい。西側諸国は一斉にパレスチナを非難していたけれど、ロシアとベラルーシとトルコは、両方に対してすぐに停戦して、外交的に交渉をと呼びかけていた。グルジアはイスラエルを支持すると言い、イランはパレスチナを支持すると言ったそうだ。

この一年半ほど、ウクライナのことで国際紛争がどのようにして起こるのかを見ていたから、こういう外国の反応を見ただけで、何が起こっているのかはだいたい見当がつく。先にミサイル攻撃したのだから、パレスチナが悪いのだろうという風に見えるけれど、これはおそらくイスラエル側からの攻撃があったからのことなのだ。昨年2月にも、ロシアがウクライナに侵攻したと西側メディアが一斉に報道していたけれど、それはウクライナ軍がドンバスを8年も前から攻撃していたからだった。ロシアが戦争を始めたのではなくて、戦争を終わらせるために介入に入ったのだ。

すると、アメリカの軍事専門家であり、元国連の武器監査官のスコット・リッターが、イスラエルの部隊がガザの深部で攻撃を行う軍事作戦を行っていたということをテレグラムに書いていた。パレスチナのこのミサイル攻撃は、それに対する返答だというのだ。パレスチナは、この軍事作戦を行っていたイスラエルのニムロッド・アロニ准将を捕らえたと言っているそうだ。

NATO諸国は、紛争が起こったというと、すぐにどちらが悪いと非難する。そして、戦争を終わらせるために、軍事援助をするべきだと言う。その結果、戦争は終わるどころかいよいよ激しくなって、何年も続くようなことになる。まさにこの状態を作り出すために、西側諸国は動いているようだ。

数日前に、トーマス・レーパーの「ウラジミール・プーチン ー あなたたちは自分が何をしたのかわかっていますか?」という本が届いて読み始めたところなのだけれど、これは戦争と平和に関するプーチンの演説についての本だ。副題の「あなたたちは自分が何をしたのかわかっていますか?」というのは、プーチンが2015年の国連総会で言った言葉で、イラクやシリア、リビアにNATOが介入した結果、平和も民主主義も逆に破壊されてしまったということを批判して言っている。

この本を読んでいると、プーチン政権のロシアは、つねに戦争を終わらせようとして軍事介入をしていたことがわかる。ところが、ロシアが軍事介入を始めると、西側メディアがとたんに「ロシア侵攻」と書き立てて、ロシアを非難し始めるのだ。これは昨年2月のウクライナに始まったことではなく、チェチェンでも南オセティアでも、シリアでも起こっていたことだった。

シリアのことでは、NATO諸国は何故テロリストグループの武器供給ルートを攻撃しないのかとプーチンは批判していた。実のところ、アメリカが裏でテロリストグループに武器を送っていて、シリアを攻撃させていたのだ。ロシア軍がシリアに介入すると、まっ先にテロリストグループが石油を輸送していたトラックの列を破壊した。そうやってテロリストの武器供給ルートを断ってしまうことで、紛争を早々に終わらせたのだ。ところが、ロシアが軍事介入を始めたら、ロシアが侵攻したと言って、西側メディアが一斉に攻撃し始めた。それが毎回のことだった。

テロを起こしている方の軍事拠点を速やかに破壊してしまい、攻撃できないようにしてから、停戦交渉させるというのが、ロシアのやり方だ。どちらを支援するとかいうことではなくて、なるべく速やかに攻撃をやめさせて、市民の犠牲を減らすことを目的にして、軍事拠点を破壊する。そして停戦させるときには、武器を置いて攻撃をやめるならば、罪は問わないという条件を出すのだそうだ。それというのも、攻撃をやめたら処刑されるということだったら、向こうもあくまで戦おうとするからだという。だけど、戦いをやめれば罪は問わないという条件なら、武器を置く可能性が高くなる。実際、テロ行為を行っている人たちも、虚偽の情報に煽られていたり、心理操作で操られている人の方が多いわけで、こういう人たちは、条件が変われば、すぐに平和的になる。だから、そうすることで、国を速やかに平和にすることができる。ロシアは、チェチェンでもこういうやり方をしていて、それで大きな成功を収めたということだった。

ウクライナでも、ロシア軍はウクライナの捕虜に対してとても寛大に扱っている。彼らを政府に騙されている犠牲者だと考えて、人間的に扱い、もう戦わないと宣言したら、そのまま釈放したりもしていた。ウクライナでは、ロシア軍は残虐で、捕まったら殺されると言っていたから、人間的に扱われただけで、ウクライナ兵はびっくりして、自分たちが騙されていたことに気づき始めるそうだ。

プーチン大統領は、就任したばかりの頃に、企業家たちを集めて、明日から法律を守って、政治家を買収するのをやめ、会計を報告して税金をちゃんと払えば、これまでのことは赦すと言った。あれはまさに紛争を治めるときのやり方だったのだ。実際それによって、ロシアは速やかに腐敗を一掃して、経済を立て直すことができた。8割くらいの人たちは、もともと平和的な人たちだからなのだ。その話を最初に聞いたときには、一体どこからそんな天才的な発想をプーチンは思いついたのかと思ったけれど、彼は諜報部で長いこと勤めてきて、ロシアが紛争地の調停で行う手法をよく知っていたのだろう。

アメリカの元大統領トランプは、ウクライナの戦争を一日で終わらせることができると言っていた。アメリカの大統領ならば、武器供給をやめるという手があるので、軍事介入するまでもなく、戦争を速やかに終わらせることもできるわけだ。攻撃の手段を断ってしまい、それ以上戦闘を煽らないこと。そして、両方の言い分を聞いて、たがいに納得できるような条件を出すこと。実際、ほとんどの戦争は、そんなことで簡単に終わってしまう。それが延々と長引いているのは、戦争を煽って、武器を送り続けている勢力が存在するからにすぎない。

アメリカの軍事顧問を長年勤めてきたブレジンスキーという人がいて、その人は1997年にThe Grand chessboardという本を書いている。この本は、アメリカが世界で唯一の支配勢力であり続けるために、分断統治の手法を使うべきだということを説いている本なのだそうだ。つまり、他に影響力を持つ国が現れたら、その国が協力し合っている国と敵対するように持っていく。それで、たがいに戦わせておいて、両方を消耗させてしまうことで、アメリカの優位を保つということを勧めているそうだ。

まさにこの分断統治の手法で、アメリカ諜報部は裏で手をまわして、ウクライナをロシアに敵対するようにしてしまったのだ。同じことはチェチェンでもグルジアでもやっている。アラブにおいては、イスラエルを作ったのがまさにそれだし、日本に満州国を作らせたのも、同じ目的からなのだろう。絶えざる紛争の源を据えておくようなものだ。ロシアとヨーロッパの間にも、ロシアと中国と間にも、アラブとアフリカの間にも。それで、たがいに協力し合えないようにしてしまい、アメリカの言うなりになるように持っていくわけなのだ。

2003年にイラク戦争が始まったときには、まだフランスとドイツはロシアとともにアメリカを批判していたそうだ。ところがその後、フランスもドイツも、アメリカ寄りの政権になってしまった。あの頃からヨーロッパでも選挙がおかしくなって、世界経済フォーラムのヤンググローバルリーダーばかりが首脳になるようになったから、つまりはアメリカの分断統治政策でやられてしまったのだろう。それ以来、ヨーロッパはアメリカの言うなりにロシアに敵対するようになった。それでロシアは、ヨーロッパとも切り離されてしまい、ロシアが軍事介入して戦争を終わらせようとすると、ロシアが侵攻したとヨーロッパも一緒になって叫ぶようになったわけだ。

そういう背景を見ていくと、世界で戦争が終わらないのも、実は単に煽り続けている勢力がいるからにすぎないことがわかる。分断して敵対させ、武器を与えて戦わせるのをやめれば、世界は速やかに平和になるのだ。どんな国だって、殺し合い破壊し合うようなことはしたくないのだから、たとえ問題が起こったとしても、交渉で解決することの方を選ぶ。国連とか軍事同盟とかいうものは、本来、国際間の問題が生じたときに、戦いをやめさせるための介入を行うべきものなので、世界を平和にしようと思ったら、どちらが悪いかを決めて、どちらかに武器援助をするようなことは、すぐさまやめるべきなのだ。

そういう視点で見ると、今のNATO諸国の反応が、いかにアメリカの分断統治政策そのものかということがよくわかる。すぐに戦争をやめさせる方法など実はいくらでもあるのに、わざわざ煽って激化させているようなものなのだ。まずは停戦させて、両方の言い分を聞くことが大事なのに、話を聞く前から、どちらが悪いと非難している。そのこと自体が実は戦争を作り出しているのだということを、私たちはまず知るべきなのだ。

2023年10月7日


ロシアがフランスとドイツと親しかった頃。当時のフランス大統領ジャック・シラク、ロシア大統領プーチン、ドイツ首相ゲアハルト・シュレーダー。

Let’s be clear—the greatest threat to Israeli security today is Benjamin Netanyahu. Every problem that haunts Israel today can be traced back to his paranoid schizophrenia/Islamophobia. He helped kill Yitzhak Rabin, Israel’s last real peacemaker. Israel has suffered since.@realscottritter


スコット・リッターさんからです。
イスラエルの平和を脅かしているのは、何よりもネタニヤフだと言っています。ネタニヤフは最後の平和主義者イツハク・ラビンの暗殺に関わった。それ以来、イスラエルは苦しんでいる、と。
イツハク・ラビンは、イスラエルの首相だった人で、1995年に暗殺されています。その後ネタニヤフが首相になっています。
イツハク・ラビンは、パレスチナのアラファトと和平を結んで、アラファトとともにノーベル平和賞を受けています。そのことで、右派のイスラエル人たちが抗議デモを行い、イツハク・ラビンは暗殺されました。
それ以来、ネタニヤフが極右路線を行っていて、イスラムを絶滅させようとしているので、イスラエルに平和はなくなったということのようです。

イツハク・ラビンは、ホロコーストの後で移住したドイツ系ユダヤ人ではなくて、1920年代に移住したロシア系ユダヤ人の息子ですね。イギリス統治下のエルサレムに生まれて、テルアビブに移住しています。当時のパレスチナで点々とあったユダヤ人居住地としてのイスラエルに生まれた人です。

イツハク・ラビンの後で首相になったネタニヤフは、やはり20年代にイスラエルに移住している家族の息子ですね。この人は、アメリカに行っていて、ハーバードで政治学を勉強したとあります。その辺で、後ろにアメリカDSがついている感じですね。首相に選ばれたときの選挙の頃に、パレスチナの攻撃が激しくなって、当時の首相がそれに対処できないと批判されたそうですが、パレスチナのテロリストにもアメリカから工作員が送られている可能性もありそうです。

これはドイツ語のトーマス・レーパーのハマスとイスラエルの紛争についての記事です。ロシアのタス通信の記事のドイツ語訳ですが、各国の反応が書いてあります。


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【イスラエルはユダヤ人の故郷なのか?】



イスラエルという国は、国を失って世界中に散っていき、迫害され続けたユダヤ人たちに、故郷を返そうということでできた国だ。だけど、イスラエル人たちは、実はほとんどがパレスチナを追われたユダヤ人の子孫ではない。イスラエルは彼らが失った国ではないし、パレスチナは彼らの先祖の故郷でもないのだ。だけど、イスラエルについて語るとき、多くの人々は、国を失ったユダヤ人たちには、イスラエルに国を持つ権利があると思っている。

イスラエルの国民のほとんどは、ヨーロッパのユダヤ人たちなのだけれど、そもそもヨーロッパのユダヤ人は、ハザール王国のユダヤ人の末裔であって、パレスチナには何のルーツも持っていない人たちだ。ハザール王国というのは、もともとテュルク系の遊牧民族が作った国で、黒海とカスピ海の間にあるかなり広大な王国だ。この国が、9世紀にユダヤ教に改宗したというのだ。当時はこのあたりは、東ローマ帝国が正教会で、東側はイスラム共同体だった。ハザール王国は、もともと多神教を信じる遊牧民がほとんどだったけれど、ユダヤ教徒もキリスト教徒もイスラム教徒もいたそうだ。それが、王国を挙げて改宗することになった。当時、住民のほとんどはイスラム教徒だったけれど、支配者層は皆ユダヤ教に改宗した。これは、正教会の東ローマ帝国にもイスラム共同体にも組みさないようにするためだったのではないかと言われている。

だから、ハザール王国のユダヤ教徒たちは、宗教的な信条があって改宗したわけでもなく、政治的な理由からユダヤ教徒になっただけなのだ。この王国は、10世紀には滅びてしまったけれど、ヨーロッパのユダヤ人たちは、ほとんどがこのハザール王国の改宗した支配者層の子孫だと言われている。

そのハザール王国の末裔のユダヤ人たちに、イスラエルの国を持たせるということになったのは、1917年にイギリス政府がロスチャイルドに、バルフォワ宣言といって、パレスチナにユダヤ人居住区を作るという約束をしたからだった。ロスチャイルド家は、やはりハザール出身のユダヤ教徒の家系だけれど、金融資本家として財をなしてきた。利子を取ってお金を貸すことは、キリスト教でもイスラム教でも禁じられているけれど、ユダヤ教では許されている。ユダヤ人は、普通の職業に就くことができなかったから、金貸し業をするしかなかったのだという説もあるけれど、とにかくこのユダヤ教徒の一族は、金貸し業で財をなし、イギリス王家にお金を貸して、影で政治を動かす力を持つまでになったのだ。

その一族に、イギリス政府がパレスチナにユダヤ人の里を作ることを約束したのだ。当時、パレスチナはオスマン帝国の領土で、イギリスはこの土地を植民地にしようとしていた。だから、ロスチャイルドとの約束は、おそらくは戦争のための資金援助と引き換えだったのだろう。軍資金を出してもらう代わりに、パレスチナを占領できたら、イスラエルの土地を渡すというような約束だったのだ。それで、第一次世界大戦後に、パレスチナに最初のユダヤ人の植民地ができた。これが、徐々に拡大していった。

金融資本家のユダヤ人一族は、イスラエルの国をもらいはしたけれど、自分で住もうとはしなかった。自分たちは、ロンドンやパリやニューヨークに豪邸を持っていて、世界中で迫害されているユダヤ人たちにイスラエルに移植させたのだ。ナチス・ドイツがユダヤ人を迫害したのも、実はドイツのユダヤ人たちをイスラエルに行かせるためだったという話もある。ジグムント・フロイトもアインシュタインもユダヤ人だし、多くのユダヤ人たちは、ドイツで尊敬されて、満足した暮らしをしていたから、いくら約束のシオンに住めると言われても、そんなところへ行こうとはしなかった。それで、ナチスにユダヤ人を排斥させて、イスラエルに移住させようとした。実におぞましい話だけれど、ユダヤの金融資本家たちは、イスラエルの国を作るために、同じ仲間であるはずのユダヤ人を迫害させたのだ。

これがどこまで本当なのかはともかく、それで第二次世界大戦後、ヨーロッパのユダヤ人たちが、大勢イスラエルに移住することになった。すると、第二次世界大戦が終わったとたんに、イスラエルとパレスチナのアラブ人たちの間で、戦争に次ぐ戦争が始まったのだ。1947年には、国連が介入して、パレスチナを半々に分割して、イスラエルと分けることになった。ところが、その後、何度も戦争が起きて、イスラエルはパレスチナの全域を占領していった。今では、パレスチナはガザのところにわずかな土地があるばかりだ。

イスラエルを作った金融資本家は、まさにこの状態を作り出そうとして、ヨーロッパの人々をイスラエルに送り込んでいったのだ。戦争に次ぐ戦争。この金融資本家が、国々に戦争をさせることで、財をなしていったことを考えれば、ある意味、当然のなりゆきだと言える。イスラムの土地に、ユダヤ人の国ができたら、紛争になるに決まっている。アラブ人の方も、イスラエル人の方も、住む土地を奪われるという恐怖を感じさせられて、必死に戦おうとする。それで、世界でも最高の軍隊を持たせ、武器を送り込んでいる。そればかりか、パレスチナの方にテロリストを組織して、攻撃させているという話もある。どこまで本当なのかはわからないのだけれど、停戦交渉があって、平和になりそうになると、とたんにまたテロがあったり、極右の政権ができたりして、また戦争になるのだから、戦争が絶えないように、裏で操作しているように思える。その結果、イスラエルはすでになけなしになったパレスチナを攻撃する口実ができて、今ではパレスチナ人を絶滅させるような勢いだ。

これも、アラブ諸国を分断させて、たがいに争わせ、強くならないようにして、イギリスやアメリカが世界を牛耳れるようにするためなのだ。イギリスやアメリカの政府がというよりも、このすべてを裏で操っている金融資本家たちがだ。イスラエルという国は、まさにそのための駒にするために作られたようだ。イスラエルに追いやられた人々は、絶えず国を奪われるような恐怖を与えられて、戦わされている犠牲者だとも言える。

ところで今、10月6日からパレスチナのハマスという過激派グループが、イスラエルを激しく攻撃し始めて、戦闘状態になっているのだけれど、どうもこれまでのイスラエルとパレスチナの間の戦争とは違うようだ。世界で最強の軍隊を持っていて、難攻不落のはずだったのに、ハマスはイスラエルの軍事拠点を占領してしまった。それで、難攻不落のイスラエルという神話が崩れたと、フランスのフィガロ紙で報道していたそうだ。そのせいか、アラブ諸国では、パレスチナを支持するデモが各地で行われているという。ハマスの攻撃は、非常によく計画された巧妙なものだと、アメリカの軍事専門家のスコット・リッターは言っていた。これには、イランの諜報部が関与したんじゃないかとも言われていたらしいけれど、イランはそれを否定していて、どっちなのかはわからない。しかしとにかく、どうもこれまでのような、イスラエルが反撃してきて、結局さらに領土を取ってしまうというパターンではないようなのだ。

アラブ諸国では、これはこれまでイスラエルがしてきた残虐に対しての正当防衛だと見ているらしい。今のイスラエルの半分はあったパレスチナが、今や絶滅寸前のところまで追い詰められているのだから、それはそうなのだろうと思う。西側メディアは、パレスチナがテロ攻撃をしたと非難しているけれど、これはイスラエルがこれまでしてきたことから考えて、当然起こるべきことだと考えている人も、世界中にたくさんいる。

もともとユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、同じ唯一神を信じていて、同じ宗教なのだ。イエス・キリストもムハンマドも、同じ神の預言者として出てきている人たちだ。宗教が組織化されてくると、神が禁じていた偶像崇拝を始めたり、金貸し業を始めたりする。だからまた、教えを純粋にするために預言者が現れることになる。だから、本当に信仰を大事にしているのであれば、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教もたがいに尊重し合えるはずなのだ。意外に聞こえるかもしれないけれど、イスラム教徒はユダヤ教もキリスト教も信じている。イスラム教では、「片手にコーラン、片手に剣」と言って、改宗を迫ると思われているけれど、あれは昔のアラブの遊牧民の無法者たちに対してであって、ユダヤ教やキリスト教、仏教のような宗教に対してではない。ちゃんとした信仰体系を持つ宗教は、イスラム教では「啓典の民」といって、たがいに尊重することになっている。だから、イスラム帝国には、キリスト教会もシナゴーグも仏教寺院もあって、平和的に暮らしていたのだ。実際、イスラエルができる前までのパレスチナは、大多数がイスラム教徒ではあったけれど、キリスト教徒もユダヤ教徒も一緒に暮らしていたそうだ。

だから、宗教の対立で戦い合うのは当然だというのは、実はイスラエルができてから作られた状況だったのだ。イスラエルがアラブ人たちを排除するから、戦闘が絶えないようなことになる。ユダヤのラビのエルハナン・ベックという人は、パレスチナの旗を持って、「ユダヤ人が平和になるために、イスラエルをなくすことを求めます。パレスチナにすべての土地を返し、そして一緒に平和に暮せばいい」という動画メッセージを出していた。シオニズムは人種差別的だ、これは間違いだ、と。本当に信仰を持っている人ならば、ユダヤ教徒だろうとイスラム教徒だろうと、同じ結論になるはずなのだ。たがいに排斥し合うことが宗教だというのは、金融業を行うためにユダヤ教徒であり続けた資本家一族が作り出した状況にすぎない。

市民を無差別攻撃するハマスのやり方は明らかに非道だけれど、これもこれまでイスラエルがやってきたことなのだ。とにかく今、イスラエルが激しく攻撃されているという、これまでになかった事態になっている。これであるいは、イスラエルがパレスチナの言い分を聞いて交渉する気になるのかもしれない。アメリカはイスラエルに武器を送るようだけれど、アメリカの武器が最強ではないのは、もうウクライナの戦争で世界中が知ることになった。パレスチナが絶滅の危機にさらされることになれば、イランやその他のアラブ諸国が黙ってはいないだろう。

この半年で、アラブ諸国はたがいに和解して、強力な関係を作っている。もうこれまでのように、アメリカがアラブ諸国を黙らせて、イスラエルを拡大させるという風には、いかなくなっている。これは、アフリカで次々起こっているクーデターと同様に、西側諸国の覇権主義から独立していこうとする流れなような気がする。西側諸国はイスラエルを支持するだろうけれど、世界の多数派の国々は、停戦交渉とパレスチナの土地を1967年のものに戻すことを支持するだろう。これまでは、アメリカ政府を裏で操っている金融資本家が世界をいいようにしてきたけれど、もはや世界の多数派は、彼らの言う通りにはならなくなっている。それが今、形になって現れ始めているのじゃないかと思う。

2023年10月9日


アメリカのユダヤ教のラビ、エルハナン・ベック


パレスチナとイスラエルの歴史。


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【武器を送る国と話し合う国】



10月6日にパレスチナの過激派グループ、ハマスが、イスラエルの市街をミサイル攻撃し始めてから、イスラエルとパレスチナで戦闘状態になっている。アメリカは、すぐさまパレスチナを非難して、イスラエルを援助すると言った。それで、航空母艦をイスラエルに送ったということだった。

ウクライナの戦争が始まったときも、西側諸国はすぐさまロシアを非難して、ウクライナを支持すると言ったけれど、事情もわからないうちから、どうしてそんなことが決められるのかと思う。もちろん、こういう反応をする政治家たちは、公正な秩序とか平和的な解決とかに興味があるのではなく、政治的な利害関係で動いているのだ。

アメリカやその他のNATO諸国は、パレスチナが悪いと言ったけれど、それ以外の国々は、これまでイスラエルがパレスチナにやってきたことを考えれば、当然の反応だという見解なようだ。ハマスが市民を無差別攻撃するやり方は非道だし、国際法にも違反しているけれど、それを言ったら、イスラエルはパレスチナに対して、非道なことをその何十倍もやっている。だけど、それについては言わないで、パレスチナの非ばかりを責めるのだ。こんな風にやっていたら、いつまで経っても平和になるはずがない。

国際紛争が起きたら、両方の言い分を聞いて、国際法に従った調停をするべきなのだ。ところが、イスラエルとパレスチナでは、これがまったく機能せず、まるで無法状態になっている。一方に武器を送るのではなくて、中立な平和部隊を送るべきなのに、これでは火に油を注いでいるようなものだ。

ところで、パレスチナのテロというのも、イスラエル側が誘発しているようなところもあるらしい。そもそもイスラエルという国を作ったユダヤ人は、戦争で財を成した金融資本家の一族で、国々が戦争をすればするほど、軍資金を貸して儲けることができる。それを考えれば、イスラエルが建国以来、戦争が絶えないのも、ある意味、当然のことだと言える。パレスチナがテロ攻撃してくれれば、イスラエルがパレスチナを攻撃する口実ができるから、ありがたいくらいなのだ。事実、アラブやアフリカでは、アメリカの諜報部がテロリストグループを組織して、密かに武器を与えたりしているらしい。

今回のハマスの攻撃でも、ウクライナに送ったアメリカの武器が使われていたという話がある。ウクライナは、西側諸国から大量に送られてくる武器を転売しているという話は、最初の頃からあった。ウクライナが黒海を通ってウクライナの穀物を運ぶ貨物船のための人道回廊を作る合意にこだわったのも、実は穀物のためなどではなくて、穀物船に武器を満載してアフリカやアラブに運ぶためだったというのだ。実際、黒海の港オデッサには、巨大な武器庫がいくつも新造されていたそうだ。穀物ではなく、武器がここからウクライナに出入りしていた。

ハマスの攻撃を、どうしてイスラエル諜報部は事前に知ることができなかったのかということが、SNSでしきりと交わされていた。ところで、エジプトの諜報部はかなり前からハマスの計画をキャッチしていて、イスラエル諜報部に伝えていたというのだ。何度も伝えて警告したのにもかかわらず、イスラエルは無視したそうだ。それで、イスラエルはハマスに軍事拠点を占拠されてしまい、イスラエルの市街でハマスが暴虐をふるうという事態になった。

これについて、ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーは、イスラエル首相ネタニヤフが、国民の意識を逸らすために、わざとハマスに攻撃させたのではないかと言っていた。それというのも、ネタニヤフは司法改革のことで国民から批判されていて、イスラエルでは10万人も集まるような大きな抗議デモが半年も前から続いているというのだ。この司法改革は、これが通れば、ネタニヤフ自身が法の追及を逃れることができるというようなものらしい。実際、6日にハマスの攻撃が始まって戦争状態になったら、イスラエル人たちの意識から司法改革のことがすっかり消えてしまい、世論はネタニヤフ支持に変化したそうだ。

誰が得をしたのかを見て、得をした人物をまず疑うのが、犯罪捜査の原則だ。他にハマスの攻撃で得をしたのは、アメリカの軍事産業だった。特にハイマースミサイルを製造している会社の株が、急激に上昇したそうだ。それを考えれば、軍事産業が背景についているアメリカ政府が、すぐに武器を送ることにしたのも、納得できる。実に恐ろしい話だけれど、この人たちにとっては、犠牲になる人のことよりも、株価が上がることの方が大事なのだ。

ユダヤ人にイスラエルの土地に国を持たせるべきだという考えをシオニズムと言うのだけれど、これは実のところ、過激な民族主義にすぎない。それでイスラエルは、ユダヤ教の理想に従って皆で平和に暮らそうとするのではなく、そこに住んでいたパレスチナ人たちを排除しようとするのだ。そしてそれが、正当なことだと思っている。それでユダヤ教は選民主義だとか言われているのだけれど、正統派ユダヤ教のラビ、エルハナン・ベックという人は、パレスチナの旗を持って、シオニズムには反対です、という動画メッセージを出していた。イスラエルの国などは完全に失くして、ユダヤ人もパレスチナ人も平和に暮らすべきだというのだ。実のところ、正統派ユダヤ教徒の人たちは、ほとんどが反シオニズムなのだそうだ。ユダヤ人が選ばれた民で、他の民族よりも優秀なのだという考えは、過激な民族主義で民族差別的だし、これこそは戦争の源だ。本当のユダヤ教の理想が、そんなものであるはずがない。

ある民族が他の民族よりも優秀だという考えは、ナチズムもそうで、そこではゲルマン人が優秀で、ユダヤ人やスラブ人は劣等だという考えだった。まさにそれによって、ナチズムはもともと平和的なドイツ人たちを殺人兵器のようにしてしまうことができたのだ。これは、今のウクライナ人もそうだ。ウクライナ民族だけが優秀だという考えから、他の民族は下級市民の扱いで、ロシア系に至っては、人間以下のものだから、殺してもいいのだと言っている。2014年のマイダン革命後にできた政権は、ウクライナ至上主義を取っていて、それ以来、学校でも子供たちにロシア人は人間以下だと教えているという。

ウクライナ防衛省報道官をやっていたアメリカ人のトランスジェンダー、サラ・アシュトン・シリロというトランスジェンダーは、「ロシア人と私たちの違いは、私たちは人間だけれど、ロシア人は人間ではないということです」と愛らしい笑みを浮かべながら言っていた。そして実際、そのように言われてきたウクライナの若い子たちは、ロシア人なら市民でも女性でも、殺すことが平気になってしまっている。

アメリカの軍事専門家のスコット・リッターが、イスラエルの退役軍人2人ののインタビューをシェアしていたのだけれど、その中で、彼らはパレスチナの市民を虐殺したことを、笑って話していた。両手を挙げている子供たちを全員撃ち殺したと言っていた。一人も捕虜になどせず、皆殺しにしたと。村人を火炎放射器でひとところに追いやって火を放って焼き殺したとか、鉄の檻に閉じ込めて機関銃で撃ち殺したとか、そういうことを、まるで若い頃の武勇談でもするみたいに、うれしそうに話しているのだ。

この人たちもまた、パレスチナ人は人間以下のものだと教え込まれていたのだろう。だから、残虐行為をしても、笑っていられるのだ。第二次世界大戦後、イスラエルはパレスチナの土地をどんどん占領していき、パレスチナ人たちを虐殺している。アメリカ北部で白人たちがネイティブアメリカンにやっていたのと同じなのだ。狭い居留地に押し込めていっている。今、イスラエルはガザを封鎖して、水源も電源も断ってしまい、生きていけないようにしている。いくら敵対していたって、人権というものはあるはずなのだけれど、そんなこともイスラエルにとってはどうでもいいらしい。彼らにとっては、パレスチナ人は人間以下のものなのだ。だから、それが当たり前だと思っているらしい。EUはイスラエルを支持すると言いながらも、さすがにこれは批判していて、食糧や水が供給できるよう人道回廊を開くべきだとEU大使のジョゼップ・ボレルが言っていたそうだ。

NATO諸国がイスラエルへの武器供給を計画している一方で、ロシア政府は、アラブ諸国の首脳たちとせっせと会談していた。ロシアはイスラエルとパレスチナ両方に即時停戦を呼びかけ、国際的に調停を行うべきだという見解で、ラブロフ外相とプーチン大統領が、アラブ首長国連邦やアラブ連盟、イラク、イラン、トルコの首脳と話していた。アラブ諸国もロシアと同じ見解で合意したらしい。プーチンはモスクワでイラク首相と会談して、この事態になったのは、アメリカ政府に責任があると言っていたそうだ。国際的に調停するべきなのにそうさせないようにして、イスラエルとパレスチナの両方に圧力をかけて、思い通りにしようとしていたと。ハマスが過激になってイスラエルを爆撃し始めたのは、そうしたやり方の結果なのだと。

ロシアがアラブ諸国と話しているのは、アラブ諸国がパレスチナに軍事支援するようなことになるのを防ぐためなのだろう。軍事支援するのではなく、イスラエルと西側諸国に調停させるように圧力をかける方向へ持っていくためなのだと思う。パレスチナが独立国としてやっていけるような条件を整えなければ、この戦争は永遠に続く。イスラエルとアメリカ政府は、それを拒否し続けて、パレスチナ人を排除し続けてきたのだ。そのために、パレスチナとイスラエルは国際法も人権も存在しないような無法状態が何十年も続いてきた。しかし今、アラブ諸国が結束して、西側諸国も国際的な影響力でBRICSを下回るようになり、もはや世界中をアメリカの思うままにすることができなくなってきている。だからこれは、この100年近くも続いた無法状態も、ついに終わるときが来たということなのかもしれない。

2023年10月10日


アラブ連盟のアフマド・アブルゲイト事務総長とロシア外相ラブロフの会談


https://t.me/neuesausrussland/16471

アリーナ・リップさんからです。イスラエルで戦争を支持するデモが起こっていて、イスラエルの若い子たちが、アラブ人は死ね、と叫んでます。

ウクライナと同じですね。アラブ人は人間以下のものだと言われて育ってきている子たちなんだと思います。

イスラエル防衛省は、すべての戦争法を解除したと言っているそうです。つまり、イスラエル兵は何をしても罪を問われないと。戦争犯罪は国連憲章に基づくものなので、イスラエル防衛省が勝手に解除することはできないはずなんですが、とにかくそういう風にイスラエル兵に言ってるってことです。何をしてもいいと。

プーチンとイラク首相の会談についての記事(ドイツ語)です。国連決議でパレスチナが独立国になると決まったのに、それが履行されていないことが根本の原因だと言っています。そして、何より犠牲を最小限にするために、停戦させることだと。


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【無条件の愛と寛容を学ぶこと】



イスラエルとパレスチナの永続する戦いは、人間は何故戦うのかということの根源を示しているかのようだ。政治的なことやお金の流れ、心理操作や情報操作などの関連性が次々と見えてくる一方で、人間が憎み合い、壁を作り合うという根源的な問題が、「イスラエルとパレスチナの平和を作る」と題した今日の公開魔法セッションでは、主要なテーマとして出てきていた。

第二次世界大戦後、イスラエルという国がパレスチナの土地にできてから、イスラエルはパレスチナを攻撃しながら拡大していき、ついにパレスチナの人々はごくわずかな地域に包囲されるような状態で暮らしている。東エルサレムの土地も、イスラエルに侵食されるかのように散り散りの飛び地になってしまっている。10月に始まった戦闘では、ガザの付近が攻撃されているのだけれど、その原因になったのは、イスラエルがエルサレムのイスラムの聖地に侵入して人々を攻撃していたからだった。かつてエルサレム神殿があった場所にある岩のドームとアル・アクサは、イスラム教徒にとってメッカとメジナに次ぐ重要な聖地なのだから、その聖地が敬意を払われないというようなことがあれば、パレスチナばかりでなく、アラブ諸国も世界中のイスラム教徒たちも、聖地を守るために戦わなければという空気になるのは当然のことだ。

かつてのエルサレム神殿の外壁を隔てて、その内側にアル・アクサがある。そして、その外側にあるのが、ユダヤ教の聖地である嘆きの壁だ。ユダヤ教の人たちは、その壁に頭をつけて礼拝する。壁の内側と外側とで、異なる宗教が争い合っているのが、このエルサレムの場所なのだ。最初にルートチャクラを開いて、地球の中心の生命の源まで根を下ろしてしっかり繋げるワークをやったあとで、嘆きの壁から岩のドームが見える画像を使って、その場所のエネルギーに遠隔アクセスしてみることにした。そのときに、ユダヤ教の人たちとイスラム教の人たちの両方に、何故戦っているのかと聞いて、そこで祈られている神に、一体どういうことなのか、何の意味があるのかと聞いてもらうことにした。そのときに、これまで見聞きしている情報などはすべて忘れて、頭を空っぽにして、ただ感じるままに感じてもらった。

ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、同じ神を信じる宗教だ。ユダヤ教の預言者たちは、このあとも預言者やメシアが現れると言っていた。それで、ナザレのイエスが出てきたときに、人々は預言されていたメシアが現れたと思った。ところが、ユダヤ教の権威はそれを否定した。それから、ムハンマドが現れると、人々は新しい預言者だと思った。ところが、ユダヤ教の権威もキリスト教の権威も、それを否定した。それで、3つの宗教が別々のものとして、争い続けている。

嘆きの壁の画像から戦いの状況にアクセスしてみると、まるで兄弟ゲンカそのもののイメージが見えてきた。本当は仲良くしたいのに、いがみ合っている。後から生まれてきた弟に、兄は激しい憎悪の念を抱くことがある。自分を中心にできていた世界が奪われてしまうような気がする。確かに三次元的な領域では、物理的にかぎりがあるものを分けなければならないことになる。しかし、神は無限に与える愛で、誰にでもありあまるほどに与えることができる。しかし、それに気づくことができない人間は、自分が生きていけなくなるような不安を感じて、近くにいる兄弟をこそ激しく憎むのだ。

それは、何かを学ぶために必要なプロセスなのだと、神は言っているようだった。自分を中心にした世界の他にも、違う世界が存在する。そして二つの異なる世界は、完全に共存することができる。どちらが正しいのかと争う必要もないし、奪い合う必要もない。何故なら、世界は無限だし、神の愛は無限だからだ。まさにそのことに目覚めるために、たがいに傷つけ合うような激しいプロセスを、人類は繰り返している。それは、異なる世界を認め合う寛容さというものを、ついに学ぶためなのだ。そしてそれこそは、戦いと支配の長い歴史をついに終わりにすることができるはずだ。

人は何故、壁を作るのか? 私たちは、他の民族との間に壁を作り、他の宗教との間に壁を作り、考えが違う人との間に壁を作る。そして、異なる人たちが存在していないかのように、自分たちの狭い世界だけで快適に暮らそうとするのだ。そうしたとき、異なる人たちの世界が否応もなく目の前に現れると、私たちは壁を作り、見えないようにして、侵入されないようにする。しかし、壁の向こうには、嫌な人たち、恐い人たちがいるというイメージをいつも持ちながら生きているのだ。そして、私たちが外の世界に不安を感じ、自分たちの世界に狭苦しさを感じるのは、実のところは、まさにこの壁があるからだ。もし、この壁のすべてが消えてしまって、大きな空間が開けたなら、壁の向こうにいたのは、同じ神を信じる兄弟たちにすぎなかったことがわかるのかもしれない。

ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、つまりは同じ聖地から発生した同じ宗教であり、同じ神を信じる宗教だ。それなら、この聖地のもともとのエネルギーにアクセスして、そのエネルギーとすべての人たちを繋げたら、間にできた壁が消えてなくなるのかもしれない。今はイスラム教の神殿になっている岩のドームは、もともとエルサレム神殿の内側だったところで、ムハンマドはそこで啓示を受けたと言われている。しかし、エルサレム神殿ができるもっと前には、そこにはただ丘があっただけで、アブラハムはその岩の上で息子を生贄に捧げようとして、神に留められたと言われている。

岩のドームは、もともとそこにあった岩のまわりをドームで覆っただけのもので、岩のまわりに二重に回廊が作られており、イスラム教の人たちは、この回廊をぐるぐるまわりながら礼拝する。この岩の下には「魂の井戸」と呼ばれている洞窟がある。この岩のドームの岩の画像を使って、もともとの聖地のエネルギーにアクセスしてみることにした。この建物もエルサレム神殿もなかった頃、ただ丘があっただけの場所に戻ったつもりで、そこにあった原初のエネルギーはどんなものだったのかを感じ取り、そこにいる神にアクセスしてみた。

すると、意外なことに女性的な深い慈愛のエネルギーを感じた人が多かった。ルートチャクラが深くグラウンディングするようなエネルギー、地球の女神と根っこを繋いで、守られていくような感覚。だけど、まるで宙に浮いて浮遊するような軽さがあった。

ここでアブラハムは、神がそのように命じているからと、自分の息子を生贄にしようとしたのだ。そのとき、アブラハムの頭と心は離れていたはずだ。頭では神が命じているから子供を殺さなければいけないと思い、心は自分の息子を殺したくないと思っていた。神はそのアブラハムを留めて、自分の心に従うようにさせたのだ。

神というものを自分から切り離された外にある存在として考えると、私たちは愛から離れて、どんな恐ろしいことでもしてしまう。宗教は、つねにその危険を含んでいる。アブラハムを留めた神、この岩のドームのエネルギーは、神とは私たちに心に反するようなことをさせるような存在ではないのだと言っているようだ。それは、私たち一人ひとりに与えられる無限の慈愛だ。誰により多く与えられるのでもなく、分けなければならないのでもなく、すべてに無限に与えられる慈愛なのだ。何か特別なことをしたから与えられるということでさえない。すでに与えられていることに気づくだけのことなのだ。

どちらが正しいとか、どちらがより多く与えられているということでもない。そういったことは、頭で考えようとすると難しく思えるのだけれど、岩のドームの無限の愛にアクセスしてみると、感覚として感じることができる。どうしてそんなことが可能になるのかはわからなくても、とにかくとてつもなく大きく深い慈愛があり、誰もが無限に与えられていることがわかる。

それは、自然の世界でありとある生き物たちが、それぞれのありようで、すべてを与えられ、それぞれの世界を生きていることに気づくようなことだ。この世界をよく見れば、ミクロの世界からマクロの世界まで、ありとある世界が共存していて、すべてが完璧な秩序と無限の豊かさを持ち、すべてがたがいに関わり合って、大きな世界を作っていることがわかる。アラベスク模様のモザイクのように、どこが中心でもなく、すべてが繋がっていて、しかしそれぞれがそれぞれに独自の世界を作っている。そのどこを見ても、無限の美しさと豊かさがある。それに気づいたとき、私たちはただ、この世界に生きていることに、深い感謝の念を感じ、その美しさを讃えるしかない。

このエネルギーにしっかりと根っこを繋いだら、すべての壁は消え去り、実は皆、同じ根っこを持つ兄弟だったということがわかるのだろう。それで最後に、ユダヤ教の人もイスラム教の人も、ルートチャクラを開けて、この岩のドームの原初の生命の源のようなエネルギーに根っこを繋いでみることにした。すると、シオニストの人たちは、根っこが切れてしまっていて、なかなか繋がらないようだったのだけれど、黒い衣を着て、長いヒゲを生やした正統派のラビたちが世界中からやってきて、楽しそうに歌を歌い始めた。彼らが歌を歌っていると、岩のドームの岩のところに巨大な世界樹が生えたようになって、イスラム教の人やユダヤ教の人たちも、ガジュマルの木のようになっている大きな世界樹の一部になっていった。つまるところ、神の名前や説明の仕方が違っても、同じ一つの源から生まれていた教えなのだ。それをともに信じて生きていること自体に、無限の喜びがある。だから、他の人たちがそれぞれ違う名前で呼んでいようが、違う解釈をしていようが、そんなことはどうだっていいのだ。どんな解釈だって、完全に正しいということはない。それぞれに馴染みやすい解釈があるというだけの話なのだから。

それで、この戦いがすぐに終わるというわけではないのだろうけれど、岩のドームのこのエネルギーを思い出して、戦っている人たち、犠牲になった人たち、政治家の人たちのルートチャクラを開けて、このエネルギーに繋ぐのを、それぞれにしばらくやってみてもらうことにした。何千年という戦いと支配の歴史が続いてきたけれど、地球もついに次元シフトして、平和共存する世界に移行するときが来ているのだろう。この何千年か、エルサレムのこのエネルギーが封じ込められ、たがいに壁を作り、争い合う時代を人類は生きてきたのだ。そしてそれは、無限の愛を知ることで、他の人には他の人の世界があるのだということを理解し、受け入れる寛容さを学ぶだめだったのだろう。多くの神話では、私たち人間が神を讃えることを学ぶために、神が神との繋がりを断ったのだと言っている。アダムとイブが、エデンの園から追い出されたようにだ。何千年という戦いと支配の時代を経験しながら、神の愛と豊かさが無限なのだという意味を本当に理解するに至ったとき、そこにはただ世界の無限の美しさ豊かさだけがあることがわかる。そして私たちは、それを創造した神に、ただ感謝し、讃えることができるだけだ。

2023年10月12日


熊野のおながみの森の磐座。ルートチャクラのワークで使った画像。


ガザとイスラエルの航空画像


エルサレムの聖地。金色のドームが岩のドーム、その手前の銀のドームがアル・アクサ、その手前の壁が嘆きの壁。


岩のドーム、アル・アクサ、嘆きの壁


嘆きの壁と岩のドーム。ユダヤ教とイスラム教の人たちの争いにアクセスするために使った画像。


岩のドームの内部。エルサレムの聖地のもともとのエネルギーにアクセスするために使った画像。

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【シオニストのユダヤ人と反シオニストのユダヤ人】



パレスチナとイスラエルの間で戦闘が激しくなってから、イスラエルの防衛大臣が、「私たちは人間以下の獣と戦っている」というようなことを言っていて、一体この国はどこまで非道なのかと世界中の人々を驚かせていた。実際、パレスチナの最後の居住区とも言えるガザは、自動で発砲するようになっている警報装置がついた柵で包囲されていて、まるで巨大な強制収容所だと言われているという。この地区は、電力も水道もイスラエルに依存しているのだけれど、ハマスの攻撃への報復として、イスラエルは電力も水道も止めてしまい、食糧や医薬品も供給できないように封鎖してしまった。いくら敵対していると言っても、一般市民を犠牲にするようなことは、国際法に違反する立派な戦争犯罪だ。だけど、イスラエルの防衛大臣は、パレスチナ人は「人間以下の獣」だから、そのような扱いをしてもいいと言うのだ。

EU大使のジョゼップ・ボレルは、当初はこれを批判して、生活必需品が供給できるよう人道回廊を設けるべきだと言っていたけれど、西側諸国の政治家たちが、イスラエルの反応は許容の範囲だということを言い始めたら、人道回廊の話も掻き消えてしまったようだ。実に恐ろしい話だ。ある人々を人間以下とみなして、見殺しにするようなことがまかり通っているなんて。

イスラエルは、これまでも、戦争犯罪になるような残虐行為はさんざんあったらしく、珍しくもないようなのだけれど、7日に戦闘が始まって、まだ一週間にもならないのに、イスラエルが次から次へと禁じられている残虐行為を行うのには、呆れるというよりも、わかりやすく正体を明かしているようにすら思える。禁止されている白リン弾を使っている報告があったかと思ったら、クラスター弾も使っていた。それで、子供が多く犠牲になっているという。ガザの病院も攻撃し、医薬品も電力も止めているので、負傷者を治療することもできないようなことになっている。

そうかと思ったら、今度はイスラエル軍がガザの住民を南へ強制避難させると言っている。つまり、ただでさえギュウギュウに押し込まれているパレスチナの人たちを、南の地域にさらに押し込めて、北部を爆撃しようというのだ。イスラエルは、これを機会にパレスチナを全滅させて、パレスチナのすべての土地を占領しようとしているらしい。ハマスの攻撃の計画を事前に知っていたのに、わざとやらせていたという話があったけれど、それもこれだけの残虐な攻撃を正当化するためだったのじゃないかとも言われている。それならば、イスラエル政府は、パレスチナを占領するために、イスラエルの人たちまで犠牲にしたことになる。

イスラエルという国は、ユダヤ人たちがかつて追い出されたパレスチナの土地に国を持つべきだという考えから建国されたのだけれど、このシオニズムという考えを支持していないユダヤ人は、実はかなり多いらしい。正統派ラビのエルハナン・ベックという人が、パレスチナの旗を持って、「シオニズムには反対です。あれは人種差別です」と言っている動画が世界中で拡散されていたけれど、あの黒い服を着てヒゲを伸ばしている正統派のユダヤ人というのは、基本的に反シオニストなのだそうだ。あの正統派の人たちというのは、ユダヤの教義であるトーラを学ぶことが何よりも大事だと考えていて、戒律に従って生きているので、兵役も特別に免除されている。だから、支配とか政治権力みたいなことには、そもそも興味がないのだと思う。

ユダヤ人には、東欧に多いアシュケナージ系の他に、スファラディ系の人たちというのがいる。この人たちは、パレスチナから追われてイベリア半島に住み着いていたのを、スペインに弾圧されて、北アフリカやアラブ、トルコに移動していたユダヤ人たちなのだそうだ。この人たちは髪が黒いアラブ系の人たちで、イディッシュ語ではなくラディノ語という言葉を話す。だから、同じユダヤ人と言っても、別な民族だと言える。

いわゆるお金儲けがうまくて、金融業で大金持ちになったユダヤ人というのは、アシュケナージ系の白人のユダヤ人たちで、ドイツで学者や医者や法律家になっていた富裕層もアシュケナージ系らしい。ところで、イスラエルでエリート層を成しているのは、このアシュケナージ系のユダヤ人たちの方で、スファラディ系のユダヤ人は、イスラエルの下層階層を成しているという。今の首相もアシュケナージ系のエリート層の人だけれど、ということはつまり、エリート層のアシュケナージ系ユダヤ人たちが、スファラディ系のユダヤ人たちを犠牲にするような形で戦争をしているというような構図になっているようだ。

そう見ていくと、ユダヤ教徒が問題だというようなことではなく、ユダヤ人の中に悪魔主義的な金融エリート層がいて、イスラエルを支配しているということのようだ。そしてそこでは、他のユダヤ教徒の人たちも、犠牲にされているわけだ。

パンデミックのときにも、イスラエルでは規制が厳しくて、人々は人権も奪われたような状態だった。これはEU諸国でもひどかったけれど、イスラエルは最も厳しかった。それで当時は、イスラエルの人たちを弾圧から救えというキャンペーンも行われていたくらいだった。ロックダウンで礼拝も禁止されている中で、しかし、正統派の人たちだけはあいかわらず礼拝を続けていたそうだ。政府もそれについては手が出せなかったそうだ。

だから、イスラエルのユダヤ人といっても、いろいろな人たちがいるのだ。結局のところ、多くの国民は政府の犠牲になっているわけだ。シオニズムという民族差別政策を強行しているイスラエル政府は、つまるところ、ごく一部のエリート層にすぎないのだろう。その他の大多数のイスラエル人たちは、テロの犠牲にされた上、憎しみを駆り立てられて、イスラム教の人たちと戦争させられているわけだから、911でアフガンやイラクでの戦争に駆り立てられたアメリカの人たちと、状況は似ているようだ。

パレスチナの人たちは、あれだけ攻撃されても、平気で戦い続けているようだけれど、あそこまで来たら、もう失うものなどないのかもしれない。どのみちもう巨大な強制収容所に押し込められて住んでいるようなものなのだ。ロシアやトルコは、停戦交渉を提案しているけれど、西側諸国はイスラエルに武器を送る話しかしていない。ロシアのプーチン大統領は、パレスチナとイスラエルを平和な状態にするには、東エルサレムを首都にしたパレスチナの国を作る以外にないだろうと言っていた。イスラエルの国ができたときから、国連決議でそういう話になっていたのに、それがずっと妨害され続けてきたのだ。まさにそれが、戦後ずっとこの地域に紛争が絶えなかった原因らしい。

だから、あるいはこの騒ぎでついにパレスチナの独立が国際的に認められることになるのかもしれない。東エルサレムはイスラムの重要な聖地があるのだから、パレスチナが絶滅するようなことにでもなれば、アラブ諸国がどんな攻撃に出るかわからない。この頃、アラブ諸国やロシアがイスラム諸国と会談しているのは、おそらく戦闘の激化を防ぎつつ、パレスチナ建国へ向けて動いているのだと思う。これまで分断させられていたアラブ諸国も、この半年くらいで結束して強くなったし、アフリカも結束していて、ニジェールからもフランス軍が撤退したくらいだから、時代の流れはパレスチナが独立して平和になる方向へ向かっていると思う。

パレスチナとイスラエルは、戦いと支配の歴史の根源のようなもののようだから、もしここに平和が訪れるなら、それは世界から戦いと支配が消えてなくなるということを意味しているのだろう。その時が、もう来ているということなのじゃないかという気が、私にはしている。

2023年10月13日


反シオニズムのイスラエル人たち


パレスチナ解放を訴える正統派ユダヤ人たち



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【イスラエル人は平和を求めている】



アメリカの軍事専門家で国連の元武器監査官のスコット・リッターは、現イスラエル首相のネタニヤフが、イスラエル最後の平和主義者イツハク・ラビンの暗殺に関与したということを、10月8日にテレグラムに書いていた。「私がイスラエルをもう支持しないし、もう決して支持することもない理由」と題して、彼が14日にアップしていたかなり長い記事を読むと、このことが彼の憶測や陰謀論の類ではなく、まったく現実的なことだというのが、よくわかる。

イツハク・ラビンは、イスラエル労働党の政治家で、1992年に二度目にイスラエル首相になった。1993年にパレスチナのアラファト議長とオスロ合意を交わし、1994年にはヨルダンと平和条約を結んで、アラブ世界との平和共存を実現しようとした人だ。ところが、イスラエル右派のネタニヤフは、「ラビンはシオニズムを殺そうとしている」と批判して、ラビンを殺せと煽っていた。

ちょうどその頃、イスラエルでは、パレスチナのハマスの自爆テロが相次いでいた。ハマスというのは福祉や医療なども行う組織で、パレスチナの人々に評価されているのだけれど、軍部については支持していない人も多いらしい。アラファトのパレスチナ解放機構に対抗する組織として、イスラエルのある勢力がハマスを支援していたという話があるのだけれど、イスラエルがその軍部と通じてテロを起こさせていたと思われるところがあるらしいのだ。

イスラエルの政治勢力が裏で指示してハマスにやらせたのか、あるいは自作自演なのか、それとも挑発してやらせたのか何なのかはわからない。だけど実際、平和主義的な政権を批判しようと思ったら、外からのテロが起こることほど都合のいいことはない。平和条約など何の役にも立たない、政府は国を守れないではないかと非難することができる。1994年にはテルアビブで、1995年にはエルサレム郊外で、自爆テロでバスが爆破され、数人が犠牲になった。街中のバスを爆破するなんて、市民をパニックに陥らせて、敵の脅威を感じさせるのには最適だけれど、軍事的には何の役にも立たない。

しかし、テロが相次いだおかげで、イスラエルの人々の間に、政府に反対する空気が高まっていた。1995年10月に、パレスチナとのオスロ平和合意の第2がイスラエル議会で可決されたあとで、極右のネタニヤフは、反政府集会を行って、ラビンを殺せと人々を煽っていた。その頃、スコット・リッターがイスラエルにいたときに、テルアビブの広場で平和集会が行われ、ラビンがスピーチすることになっていた。スコット・リッターが一緒に仕事をしていたイスラエル軍の人は、右派との間に衝突が起こるかもしれないから、その広場には近づかない方がいいと言った。その晩、彼がテルアビブのレストランで友達と食事をしようとしていると、ラビンが撃たれたというニュースが入ってきた。店にいた人々は、ショックのあまりそのまま無言で店を出ていった。誰もお金も払わなければ、要求しもしなかったそうだ。

多くのイスラエルの人たちは、アラブ人たちが攻撃してくるのは、イスラエルのせいなのだということをよく知っている。スコット・リッターが当時一緒に仕事をしていたイスラエル軍の人も、イスラエルがアラブに暮らしていた人たちの中に侵入してきて、攻撃しているから、彼らがテロを行ってくるのだと言っていた。問題はパレスチナにあるのではなく、イスラエルにあるのだと。実際、パレスチナの近くに住んでいたら、いつテロが起きて、巻き込まれないともかぎらない。イスラエルが軍事攻撃で対応しようとすればするほど、パレスチナ人たちの敵意が激しくなる。ごく普通のイスラエル人たちも、それを日頃感じながら生活している。だから、多くのイスラエル人たちは、政府がパレスチナを刺激しませんようにと、祈るような気持ちでいるのかもしれない。

第二次世界大戦後に起きた第一次中東戦争の前には、イスラエルのキブツが、アラブの街や村の間にポツンポツンとあって、それが軍事拠点のようになっていたらしい。キブツの人たちはアラブの人たちとも友好的な関係を持っていて、イスラエルが占領しても、アラブ人たちはそこにそのまま住めるからと言っていたそうなのだけれど、いざ戦闘になったら、キブツのイスラエル人たちは、アラブの市民を虐殺した。5000人のアラブ人が、虐殺されるかガザに強制移送された。そのとき、アラブ人たちを撃ち殺していたイスラエル人は、明らかに殺戮を楽しんでいる表情をしていて、「自分が取らなきゃ、誰か他の人が取るだけなんだから、返さなきゃいけないなんて思うことはないんだ。どうせやつらは帰ってこないんだから」と言ったそうだ。イスラエルの二人目の首相モシェ・シャレットの息子が、当時のことを回想してそのように書いていたそうだ。

1956年に、イスラエルのキブツで防衛の役に就いていたルイ・ルッテンバーグという若い男性が、アラブ人に殺された事件があった。そのときの葬儀に多くの人々が訪れたというのだけれど、そこでイスラエル軍の部隊長が読んだ弔事では、アラブ人ではなくて、イスラエルのあり方にこの死の根本の原因があるということをはっきり述べていた。その点から目を逸して、アラブ人たちを憎悪するべきではないと。

イスラエルという国は、もともとイギリスの植民地だったところを、ユダヤの国を作るためにということで、シティ・オブ・ロンドンのユダヤ系金融資本家の一族が譲り受けてできたのだ。世界中に散らばったユダヤ人たちに、もともと先祖が住んでいた国を取り戻すと言ったら聞こえはいいけれど、要はアラブを植民地支配するための拠点として作られた国らしい。実際、建国したときから、イスラエルはまわりの国々と戦争し続けていて、領土をどんどん広げている。そして、アラブ諸国を分断し、戦争させることで消耗させる役をも演じている。それによって、かつての大英帝国の支配力は、覇権主義に形を変えてさらに拡大していったのだ。

多くのイスラエルの人たちは、平和的に暮らすつもりでやってきて、植民地主義的な戦いに巻き込まれてきたわけだ。そして、戦争やテロが続いているのが、まさにイスラエルの植民地主義的なあり方にあるということを、しっかりと意識している人たちも、少なくはなかったのだ。

10月7日に始まったハマスの攻撃は、エルサレムのイスラムの聖地アル・アクサで、イスラエル政府が行った挑発に対する答えだということを、ハマスの代表者が言っていたけれど、2001年に首相になったアリエル・シャロンという人は、首相になる前の2000年に、「エルサレムはイスラエルのものだ」と言って、イスラム教徒の人だけが入る岩のドームに、武装した護衛も含めた1000人で入ったそうだ。エルサレムはユダヤ教の聖地でもあるかもしれないけれど、このような入り方をするのは、聖地を汚すようなことだ。それで、イスラム教徒の人たちが、怒ってイスラエル人たちに石を投げたりした。それでイスラエルの警備隊が催涙ガスを撃ち込み、アラブ人とユダヤ人との間で紛争が起きた。当時のバラック首相は平和主義者で、和平交渉を進めていたけれど、それでパレスチナとの関係が悪化して、バラックは辞任し、極右のシャロンが首相に就任した。

イスラムの聖地に武装したイスラエル人たちが入り込むようなことをしたら、アラブの人たちが怒って攻撃的になっても不思議はない。どうもイスラエルでは、平和主義者が政権を取って、和平交渉を進めていると、極右の政治家がパレスチナを挑発して紛争を引き起こし、政権を取るという風になっているようだ。これも、イスラエルがそうだというのではなくて、形を変えた大英帝国に支配されているからなのだろう。イスラエルは、絶えずアラブと戦争をする国として、作られた国だからだ。

テルアビブの防衛省前で、イスラエルの人たちが抗議デモを行っていて、ガザに人質になっている120人のイスラエル人を無事に戻せと訴えていた。ハマスは、イスラエルの市民を誘拐して、ガザに人質として連れて行ったそうなのだけれど、デモの人たちは、パレスチナではなくイスラエル政府を非難していた。今、イスラエル軍はガザで地上戦を行って人質を解放すると言っているけれど、そんなことをしたら、120人のイスラエル人の命はない。イスラエルの人々は、ハマスが人質を取るようなことをしたのは、イスラエルがガザを包囲して、巨大な強制収容所のようにしてしまったからだということをよく知っている。だから、パレスチナと交渉して、イスラエルの捕虜を無事に返してもらうようにしてくれと、政府に抗議しているのだ。

13日のエルサレム・ポストという英語のニュースサイトに、世論調査の結果、大多数のイスラエル人が、今回のハマスの攻撃は、イスラエル政府に責任があると考えていると出ていた。86%がイスラエル政府に何らかの責任があると考えていて、ほとんどイスラエル政府に責任があると考えている人も、75%に及ぶ。そして56%の人は、ネタニヤフは辞任するべきだと言っているそうだ。

ネタニヤフは、司法改革で抗議デモが続き、支持率が下がっているのを奪回しようとして、ハマスに攻撃させたのではないかという説もあるくらいなのだけれど、もしこの世論調査の結果が本当なのだとしたら、事態はネタニヤフの計算通りではなかったことになる。75年間も延々と戦争状態で生活させられてきて、イスラエルの人たちも政府が使うあらゆる手をすでに知り尽くしているのかもしれない。もう政府に踊らされて、戦争させられたり、テロにさらされたりするのはイスラエルの人たちも嫌なのだ。そしてそれが、政府が挑発しているからだということも、よく知っているらしい。

マティスヤフというアメリカのユダヤ人のレゲエ歌手が、2018年にイスラエルのハイファで3000人のアラブ人とイスラエル人を集めて、One day (ある日)という曲を、ヘブライ語とアラブ語と英語の3つで歌うというイベントを行ったときの動画が、昨日SNSで拡散されていた。「ある日、世界はすっかり変わって、皆がもう戦いたくないと言い、戦争がなくなり、子供たちは遊びまわるだろう。何故なら、私はその日を待ち続けていて、そのために祈り続けているのだから」この歌を、アラブ人とイスラエル人が一緒になって、ヘブライ語とアラブ語と英語で歌っている。その様子を見たら、アラブ人もイスラエル人も、本当に平和に共存したいと心から願っているということがよくわかる。

今イスラエルには、「アラブ人を殺せ」と叫んでいる右派の人たちがいる一方では、イスラエル政府のやり方が原因で、ハマスが過激になっていることをよく知っている人たちもたくさんいるのだ。この人たちは、イスラエル政府が平和的になりさえすれば、パレスチナと平和的に共存していけることもちゃんと知っている。

2023年10月14日


マテスヤフのOne Dayの英語の歌詞


ハイファでのイベント

マテスヤフのOne Day 日本語字幕付きで見られます。
https://youtu.be/XqvKDCP5-xE?si=QLIwOzw8gwIoMx7y


https://www.scottritterextra.com/p/why-i-no-longer-stand-with-israel?fbclid=IwAR1_JuxKh5uKC6Kx8q06TUt9UebTI1_FNKChMJslKOIKllW5gIszgoRIBNw

スコット・リッターの「何故私はイスラエルをもう支持しないのか?」という記事(英語)です。90年代に国連の武器監査官としてイスラエルに行っていたときの経験を書いています。彼が「イスラエル最後の平和主義者」と呼んだイツハク・ラビンが暗殺された頃のことです。これを読むと、多くのイスラエル人はアラブ人たちとの平和共存を望んでいることがよくわかります。テロが続くのが、イスラエルの攻撃的なあり方にあることも、多くのイスラエル人は理解しています。

イツハク・ラビンの暗殺をネタニヤフが助けていたとスコットさんは前に書いていたんですが、この記事を読むと、それが本当にそうなのがよくわかります。当時ネタニヤフは、ラビンがパレスチナのアラファトと和平を結んだのを「ラビンがシオニズムを滅ぼした」と言って、ラビンを殺せと煽っていました。当時、ハマスによる自爆テロが続いていました。それがアラブ人に対する憎悪を煽り、ラビンに敵対する空気を作っていました。ハマスは、アラファトのパレスチナ解放機構に敵対するパレスチナの組織としてイスラエルによって作られたそうですが、アラファトが和平を結んでいたときに、それをぶち壊すべくテロ行為を行っていたんです。

ラビンの暗殺は、多くの平和主義的なイスラエル人たちにとって、大きな損失でした。


***




【他民族を排除するあり方は終わる】



中東専門家のシャヒッド・ボルセンは、今イスラエルの側を支援している人たちは、世の中の流れに逆らって動こうとしているようなものだと言っていた。第二次世界大戦後、世界はずっと植民地主義的な人種差別的な支配権力で動かされてきたけれど、もう世界中の多くの国々は、そんなものを求めてはいないのだと。アラブもアフリカも中南米もアジアも、皆パレスチナを支援しているし、他の国々に住んでいるムスリムたちもだ。イスラムは、世界中で最も大きな結束の固い集団で、今、新しい経済力として成長してきているグローバル・サウスの中核にあるものなのだから、それに逆らって弾圧しようとしたりしたら、流れに跳ね飛ばされることになるだろうと。

パンデミックからウクライナ、そしてイスラエルと次々激動が起きているのだけれど、イスラエルに来て、ようやくその正体がはっきりと見えてきたような気がする。イスラエルがパレスチナでやってきたことは、他の民族を暴力で根絶やしにしようとすることで、それは北アメリカでネイティブ・アメリカンから土地を奪ったり、ドイツでユダヤ人を殺したり、原子爆弾で日本人を殺したり、ナパーム弾でベトナム人を殺したりしたのと同じ類の人たちなのだと、ボルセンは言っていた。他の民族のあり方を認めず、排除しようとすること。暴力で虐殺したり弾圧したり、自分たちの価値観に従わせようとする。自分たちだけが正しく優れていて、他の民族はそれ以下のものなのだと考えて、そのような扱いをしようとする。

それが今、パレスチナでイスラエルがしていることを見ると、公正さも民主主義も人間性すらない、まったく野蛮そのものの行いだ。イスラエル防衛大臣は、パレスチナ人は獣のような存在なのだから、それなりに扱ってもいいのだと公に言っていた。植民地主義者たちは、他の民族に民主主義や人権や自由や平等の価値観を教え、アラブやアフリカは民主主義や人権がないから野蛮で劣等なのだと言ってきた。その植民地主義者たちが、今、他の国の人々の人権を無視して、暴力をふるい、子供や老人を平気で犠牲にしている。その姿は、アラブやアフリカの人たちにとって、人間としてまったく幼稚そのものだし、人間性を疑うくらいだとボルセンは言っていた。

パレスチナのハマスがイスラエルの国境を破って侵入し、イスラエルの軍事拠点を占領し始めたときに、国境近くで行われていた野外コンサートを襲って、女の子に暴行をふるって虐殺したと報道されていた。それを見て、多くの人々はハマスというのは野蛮で残虐な集団だと思ったのだけれど、あとであれはフェイクだったことがわかった。その女の子は殺されてはおらず、ガザの病院にいたそうだ。

ウクライナでもそうだったけれど、パレスチナが残虐行為を行っているかのような印象を与えるために、情報操作が行われていたらしいのだ。小さな子供を惨殺したという報道があって、その証拠画像というのが出ていたけれど、それも別な画像を作り換えたものだった。人を人間と思わず、残虐なことをしているのは、イスラエルの方だとボルセンは言う。自分の姿だから、パレスチナ人がそういう風に見えるのだと。

ハマスが若い女性を強姦したなんて、まったくバカバカしい話だとボルセンは言っていた。イスラムは婚外交渉を罰しているんですよ、ムスリムは女の子を強姦したりはしないのです、と。ハマスがあの日、防護壁を破ってイスラエルに侵入したのは、非常に巧妙に作られた軍事作戦のおかげだとスコット・リッターが言っていたけれど、そんなにまでして侵入したのに、野外コンサートの観客なんかを襲っているというのは、どうも理に合わない話なのだ。しかも、彼らはイスラエル兵から奪ったイスラエル軍の制服を着ていたという。それで人々は誰を信じていいのかわからなくなって、大混乱になったそうだ。

服が取り替えられていたという話は、ウクライナのときにもよく語られていた。ウクライナ軍の制服を着た兵士が、ウクライナの市民を襲っている画像が拡散されていて、ウクライナ軍は、あれはロシア兵が撹乱のためにウクライナ軍の服を着ていたのだと言っていた。しかし実際には、まったくシンプルに、ウクライナ軍がウクライナ市民を攻撃していたのだ。服が取り替えられていたというのは、戦争犯罪を相手側になすりつけるときに使う常套句なんじゃないかという気がする。

ハマスが残虐行為を行ったということになれば、ガザを攻撃する理由ができるから、イスラエルの政府としては、自作自演したいくらいなのかもしれない。実際、テルアビブの街中でハマスの自爆テロとされた爆撃がかつてあり、それがタカ派が政権を取るきっかけになった。今度はイスラエルは、ガザで地上戦を行って、完全に破壊しようと考えている。現政権の首相は、9月の国連総会のときに、パレスチナが消えて、すべてイスラエルになっている地図を見せて、これが新しいイスラエルの計画だと言っていたそうだ。

今度のハマスの攻撃も、イスラエル政府が意図的にやらせていたという説もある。実際、ネタニヤフ政権は、ハマスに資金援助していたらしい。それは、アラファトのパレスチナ解放機構よりも自分の意のままになると思ったかららしいのだけれど、どうも計算通りにいかなかったようだ。シャヒッド・ボルセンだけでなく、アメリカの伝説的なジャーナリスト、シーモア・ハーシュも、これでネタニヤフは終わりだ、と書いていた。これまでの紛争と違って、イスラエル側に多くの犠牲者が出てしまったのだ。これはまったくの失策だ。それで、イスラエル軍が最強の軍隊だという神話も崩れてしまったと。

そもそもハマスが過激な行為に出たのも、ネタニヤフがユダヤ教の仮庵(かりいお)の祭りを、ヨルダン川西岸地域で行わせたからだったそうだ。1993年のオスロ和平合意で、この地域はパレスチナのものということで合意したのだけれど、ここはイスラムの重要な聖地だ。イスラエル右派はその地域を冒涜するような挑発行為を繰り返してきた。イスラム教徒が怒るようなことをして、それでアラブ人が石を投げたといって、殺したり、アラブ人の店をメチャメチャに壊していたりしたそうだ。そのために一年に200人のアラブ人が殺されたりしていたと、シーモア・ハーシュは書いていた。ヨルダン川請願地域で仮庵の祭りをするために、800人ものイスラエル軍が防備に動員されていたそうだ。それが、ハマスが防護壁を破って侵入した2日前のことだった。

だから、ハマスの攻撃でイスラエルの人々が大勢犠牲になるようなことになって、これがイスラエル政府の責任だと考える人々が多いのも、まったく当然のことだった。防衛できないのに、それだけの挑発をしたのだ。それで、イスラエルの多くの人々は、政府を批判している。ネタニヤフ政権が、オスロ和平合意を無視して、紛争へ向かっていくようなことを敢えてしていたからだ。

西側諸国はイスラエルを支援すると言い、西側メディアはハマスが残虐なテロリストだと報道しているけれど、しかしそれでも、西側諸国の各地でパレスチナを支援し、イスラエルを非難するデモが止まらない勢いになっている。西側諸国は、まさにその植民地主義的な政策によって、アラブ諸国からの多くの移民を受け入れてきて、今やどこの国もイスラム教徒がかなりの割合を占めるようになっている。この人たちは、メディア操作などで操作できない人たちだ。いくら西側メディアが虚偽の報道で煽っても、多くの人々は、イスラエルがこれまで70年以上もパレスチナに対して非道なことをしてきたのを知っている。

イスラエルは、まるで狂ったようにシリアやレバノンまで攻撃しているのだけれど、アラブ諸国が軍事介入することになったら、イスラエルは消えてなくなると言っている人も多い。そもそもこんな植民地主義的で人種差別的な国は、もう存在意義がなくなっているのかもしれない。世界が転換していくときに、その変化に適用することができなければ、滅びていくことになると、シャヒッド・ボルセンは言っていた。

戦後70年以上が経って、アラブやアフリカ、アジアの国々が経済的に発展し、多極的な世界に変わっていっている。それまでは、西側諸国が植民地主義的に他の民族を支配してきたけれど、それがもうできなくなっているのだ。世界は、西側諸国が言うことに何でも従っているのをやめて、公正さを求めている。西側諸国がそれに合わせることができなければ、終わっていくことになる。

2020年に奇妙なパンデミックが始まってから、一つの問題が片づきそうになると、次の問題が来る、という具合に続いていっている。それも、偶然のように起こっていくのだけれど、ここに来て、実は同じ一つの問題が繰りかえされていることに気づく。植民地主義的な、一極支配のあり方を世界に押しつけようとして、次々と何かを悪者にし、敵対させることで人々を支配しようとしてきた。しかし、こういう一極支配というものは、多くの人々の人権を無視するので、長くは続かない。それで反撃が来て崩れそうになると、次の問題を起こして、人々の意識を逸らそうとする。新たな敵が出てきて、そちらに敵対意識を向けようとする。

しかし、そうする間にも、人々は世界的な情報ネットワークを築いていき、ウクライナの戦争をきっかけにして、ロシアを中心とした多極的な経済ネットワークができたりして、西側諸国の植民地主義的な支配権力は、ますます追い詰められていっている。そこに来て、今度はイスラエルだ。植民地主義的な分割統治の問題そのものが表に出てくることになったわけだ。

シャヒッド・ボルセンは、イスラエルを支持すると言っている人たちは、数年前にはマスク政策に従っていたんだろうし、ウクライナを支援していた人たちなんでしょう、と言っていた。自分の考えも何もない、一極支配に従うだけの人たちだと。しかし、イスラエルのことでは、イスラムの人たちはそれには従わないし、世界の多くの人々も、イスラエルを支持しない。だから、今イスラエルを支持している人たちは、世界の転換についていけない人たちだと。

ここに来て、2020年のパンデミックから、私たちが大きな世界の転換を進んできていたことに気づく。これは、一極支配の植民地主義的な世界が崩れていき、多極的な世界ができていく大きなプロセスなのだ。生物多様性が生態系の大きな調和と豊かさを作り出すように、生き方の多様性というものが本当の意味で開花し、平和が永続する世界ができあがろうとしているのだ。

2023年10月15日


エジプトからのガザへの支援物資のトラックの列。封鎖されたガザへ、水、食糧、医薬品などをエジプトの国境から運んでいる。

https://abcnews.go.com/International/video/israeli-protestors-call-pm-netanyahu-traitor-103982146?fbclid=IwAR23KXni95RK7jFoqgCHg5TAZ9ul0Ueq-VVXRAgb4WLkegogOjgEabAxHwc

14日付けのニュースです。テルアビブで10万人のイスラエル人が反政府デモやっています。「ネタニヤフは人殺しだ!」と叫んでいます。ハマスの攻撃は、イスラエル政府に責任があるということです。イスラエル軍は、ガザの百万人以上の住人を南部に強制避難させて、北部で地上戦を展開すると言っていますが、それをやったら、120人のイスラエル人捕虜を見殺しにすることになるし、イランが軍事介入することになります。国内外から激しく批判されて、ネタニヤフ政権は崩壊することになるんじゃないかと思います。


***


【アパルトヘイト国家と次元シフト】



10月7日にパレスチナのハマスがイスラエルにミサイル攻撃を始めてから、イスラエルとパレスチナの情報を次々と入ってきて、この地域が一体どんなことになっていたのかがよくわかった。このあたりは、いつも戦闘状態になって、子供や女性たちが犠牲になっているというニュースがあり、たがいに相手が悪いと言い合っている。それで、どちらを支援するかで、世界が二つに分かれている。何だかわからないけれど、アラブは物騒なところだというような印象ばかりが残る。

イスラエルは、ハマスの攻撃から防衛するためだとして、禁止されている白リン弾やクラスター弾をガザ地区に撃ち込んでいた。それで犠牲になっているのは、多くが子供たちだった。さらには、ガザ地区に電力も水の供給も停めて、食糧も医薬品も入らないように封鎖してしまった。市民を犠牲にするのは、国際法で禁じられている戦争犯罪で、これは自衛のためということでは免罪にならない。しかし、イスラエル防衛大臣は、アラブ人は人間以下の獣だから、すべては許される、と言って、イスラエル兵にすべての戦争法を解除して、何をやってもいいと言ったそうだ。

しかし、アラブ人には何をしても罪を問われないというのは、今に始まったことでもなかったらしい。この紛争が始まったときに、アメリカの軍事専門家で国連の元武器監査官のスコット・リッターが、イスラエルの退役軍人のインタビューをシェアしていた。パレスチナの居住区に行って、誰でもかれでも皆殺しにしてきたと罪の意識もなく言っていた。両手を挙げている子供たちを皆殺しにしたとか、16歳の女の子を強姦したとか、そういう話をして笑っていた。二人とも高齢者だったけれど、それだけのことをして、一度も罪に問われることもなく、普通に暮らしていたのだ。

実にシンプルに言って、イスラエルはアパルトヘイト国家だ。アラブ人はいくら殺しても許されて、イスラエル人が犠牲になると、何十倍も報復する。かつての南アフリカやインド、アメリカが黒人にやっていたことと同じだ。それがイスラエルでは、戦後ずっと続いてきて、まだそのまんまだったということに、驚かされる。しかも、それをユダヤ人差別はいけないというようなことで、西側諸国が支援してきたのだ。いくら差別されてきたからと言って、他の民族を差別していいということにはならない。しかも、ユダヤ人を差別していたのは、アラブ人ではないのだ。

ガザ地区を封鎖して、水も電力も食糧も医薬品も入らない状態にするのはあまりにも非人道的だというので、エジプトやヨルダンから援助物資を運ぶトラックのコンヴォイが、エジプトとガザの国境に到着した。イスラエルは、5時間ほど停戦して、人道回廊を開くことに同意したはずなのに、攻撃し続けていて、トラックを通行させていないらしい。

このことは、イスラエル政府がどこまで悪党なのかということを、世界に示してしまったようだ。ウクライナでも、外国へ避難する人たちのための人道回廊を、ウクライナ軍が攻撃し続けて、避難する人たちを虐殺していた。イスラエルもまったく同じなのだ。ガザの外へ出さないばかりではなく、ガザの中で北部から避難する人たちも、イスラエル軍は攻撃して虐殺していた。さらには、援助物資もブロックして、飲料水もないような状態にしようとしている。あり得ない暴虐なのだけれど、イスラエル兵たちはすべての戦争法を解除されていて、何をしてもいいと言われているのだ。そして、その悪党ぶりを世界に示している。

差別意識を持つと、人間はここまで非道になれるのだということを、このことは示しているようだ。ウクライナでは、ロシア人は人間ではないと子供のときから教え込んだ結果、ロシア人を虐殺することに喜びを感じるような恐ろしいテロリスト集団を作り出してしまった。ところでイスラエルでは、それが建国以来ずっと続いていたのだ。子供の頃からアラブ人を憎むように教育されてきて、アラブ人に対してならば、どんな残虐なことも率先してするようにされている。

夢分析についてのジグムント・フロイトの講義で、神経症の子供たちの夢には、年下の兄弟が気持ちの悪い虫のようなイメージとして出てくるという話があった。子供のときから神経症になったりするのは、ずっと両親に支配されてきたからだ。親の言う通りにしないとかまってもらえないとか、愛を与えたり引っ込めたりして、条件づけられてきた子供たち。それが、年下の兄弟ができて、前みたいにはかまってもらえなくなると、年下の兄弟に敵対意識を抱く。そのときに、気持ち悪い虫みたいなイメージとして、年下の兄弟が夢の中に出てくるのだそうだ。それは、虫みたいにひねりつぶしたいという思いの現れならしい。

ある民族に差別意識を植えつけて、平気で虐殺するような集団にしようとするとき、おそらくはこうした深層心理を利用している。もともとユダヤのエルサレム神殿があったところが、今はアラブ人の寺院になっている、とイスラエルの学校で子供たちに教えている動画が、この頃拡散されていた。そして、このアラブ人たちを殺すべきだと子供たちに言わせているのだ。この子たちは、アラブ人に何かされたわけではないし、アラブ人を憎む理由があるわけでもない。ただ、アラブ人を憎むようなことを言うと、先生が満足するので、そのように発言しているだけだ。言う通りにすると、ほめてもらえる。あの人たちよりも優秀なのだと言ってもらえる。だから、アラブ人は皆死ねばいい、と子供のときから言って育つことになる。

実にシンプルに言って、次元が低い。私たち人間は、もっと次元の高いレベルで生きることもできるはずなのに、低い次元で生きるように仕向けられているのだ。競争意識や差別意識によって。認めてもらえるとか、人間以下の存在と同じだと言われるかもしれないとか、そういう意識で、他の民族やある種の人々を軽蔑し、憎むようなことが、人生で最も大事なことになるようにされてしまっている。

兄弟の競争意識と言ったら、創世記にアベルとカインの話がある。エデンの苑を追い出されたあとで、アダムとイブの息子たちが、アベルは羊を飼い、カインは農耕をして暮らしている。2人は収穫を神に供えたけれど、神はアベルの供え物だけ祝福して、カインの供え物は見なかった。それで、カインはアベルを怨んで、殺してしまったという話だ。

この話は、その土地は羊の放牧には向いていたけれど、農耕には向いていなかったということを意味しているのだろうと言われている。パレスチナの土地は、昔から羊の放牧をする人たちが住んでいたから、おそらくは多くは草しか生えない痩せた土地なのだ。そんなところで農耕しようとしても、大した収穫は得られない。それを、自分が不当に扱われているという風に受け取ったら、うまくいっている人を怨んで殺してしまいたくもなるのだろう。まるで、競争相手さえいなくなれば、自分が認めてもらえるかのように、だ。

何が本当の敵なのか、何が本当の問題なのかを見ようとする代わりに、目の前にいる競争相手に敵意を向けるのは、目の前しか見えていないからだ。次元が低いというのは、まさにこの状態を言う。目の前しか見えていないし、見ようとしていない。それで目の前の存在を敵と思って戦っても、何の役にも立たない。自分を罪人にしてしまい、状況をますます悪くするだけだ。しかし、西側世界は、人間をこのような意識状態に意図的に留めておこうとしているようだ。

2020年の奇妙なパンデミックからウクライナへ、そしてイスラエルへと、人々は目の前にいる存在に敵対するように仕向けられてきた。しかし、敵として差し出された目の前の存在に攻撃性を向けると、自分自身を滅ぼすような結果になる。私たちが病気になるのはウィルスのせいではないし、ウクライナが貧しいのはロシアのせいではない。そして、イスラエルが危険なのは、アラブ人のせいではないのだ。まさに間違った敵対意識が、現実に地獄を作り出している。

そうした中で、異なる多様な存在と共生していくことを、世界は学んでいっている。何かがうまく行かないのは、目の前にいる競争相手のせいではなく、自分自身の中にある敵対意識が、絶えず世界とのバランスを崩そうとするからなのだ。共生するあり方を信頼すること、それによって敵対意識を手放すこと。それによって、目の前にいる競争相手ではなく、本当の原因、本当の問題を見抜く視界の広さを獲得すること。

ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、まさにこの視界の狭さを克服するための教えだったはずだ。自分の損得ばかりに意識を向けるのではなく、大きな宇宙的な力に意識を向けること。地上の生き物は、皆それぞれに生きる空間があり、世界での役割があり、すべてが循環し共生している。それこそは神の無限の愛であり、それを信頼することをこそ、パレスチナの土地に生まれた宗教は教えている。

人類はこの2000年間、どちらが支配する方でどちらが支配される方なのかと、低い次元で無数の物語を生きてきた。世界は今、その次元から出ていこうとしているのかもしれない。それで今、支配のゲームをやめたくない人たちが、滅びていく道を自ら選んでいるようにさえ思える。ウクライナで起こったことも、イスラエルで起ころうとしていることも、私にはそうとしか思えないのだ。目先の損得に捕らわれて、火の中に飛び込んでいっている。その激しいプロセスが続く一方では、すべてと共生する多極的な共生の世界が、確実に生まれてきているのを、私たちは見ている。そしてその世界が、徐々に確実な手応えをもったものに成長していっていることもだ。

2023年10月17日


https://freedert.online/international/182960-updates-zur-gaza-israel-eskalation/?fbclid=IwAR2qJhuXY63CQ_aGA64XWbyeunhHFy139ze3kx9BHFkhhTB81epRMJt25vg

ガザの病院の爆撃のことで、今日、国連安保理で緊急会議が行われます。ロシアとアラブ首長国連邦が提案しました。議長を勤めているブラジルは、ガザ北部から避難させられた人々を戻すための決議を行なうべきだと言っているそうです。強制避難のせいで、ガザ南部はとんでもないことになっています。そこに病院の爆撃なので、あり得ないような残虐さです。

ネタニヤフは、ハマスが自分でやったとツイッターに書いてたそうですが、自分でやっといて相手のせいにするのは、ウクライナに習ったみたいですね。


***



【戦争のラスボスが現れた】



ウクライナの次は台湾じゃないかというようなことは、前からよく言われていた。それがいきなりイスラエルに来たのは衝撃だった一方で、もうラスボスに近い存在が出てきたのかといった感覚もあった。おそらくはシティ・オブ・ロンドンとニューヨークの金融資本の支配力を保つために、絶えず国際的な危機を作り出す必要があるのだ。それによって、莫大な税金を金融資本に流すことができるからだ。

しかし、人間はいつまでもやられっ放しにはなっていない。何度もやられていたら、いつかは抗体ができて、反撃できる態勢もできていく。それは、自然界でも微生物界でも人間の社会でも同様で、つねに多様性を保ち、バランスを保とうとする宇宙の法則なのだと思う。

イスラエルは、パレスチナのテロリストから防衛する必要があるということで、ガザ地区を攻撃していたけれど、イスラエルの市民が犠牲になったのは、実はイスラエル軍のせいだったという情報も出てきている。ハマスはイスラエル人を誘拐してガザ地区に連れて行くことで、イスラエル軍をおびき寄せようとしていたので、市民を攻撃する意図はなかったというのだ。誘拐されたイスラエル人は、ハマスは紳士的に扱ってくれたと言い、イスラエル軍がイスラエル市民もハマスの兵士も一緒にして撃ちまくっていたために、多くのイスラエル市民が犠牲になっていたと言っていた。

同様なことはウクライナでもやっていたけれど、要するに軍隊に投資するための口実がいるのだ。こんな残虐なことから、人々を守らなければ、と言えば、巨額の軍事費を税金から出すことも、予備役を徴兵することもできる。それで、何かしら衝撃的なイメージを作ろうとして、故意にやっていたのかもしれない。そのあとも、イスラエル軍はレバノンやシリアにミサイルを撃ち込んだり、ガザの病院を爆撃したりと、まるで周辺諸国に軍事介入させようと挑発しているようにしか思えないことを、やりまくっている。ウクライナと同様、資金を出している金融資本家には、イスラエルがどうなろうとどうでもよくて、ただ巨額のお金が流れ続けさえすればいいのかもしれない。

ウクライナがもう先がない状態になったとところで、いきなりイスラエルに来たのは、もう戦争する国がイスラエルくらいしかなくなってきているからなのかもしれない。ウクライナがどうなったのかを見たら、アメリカが支援するのを信頼して戦争を始めるのは、自殺行為だというのがわかってしまう。そんな戦争に引きずり込むには、よほどしっかりと国民を洗脳していないといけないわけで、どの国でもいいというわけにはいかない。

イスラエル軍が、ガザを水道も電力も止めて封鎖してしまい、さらにガザの北部から住民を強制避難させたことで、西側諸国の政治家からもイスラエル政府への批判が出ていたくらいだった。その上、10月18日の夜に、ガザ北部のキリスト教系の病院が爆撃されて、500人近い死亡者が出るという事態になったときには、世界中でパレスチナを支援するデモが激しくなった。

するとイスラエルは、この攻撃はイスラエル軍がやったものではなく、ハマスが自分でやったのだと言い出して、あれこれと情報操作を始めたのだけれど、世界の世論を変えることはできないようだ。ハマスが被害を大きく見せるための情報操作を行っていたという情報も出てきたけれど、それでもパレスチナを支援する声は減ったようには思えない。

ウクライナのときは、西側メディアがロシアが悪いと言い続けた結果、少なくとも西側諸国では、ほとんどの人がウクライナを支援するべきだと思うようになった。ところが今度は、どうもそうはいかないようだ。イスラエルは、ハマスを残虐なテロリストに見せるために、メディア操作を行っているようなのだけれど、世界の反応は、思ったようにはなっていかないように見える。世界中いたるところで、パレスチナを支援するデモがすごいことになっている。伝統的にパレスチナを支援しているアラブ諸国ばかりではなく、ヨーロッパの都市でも、アラブ人たちがデモをやって、警察と衝突している。

ウクライナと違って、パレスチナの問題は戦後ずっと続いていることだし、いくらプロパガンダ戦を展開しても、本当の状況を知っている人が多いのだと思う。それに、戦後ずっとアラブ諸国から難民が世界中に来ていて、今や世界中どこに行ってもイスラム教徒の人たちがたくさんいる。この人たちは、西側メディアでいくらプロパガンダを展開しても、イスラエルが正しいなどという話を信じはしない。それに、西側諸国の人たちも、ウクライナでさんざん戦争プロパガンダの手法を見せられてきたから、イスラエルがあれこれとプロパガンダを繰り出してきても、すぐさま見抜いてしまう人が増えているのだと思う。それで、今度のパレスチナとイスラエルの紛争では、イスラエルも西側諸国も情報戦では負けているように思える。

ロシアは、紛争が始まってから、アラブ諸国の首脳と会談を続けていた。そして、国連安全保障理事会に、停戦決議を提案したのだけれど、西側諸国と日本が反対して、採択されなかった。その後、ガザの病院が爆撃されるという事態になり、また緊急会議が招集された。最初の決議案では、ハマスに責任があるということを明記していないとかいう理由で、西側諸国が拒否したので、今度はイスラエル側の被害についてだけ書き、捕虜の返還や人道援助についての決議だけで、停戦決議もないという提案を議長国のブラジルが出して、評決した。せめて人道援助だけでも確保しないとという思いでだ。それで、12ヶ国が賛成したのだけれど、アメリカが否決権を行使して、やはり採択されなかった。

これはあまりにもあからさまだ。今起こっている紛争は、アメリカが望んでやらせていることだということを、はっきりと世界に示してしまったようなものだった。

その後、世界中で行われている反戦デモのホコ先が、アメリカに向き始めた。トルコやレバノン、アンマン、ヨルダンなどの周辺のアラブ諸国では、アメリカ大使館前で激しい抗議デモが行われ、アメリカ政府はいくつかの国から外交官を避難させることにさえなった。アメリカの国会議事堂では、ユダヤ人のグループが停戦を訴えるデモを行い、100人もが逮捕される騒ぎになった。イスラエル軍がガザで行っている非道を見たら、いくらユダヤ人だって、あんなテロリスト国家の仲間ではないと示さないわけにいかなくなるのだろう。テルアビブで、ガザに誘拐された人質を返せと抗議デモを続けていた人たちも、国連決議の後では、はっきりと政府を批判するようになっていったそうだ。アメリカもイスラエル政府も、誘拐された人たちの身の安全を優先することなど、まるきり考えていないことがわかってしまったのだ。また、国連人権理事会では、アメリカ大使がスピーチし始めたら、他のほとんどの国の人たちが、立ち上がって背を向け、抗議の意を示すということがあり、この動画がイランで報道されていたそうだ。

ところで、アメリカがイスラエルの紛争について否決権を行使して、停戦を阻止したのは、これが初めてではなかった。これまで50回も否決権を使ってきたのだそうで、ということはつまり、イスラエルで戦争が止まなかったのは、そうやってアメリカが停戦交渉を妨げてきたからだったのだ。そもそもニューヨークにある国連本部の建物は、軍事産業で財を成している金融資本家の所有地に建っているのだそうで、それもおそらくは、国連を私物化しようという企みだったのだろう。もともと国連は、世界を公正で平和なところにするための機関として作られたので、国連憲章がちゃんと守られていれば、紛争が長続きするようなことなどないようになっている。だけど、それが機能していないのだ。世界最大の軍事力を持つ国が、国連憲章を守らず、しかも常任理事国として否決権を持っているからだ。実際、世界に戦争がなくならないのは、ひとえにそのためだと言ってもいいくらいだ。戦後、世界中で起こった戦争は、アメリカが国連憲章に違反して行ったものがほとんどなのだから。

アメリカが否決権で停戦決議を阻止したことで、世界中の意識がたちまちアメリカへの批判に向いていった。これは、ついにラスボスが登場したといった感がある。ウクライナでは、アメリカのプロパガンダ戦が成功したけれど、その間に世界の構造は大きく変わって、もはやアメリカが思い通りに操作することができなくなっていたのだ。

アメリカのジャーナリスト、タッカー・カールソンは、アメリカは50年前と違って、もう軍隊が弱くなっているのだから、イスラエルの戦争に介入したら、負けることになるだろうと言っていた。アメリカが軍事介入するということになれば、イランやトルコ、ロシアや中国までパレスチナ側につくことになるだろうから、そうなったらアメリカには勝ち目はないというのだ。

アメリカの軍事専門家で元国連武器監査官のスコット・リッターも、イスラエル軍がガザに侵攻したら、ハマスに殺されるだけだと言っていた。ハマスは、イスラエル軍が侵攻してくるのを待ち構えていているというのだ。イスラエル人を誘拐してガザに連れてきたりしたのも、イスラエル軍が取り返しに来るように仕向けようとしたからだったらしい。イランが、イスラエル軍がガザに侵攻したら、軍事介入すると宣言していたけれど、その後、それを取り消したのは、ハマスの方が断ったからなのだとスコット・リッターは言っていた。イランの助けを借りなくても、大丈夫だからと。

第二次世界大戦のときには、ナチス・ドイツがソ連に侵攻して、モスクワまで来たけれど、そこでモスクワの人たちが死物狂いで戦って、ナチス軍を押し返したということだった。どんなに激しい攻撃を受けても、ある国を絶滅させることは、できるものではないのかもしれない。パレスチナは、もはやガザしか残っていないような状態で、もうどうしたって後には引けないところまで来てしまった。独立か死かというところまで来てしまったのだ。

アメリカは、2000人の海軍が乗っている航空母艦を2隻も地中海に送ったところだから、ここで停戦交渉するわけにもいかないのだろう。投資のお金がすでに動いているのだ。どこまで戦闘が拡大することになるのかわからないけれど、もうイスラエル側が勝つような方向には世界の流れは動いていないような気がする。ロシアは、黒海を戦闘機で常時パトロールすることにしたのだそうで、これは、地中海の航空母艦を監視しているということらしい。

そうしたことを見ていくと、アメリカの中東専門家のシャヒッド・ボルセンが言っていたように、やはりもう時代の流れが変わっていて、それに適応できない人たちは淘汰されていくしかないということなのじゃないかという気がする。今さらアラブ諸国を攻撃して支配力を取り戻すなど、無理なことなのだ。これでついに、戦争の根源が表にさらされてしまって、もはや戦争がない世界に本当に移行するのかもしれない。今は、そんな世界はあり得ないように思えても、時代が終わるときには、ちゃんと終わっていくものなのだ。

2023年10月19日


アメリカの議事堂前でのパレスチナ支援デモ


アメリカの議事堂でのユダヤ人グループによる反戦デモ


ハマスに誘拐されていたアメリカ人女性2人が解放されたそうです。 この写真見ても、ハマスが人質を虐待していないというのが、本当なのがわかります。大事に扱われていた様子で、恐怖にさらされていた風でもありません。
以下、Deepl翻訳です。
。。。。
ガザでハマスの武装勢力に拘束され、2週間ぶりに解放されたアメリカ人女性に目立った怪我はなかったと『デイリー・メール』紙が報じている。 捕虜の一人と話した少女の父親は、戦闘員たちは彼女をよく扱い、彼女は元気だと語った。

スコット・リッターさんの記事です。アメリカは、イランがイスラエルに軍事介入するなら、イランの石油ビジネスを破壊すると言っているけれど、現実的には、アメリカには30年前とは違って、イランに勝ち目はないと言っています。

トランプのときにも、米軍とCIAはイランで内部工作を行って、政権交代させようとしていました。それが、バイデンのときになって、イランの女性がヒジャブのことで逮捕されていたときに死亡した事件からテロ騒ぎを起こさせたりしていたけれど、イランはその紛争で逆に結束してしまい、アメリカの計画は失敗したと言っています。

トランプは、イランとの核兵器に関する協定を破棄して経済制裁をかけたので批判されていましたが、あれはやっぱり裏がありましたね。トランプはイランをCIAの工作から守るために、経済制裁かけたんだと思います。アメリカが経済制裁をかけるということは、アメリカのグローバリストが手が出せないようにするっていうことですからね。それで今、イランがアメリカに対抗できる勢力になっているっていうことですね。アメリカをグローバリストの支配から解放するための策だったっていうことなんだと思います。

***


【世界から戦争が消える260日】


260日のツォルキンが新しくなると、何だかまるで、新しい次元で世界が新しく始まるような感覚がある。そういうときに、この260日がどういう展開になるのかが、直感的に見えることがある。それは多くの場合、まるで夢物語のような、荒唐無稽な未来のように思えるのだけれど、260日が経ってみると、まさにそれが現実になっていたことがわかる。時間というものが、何をすべて可能にする力があるのかを、そういうときほどリアルに感じることはない。それこそがまさに魔法であり、奇蹟なのだ。私たちは気がついていないことが多いけれど、この世界こそは、毎日が奇蹟に満ちた魔法の世界だ。

新しくなったツォルキンの新年に、この260日がどういう展開になるのかと瞑想していたら、平和が生まれるのだというイメージが現れた。平和。単に戦争が終わるというだけの平和ではなくて、本当にもう戦争が起こらなくなる平和だ。それがこのツォルキンでは現実化するというのだ。

今のこの状況からして、あり得ない話ではない。ウクライナでの戦争が一年半以上も続いたあとで、唐突にイスラエルで紛争が始まって、そのあまりの残虐さに世界中で反戦デモが激しくなっている。アラブはこれまであまりに破壊され、苦しまされてきた。しかし、今のこの展開は、これまでの戦争とは何かが決定的に違うようだ。アラブはもはや、やられっ放しにはなっていない。メディアでは、いつものようにイスラム過激派のテロに民主的な国民が蹂躙され、という物語を語っていたけれど、もうそんな物語を信じない人たちがあまりにもたくさんいる。

この半年ほどで、世界はすっかり変わってしまった。アラブもアフリカもアジアも、もうアメリカ資本の資金で言うなりにはならなくなっている。この30年ほどで、アラブやアフリカはあまりにも多くの戦争の犠牲になってきた。いつも同じ物語だった。親米政権が倒されて、自立していく政策に切り換えようとすると、テロ騒ぎが起きて、独裁政権だと言われ、空爆されたり、首相が暗殺されたりする。それが今、アメリカ政府の言うなりにならない国々が、攻撃されていないのだ。西側諸国に経済制裁をかけられていた国々も、今や経済的にも軍事的にも前より強くなって、西側諸国に対抗する勢力になっている。

第二次世界大戦後、もう戦争を起こさないためにと、戦勝国4国が主導する国際連合ができ、国連憲章を定めた。この国連憲章が守られるならば、よほどのことでもないかぎり、戦争は起こらないようになっている。しかし、その後も戦争がいよいよ続いていったのは、主導する戦勝国のうち西側2ヶ国が、国連憲章を守っていなかったからだった。西側政府を動かしている金融資本家たちが、危機を利用して軍事産業で巨額のお金を儲けていた。それで、メディアや政府を操って、戦争が続くようにしていた。

しかし、2週間前に始まったイスラエルの紛争では、多くの人々はその仕組みにすでに気づいているように思える。メディアがいくらイスラムの過激派テロと騒ぎ立てても、パレスチナを支援するデモは拡大するばかりだ。国連安全保障理事会の緊急会議で、アメリカが拒否権を使って、停戦決議を採択させなかった。世界の多くの国々は、アメリカの拒否権の行使が戦争を継続させてきたことを知っている。この国連の私物化とも言える暴挙を止めさせることさえできれば、戦争は起こらなくなるのだ。国際間の問題が起きたら、平和的に交渉して解決すればいいだけのことだ。戦争ビジネスで儲けようとする人たちがあらゆる手を使って煽り立てたりしなければ、どこの国だって軍隊を出動させたくなどはないのだから。

2月3日から10月20日までの260日のツォルキンでは、一極支配から多極化へと世界の構造が変わっていった。それはつまり、西側政府を動かしている金融資本家たちが、世界を思うように支配することができなくなったことを意味している。ウクライナの戦争で、多極化の中心になっていたロシアをつぶす計画が失敗に終わり、その気まずさをごまかすかのようにイスラエルでの紛争が唐突に始まった。しかし、それはもはや、戦争が起こる仕組みを世界の前で明かしているようにさえ見える。

2019年7月26日に白い魔法使いの13年が始まってから、今はその5年目だ。その一年目の夏に、私は熊野に行って、8月6日から15日までの間、縄文の聖地をあちこちまわって、縄文時代の平和のエネルギーを解放するセッションを行っていた。縄文時代には、1万年以上も平和の時代が続いていたという。その時代の人たちは、支配とか戦いとかいう価値観で生きてはいなかったのだ。だから、人間が戦わずに生きることは、たしかに可能なことだ。縄文時代にはあったその平和と調和のエネルギーを聖地の封じ込めを解いて解放することで、世界平和が現実化するはずだと思った。夢物語のことのようにも思えるけれど、私はそのことを確信していた。

それというのも、縄文の磐座を見て回っていて、どこにもかつての支配者による封じ込めがしてあることに気づいたからだ。祖霊との繋がりの場所、大地母神との繋がりの場所、天との繋がりの場所が支配者の権威に付け替えられていたり、悪魔的なものとして封じられていたりする。そうした場所の封じ込めを解くとは、つまりは意識によって付け替えを乗り越えていくことなのだ。そして、もともとの力にアクセスし、解放する。それが、遠隔ヒーリングと同様に、世界の集合意識を解放していく。そうした力が解放されたとき、人はもはや支配されなくなり、戦う必要もないことがわかってしまう。縄文の頃に一万年以上もの間、平和が続いたのは、人々がそうした力を知っていたからなのに違いなかった。

新しいツォルキンが始まった朝に、そのことを思い出したのだ。2019年の夏に、世界平和のエネルギーを解放して、戦争のない世界にしようとしていたことを。あれからの4年間、奇妙なパンデミックがあり、ウクライナの戦争があった。その激しいプロセスを通して、世界は永続する平和へ向かって変わっていっていた。一極支配の構造を知り、それに対抗するネットワークを作り上げていった。

イスラエルといったら、つねに戦争の中心になってきた場所だ。だから、もし世界から戦争が消えるのだとしたら、ここでの戦争が最後になるのかもしれない。何がどうなって終わるのかはわからないけれど、とにかくツォルキンの終わりには終わっているような気がした。それで、パレスチナの人たちに、世界中の人々が感謝しているようなイメージが現れてきた。戦後75年も続いた彼らの苦悩が、まさにそのためにあったのだということに、世界中の人々が気づいて、感謝しているイメージが。

ツォルキンの新年に、イスラエルとパレスチナの平和を作る魔法セッションを行うことになったのも、おそらく偶然ではなかったのだろう。それで、歴史を通じて戦いの中心になってきたエルサレムの聖地のもともとのエネルギーにアクセスして、その力を解放する作業を行っていた。

エルサレムの中心になるアル・アクサと岩のドームは、エネルギー的には大地女神のような女性的なエネルギーだった。まるで、地球のすべてをその子宮の中で育てて守っている力のように、とてつもない慈愛の力だった。それこそはまさに、ナザレのイエスが説いていた神の無限の愛というものだし、ムハンマドが説いている慈悲深いアラーの神そのものだ。それは、絶対服従すべきものだとかいう以前に、その愛の大きさに触れたら、誰もがただ感謝しかなくなるというようなものだと思う。服従するとかしないとかいう問題ではない。愛を受け取るかどうかということだけだ。

岩のドームの画像から、意識で地球の中心まで降りていってみると、そこは地球の女神の子宮のようになっていて、ただただ大きな安心感に包まれた。ここは、生命が絶えず生まれ続ける地球の子宮なのだ。生命の力の根源。まさにこの力こそは、平和を作り出す力だ。戦いも支配も必要がないことだとわかってしまう。だから、この力が封じ込められることにより、人は支配されるようになる。

この地球の大地の女神への信頼感。かぎりない慈愛の中に生きる安心感こそは、ナザレのイエスやムハンマドが伝えようとしたものだった。そして、まさにその力が、宗教権力によって封じ込められてきたのだ。とりわけローマ帝国の支配に使われてきたローマ・カトリック教会は、人々が神の慈愛に直接つながることを望まず、それを禁止して、異端者として処刑したりさえしていた。

岩のドームにある、その慈愛のエネルギーを、カギを開けるように開けて、その力が地球を包んでいくイメージをこしらえてみることにした。その力に浸ったら、宗教組織によって分断されてきた人々も、もともと同じ根源から出てきたことに気づくはずだ。戦争プロパガンダを信じている人たちは、恐怖によって操作されていて、この力から切り離されている。そういう人たちにとっては、この慈愛の海のようなエネルギーは、溺れ死ぬような恐怖でしかないかもしれない。己の利益のために戦争を推し進めようとしている人たちは、この力が解放されてしまったら、もう支配することができなくなり、地球での居場所を失って、地球の中心の生命の源へ戻っていくのかもしれない。地球の表面は大きく変わるだろう。しかし、時代の流れはもう止めることができない。新しい世界を創造していくことができない人たちは、地球から消え去っていくしかない。

それはまるで、ノアの方舟の洪水のようにも思えた。あの洪水は、アトランティスの大陸を沈めた洪水だったという説があるけれど、地球はときどき、そうやって世界の表面を新しくするのかもしれない。古い構造にしがみついて、人々に危害を加えることをやめることができない人たちは、地球の表面から消えていくのだ。そして、新しい世界を作っていく意思がある人たちだけが、生き残って、まっさらになった大地で生きていく。まさにそのようなことが、意識の領域で起きているかのようだった。そして、その洪水は、実のところは大地の生命の源の無限の慈愛なのだ。それを洪水で溺れ死ぬように感じるか、受け入れて愛に浸り、愛することを知って、平和的になるのか。

ノアの方舟の話で、洪水が引き始めたときに、大地が現れたかどうかを確かめるために、鳩を飛ばしたという話がある。鳩がしばらくして戻ったときに、オリーブの枝をくわえていた。それで、人々は、上陸できる大地が現れたことを知った。そのことから、オリーブが平和の象徴になり、国連のシンボルには、オリーブが描かれているのだそうだ。

エルサレムの岩のドームの向かい側に、オリーブ山という山があり、ここは地球のレイラインの喉のチャクラだということだった。ギザのピラミッドも地球の喉のチャクラだけれど、オリーブ山もそうなのだ。ノアの方舟に出てくるオリーブの生えた新しい大地と関係があるのかどうかわからないけれど、喉のチャクラは、新しい世界を作り出していく希望の力だと言える。

それで、岩のドームとオリーブ山の両方が写っている画像から、オリーブ山のエネルギーにアクセスして、その両方のエネルギーを世界に解放するために、自分が世界樹のように大きくなって、それによって、他の人たちも大きな世界樹のようになっていくようにイメージしてみることにした。大地深くに根を下ろし、天高く枝葉を伸ばす巨大な木。それは、意識体としての私たちが、もともと持っている意識の大きさなのだ。すると、まるでガジュマルの木のように根も幹も絡まり合って一つになっているような木が大きくなっていって、世界中を覆い始めた。私たち地上に生きている存在は、本当はこんな風に繋がり合って生きていたのだ。植物とも動物とも、ありとある生物、無生物とも。その意識がふいに戻ってきたかのようだった。

まさにこうした複合的な網の目のような繋がりの意識が、戦いと支配の時代を終わらせていくのだ。4年前から、パンデミック、ウクライナ、イスラエルと危機が作られていく中で、このような繋がりの網の目が確実に成長していったことに気づく。新しい世界、戦いも支配もない多極的な世界は、この繋がりによってできていくのだ。その世界で生きることは、これまでの戦いと支配の原理での生き方と違い、理解と創造性によって生きていくようなことなのだろう。

2023年10月22日


岩のドーム


オリーブ山と岩のドーム


樹齢4000年のオリーブの木(クレタ)


国連停戦決議を2つとも拒否して、採択させなかったアメリカは、独自の決議を提出したそうです。それは、ハマスに責任があるとして、イスラエルに防衛する権利があるということ、人質を返すべきだということが記してあるけれど、停戦については、人道援助のための一時的な休戦についても何も書いていないというものだそうです。

あからさまですね。パレスチナ人をガザに閉じ込めて兵糧攻めにした上、ガンガン攻撃していいっていうお墨付きを出させようってことですね。

ロシアと中国が常任理事国に入っているので、こんなもの通るわけはないんですけど、こんなものを出すなんて、時代錯誤なのか恥さらしなのかっていう感じです。

***



【ダブルスタンダードとエスノセントリズム】



ウクライナの紛争が一年半続いたあとで、イスラエルとパレスチナの間に紛争が始まったら、西側諸国のメディアと政府の取り上げ方がまるきり違うのが、くっきりと見えてしまっている。ウクライナでは、マリウポリの産院が爆撃されたときには、犠牲者は数人くらいだったけれど、とてつもない残虐非道な犯罪だと報道されていた。ところが、イスラエルがパレスチナの病院を爆撃して、一度に500人も亡くなった事件では、西側の政府もメディアも、イスラエルの戦争犯罪を非難する代わりに、自衛する権利として認めていた。

どこの国がやったのか、誰が犠牲になったのかで、基準がまるきり違うのだ。これがダブルスタンダードというやつなのだけれど、つまりは人種差別であり、不当行為だ。それは、民主主義ではないし、独裁主義というものだ。

ロシアが空爆したといったら、残虐非道な行為で戦争犯罪だけれど、アメリカがバクダッドをボロボロに空爆しても、それは自衛権の行使だというのだ。そして今、イスラエルがパレスチナを攻撃し始めたら、一日に何百人もが亡くなる被害が出ているのに、それは許容の範囲らしい。ウクライナでは、ロシアがクラスター弾を使ったと言って大騒ぎしていたけれど、アメリカが公式にクラスター弾をウクライナに送り始めたら、それは許容されるべきことになった。イスラエルは初めから禁止されている白リン弾やクラスター弾を撃ちまくっているのに、それについては問題にされてもいない。

イスラエル軍は、パレスチナの百万人もの人々を、一日で南部に避難するようにと強制した。避難しないなら、遠慮なく空爆するというのだ。これは、ハンブルクを爆撃するから、全員避難しろと強制するようなものだと、ドイツ人ジャーナリストのトーマス・レーパーは書いていた。これが西側諸国のことだったら、すさまじい人道に対する犯罪だとされるところなのに、パレスチナならそれも自衛のためだからいいということにされている。

それには、西側諸国が植民地主義的な考え方から、未だに脱皮できていないということがあるのだろう。異なる人種の人間を下等なものと見なすというのは、必ずしも自然に起こることではなく、植民地支配するために、植えつけられた意識なのだと私は思う。民族学者や言語学者たちが、単独で異民族の集落に行って調査している段階では、ヨーロッパ人たちもその民族に敬意を持っていた。ところが、支配するためにやってくる人々は、彼らを下等な存在だと考えようとするのだ。それは、彼らが暴力的に排除してもいいという口実になるからだ。あれは人間ではないのだから、人権がないのだと。だから、残虐な扱いをしてもいいのだと。

この200年ほど、植民地支配の戦争が続いてきて、世界は大きく変わった。北アメリカからは、ネイティブアメリカンが排除され、アングロサクソン人たちが支配するようになった。カナダでもオーストラリアでもニュージーランドでも、同じことが起こった。第二次世界大戦後は、パレスチナにユダヤ教徒の白人たちがやってきて、アラブ人たちを排除していった。パレスチナとイスラエルの間で起こっていることは、宗教戦争ではなく、植民地戦争なのだ。イスラエルは、北アメリカ大陸やオーストラリアで起こったのと同じ苛烈さで、アラブ人たちを絶滅させようとしている。

しかし今、植民地支配の時代は終わり、多極化の世界に移行しようとしている。この一年ほどで、世界は大きく代わり、もはや西側諸国は、アフリカやアラブに支配力を持たなくなった。アフリカやアラブの国々は、もう西側諸国の資金で言うなりにならなくなっている。そして、西側諸国のダブルスタンダードを批判し、公正さを要求し始めている。

イスラエルのパレスチナに対する攻撃があまりに非道なので、アラブ諸国やBRICS諸国は何とか停戦させようと、国連安全保障理事会に停戦決議案を出したり、急遽エジプトでサミットを開催したりしている。ところが、西側諸国があくまでもイスラエルの自衛権を認めさせようとするので、ちっとも停戦決議にならないのだ。自衛権はどこの国にだって当然ある。イスラエルにだってあるし、パレスチナにだってある。それを、イスラエルの方にだけ自衛権があると敢えて言うこと自体がおかしなことなのだけれど、つまりは西側諸国はイスラエルにパレスチナを攻撃させたいのだ。停戦させたくなどない。この植民地支配の戦争を正当化したいのだ。

今、まさにこの点で、世界は真っ二つに割れて争っている状態だ。しかしもう、イスラエルの攻撃を正当化しようとする国々は、少数派になっている。世界の大多数は、公正さを求めている。西側諸国の中だって、パレスチナ支援のデモが行われており、多くの人々はイスラエルの攻撃を批判している。

植民地主義的な考えは、現代の私たちの意識の中に、実はかなり深く残っている。それは、ある一つの民族文化の価値観を、すべてに適用しようとする考え方で、これを民族学ではエスノセントリズム(ethnocentrism 民族中心主義)とも言う。たとえば、戦後多くの国では、アメリカ文化がすべてにおいて優等だということになった。だから、アメリカ的な民主主義のシステムでないと野蛮な国だということになり、アメリカの音楽の方がかっこいいということになった。食生活も、アメリカ流が豊かで健康なあり方だということになった。こういう風に、それぞれの地域、それぞれの民族文化の特殊性を無視して、ある一つの基準で測ろうとするのが、エスノセントリズムだ。

一つの基準で見たときに、どちらが優等だとかどちらが劣っているとかいうことになる。政治のシステムだって、民族それぞれに公正なシステムというものを育ててきたはずで、それは選挙や政党や議会による民主主義の形とはかぎらない。それを排除させて、アメリカ的な選挙や政党や議会を作らせても、それで公正な社会ができるとはかぎらないのだ。事実、外から民主主義を押しつけられた多くの国では、腐敗が起こって、西側諸国のお金で操られているような状態になっている。

ロシアが今、世界の多極化の中心になっているのは、ロシア帝国の頃から、多民族を抱えて、それぞれの民族文化のあり方を受け入れ、理解して協調していくことに努めていたかららしい。民族文化というものは、全体として見なければならない微妙なものなのだと、プーチン大統領が何かのインタビューで言っていたのが印象的だった。民族学では、異なる民族のあり方を偏見を持たずに理解するために、自分の中にあるエスノセントリズムを乗り越えるということを、まず学ぶのだけれど、ロシアでは、その意識が政治家でも何でも、大事なこととされているようだ。

民族文化を全体として見ること。それはたとえば、政治システムが民主主義なのかどうかというような一本の物差しで測るのではなく、全体としてどう機能しているかを見ることだ。選挙制ではなく、首長制で治めている社会もあるけれど、そういうところでは、首長が人々のために働いていないときに、それを変えさせるシステムがちゃんとある。それで結果的には、社会全体が皆が幸せになるように動いていたりする。だから、選挙がないからとか、議会がないからとかいうことで、民主主義的ではないと言うことは実はできない。そういう個別の尺度で測るのではなくて、全体としてどう機能しているかを見る必要がある。それは、生態系を全体として理解するようなこととも似ている。

世界の多極化とは、だからエスノセントリズム的な意識から、それぞれのあり方を信頼する意識へと転換するプロセスでもあるのだと思う。私たちは、自分自身もつねに外から与えられたある基準で判断して、自分には何が足りないとか、何ができていないとか、思うようにされている。学校の成績表みたいに、誰もが一定の基準を満たしていないと一人前ではないみたいに思う癖がついているのだ。それで、いつも他人と自分を比べて、何ができていない、どこが自分はダメだ、と思っている。しかし、それはまさにエスノセントリズム的な意識だと言える。一つの基準で、誰もが同じように測られると思っている。だから、どちらが優秀なのか、どちらが偉いのか、ということで、ほとんど無意識に争うモードになってしまうのだ。

私たち一人ひとりも、それぞれにこの地上で果たす役割が違うわけだから、誰もが同じことが同じようにできなければいけないということはない。ある人には欠点のように思えることが、実は特殊な能力であることもある。何がいい、何が悪い、と決めてしまわないで、全体としてどう機能しているのかを見たときに、初めてそうしたことが見えてくる。それが見えてきたら、私たちは自分自身も他の人たちも、どうあるべきだという基準で押し込めようとするのをやめて、多様性を喜び合うことができるんじゃないかと思う。

そうした意識こそは、戦争がない世界へ転換するための意識のあり方じゃないかと思うのだ。そういう意識を持てたとき、世界は本当には、そのままでいかに豊かで多様で美しいかということが、わかるんじゃないかと思う。

2023年10月22日


今日の雲


エルサレムの岩のドームの天井


ロシアのタス通信のニュースからのドイツ語訳で、パレスチナとイスラエルの紛争について、両サイドの見解を報道しています。その中で、ガザ北部のイスラエルの被害状況についてのイスラエル側の報告で、一千ほどの遺体がDNA鑑定も不可能なほどに焼かれているとありました。専門家チームは、こんなものはかつて見たことがないと言っているそうです。

イスラエル側は、ハマスがやったテロ行為であると言っているんですが、ハマスがどうして証拠隠滅になるようなことをわざわざする必要があるのかと思います。ハマスに捕らえられていた人質の女性が、ハマスは紳士的で、イスラエル軍がイスラエル市民を撃ち殺していたと証言していることからすると、イスラエル軍が証拠隠滅のために焼いたんじゃないかという気がします。死因になった武器がイスラエル軍のものだということがわからないようにする必要があったんじゃないかと。

これからいろいろな事実が表に出てくるんじゃないかと思いますが、しかし、世界中の多くの人々は、ハマスが極悪テロリストだというイスラエルの宣伝を信じてはいないようです。

これはやっぱりイスラエルの被害を示すものとして出ていた画像ですが、どれも演出された撮影っていう感じです。ずっと前からあった廃墟を写しているか、フォトショップで焦げた色や血の色をつけてるみたいだし、多くは単に散らかった部屋って感じです。
投稿者は、デジタルクリエイターだそうです。こんな画像しかないんなら、本当にぜんぜん被害ないんじゃないかと思いますね。

https://www.facebook.com/maorohevami/posts/pfbid02KqTeVJn9bCXm9WTw6UR9v5kRrPDbnLwWHchiQy7DLSMFAjtuGPm4ELDpD5Hd2hKKl

לא לעבור בפוסט הזה מבלי לשתף את השואה הזאת. שתפו והפיצו לעולם את הזוועות!! בארי #בארי Aviv Abergel Photography צילום:

Posted by Maor Ohev Ami on Friday, October 20, 2023

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【伝統を守る自由】



近代になって、自由という概念が、伝統や様式を破壊する理由として使われてきたということがある。自由じゃないからという理由で、伝統的に守られてきた形式を壊していくのが、いいことのように思われてきた。しかし、自由と言うならば、伝統の様式を守る自由だって守られるべきではないのかと思う。芸術でも音楽でも社会でも、「自由でなければ」という理由で、伝統を守る自由が奪われてきたというのが、事実なんじゃないかと思う。

伝統的に守られてきたことには、全体の構造を見たときに、すべて意味があって機能していることがわかる。例えば、鎮守の森の木を伐ってはいけない、というのは、水源や生態系を守る意味があったり、人々が逃げ込める場所を確保していたといったことがある。一人ひとりはそれを理解していなくても、そういう掟だからというので守ってきた。「自由でなければ」といって伝統的に守られてきたことを壊すのは、実のところ、そこで多様な生き方を可能にしていた空間を壊してしまうようなことであったりする。

私の大学院時代に、人類学者の西江雅之先生が、比較文化論の講義で語っていたことがある。アフリカの原住民が、ある場所にあるシンボルがついているのを見て、「ここを通ったらバチが当たるから」と別な道を通っていくのを見て、西洋人は「アフリカ人は迷信を信じている」と言うけれど、それは「立入禁止」と書いてあるのと同じことだ、と西江先生は言っていた。あの講義は自由課目で、民族学や言語学の学生ではなく、いろいろな国から来ている留学生たちや文学、建築学の学生などが集まってきていた。そこで西江先生が教えていたのは、社会を全体として見るということだったと思う。部分だけを見ても、それがどういう意味があり、どう機能しているのかはわからない。だから、必要がないんじゃないかとか、迷信を信じているんじゃないかとか言って、そんなものはなくしてしまえばいいと言う。だけど、ある文化、ある社会を理解するには、全体を見る視点こそが必要なのだ。

イランの女性たちが、外に出るときにヒジャブという布を頭から被っていなければいけないのは、女性に対する抑圧だと言って、抗議運動が起こったというニュースがあった。しかし、あれは実のところ西側の組織が資金を出して組織していたらしい。西側の感覚からしたら、ヒジャブ強制は抑圧のように思えるけれど、イランの女性たちは、それを抑圧とは受け取っていないようだった。実際、イラン女性はヨーロッパ女性よりも自己主張がはっきりしているようなところがあって、抑圧されている人たちのようには思えない。だから、ヒジャブが女性に対する抑圧だという考えの方が偏見なのじゃないかと思う。ヒジャブを被ることにどういう意味があるのかは知らないけれど、それによって彼女たちは、イラン社会の中で、ある特別な敬意や権利を受けているように見える。

伝統的な社会には、いろいろな決まりや強制があるけれど、それは全体として見たときに、生態系のような大きな構造を作り出している。そして、その中でそれぞれの人々がそれぞれのあり方で生きる自由を確保していたりもするのだ。実際、そういうところがあるからこそ、伝統的な規則は守られていく。それは、決して意味のない強制ではない。

しかし、伝統的に守られてきた規則が守られなくなっていくとしたら、それは伝統が全体として有機的な構造を失っているからなのだろう。例えば、家父長的な伝統は、父親が農家や商家の主として、家族全員の経済を守る責任を負っていたからこそのものだった。ところが、学校制度ができて、子供たちが伝統文化ではなく国家が指定する価値観に従って生きるようになり、自立した経済が成り立たなくなって、父親も企業の雇われ人になって賃金労働するということになると、もはや全体として有機的な機能を失ってしまう。そこで、家長としての権限だけを要求しても、ウザがられるだけだということになる。

この100年ほど、資本主義的経済が、伝統社会を破壊しながら成長していった。そこで人々は、伝統社会の強制から自由になれるからと、お金社会の奴隷になっていったのだ。お金さえあれば、伝統に従う必要もなく、何でもできるからと。自由と平等という価値観が、そこではまるで悪魔の誘惑のように、人々を囚われの身にするべく使われていった。

伝統社会は、人々がそれぞれに自立した生活を確保するために機能していたのだ。生活に必要なものを独自に生産し、それを生態系としても持続していくように循環させていくシステムだった。その中で、人々は生活が保障され、それぞれのあり方が受け入れられるような環境を作っていたのだ。それが、自由と平等とか民主主義という価値観で、否定され、破壊されていった。自由を言うならば、伝統に生きる自由だって守られるべきなのに。

10月7日に始まったイスラエルとパレスチナの紛争で、元の原因になっていたのは、エルサレムの聖地をイスラエルが乗っ取ろうとするようなことをして挑発していたからだったそうだ。かつてエルサレム大聖堂が建っていたところは、8世紀の頃からイスラム寺院になっている。それは、ユダヤ教徒やキリスト教徒にとっては、イスラムに奪われた、ということになるのかもしれない。しかし、イスラム教も元は同じ神さまを信じる宗教なのだから、奪われたとか思わないで、新しい宗派みたいに受け入れたっていいんじゃないかと思う。カトリック教徒の人だって、プロテスタントの礼拝に出たら、プロテスタントのやり方に従うし、シナゴーグに入るときには、頭を覆う帽子をかぶる。だからイスラエルの人たちも、イスラム寺院ではイスラムの流儀に従って、ムスリムたちと一緒に回廊をまわって神に祈ったっていいんじゃないかと思うのだ。

イスラエル政府は、エルサレムのイスラム寺院を破壊して、エルサレム大聖堂を再建したいらしい。イスラム寺院ももう壊してしまって、誰でも自由に入れるようにしたらいいんじゃないかという話もあるみたいだけれど、1000年以上もイスラムの聖地として機能してきたものを、壊す必要はないと思う。その伝統に対して、敬意を払うべきなんじゃないかと思うのだ。

私はどの宗教にも従っていないけれど、イスラム教はユダヤ教、キリスト教の系列で、最も進化した宗教だと思っている。それは、イスラム教は、偶像崇拝を排除するということを、ついに実現したからだ。イスラムの寺院には、神像のようなものは何もなく、祭壇のような中心になるものさえない。そこには宗教権威を持つ司祭のような存在もいなくて、ただ祈りの主導をする人がいるだけだ。そして、ただ宇宙そのもののような空間が広がっているところで、礼拝を行っている。その何も頼りにするものがないような状態で、人々はそれぞれに内なる神と向き合っているように思える。

しかし、それぞれの時代、それぞれの土地で、最適な宗教の形というものがあるのだろう。宗教で重要なのは、人々が宇宙的な大きな全体の中で生きているという感覚を持てるようにすることなのだと私は思う。自己中心的な損得勘定ではなくて、全体として有機的に機能している構造の中で生きているのだということをだ。だから、どういう戒律があるからどうこうとかいう話ではなくて、人々が全体性の感覚を持てていて、その中で信念を持って生きていくことができているかどうかということが重要だと私は思う。東欧の人たちには、正教会が合っているんだと思うし、東アジアでは仏教が合っているのだと思う。それぞれの土地にそれぞれの宗教があることこそが、多様性というものだと思う。

エルサレムのイスラム寺院を破壊して、エルサレム大聖堂を建てようなんて、植民地主義的な時代錯誤でしかないという気がする。そんなことをユダヤ教徒の人たちが本当に望んでいるとも思えない。第二次世界大戦後、パレスチナの海岸に、最初のユダヤ人の移民船が到着したとき、パレスチナのアラブ人たちは、新しい移民者たちを歓迎して、料理を振る舞ったそうだ。彼らは、イスラエルが植民地支配のためにやってきたことを知らなかったのだ。新しくやってきた友人として扱った。ところがイスラエルにとっては、アラブ人たちは排除するべき存在でしかなかったのだ。

イスラムは、他の宗教には寛容なのだ。キリスト教もユダヤ教も仏教も、それぞれの啓典を持ち、大きな宇宙の全体性の中で信念を持って生きることを教えている宗教だから、同じ仲間として敬意を払うようにコーランは教えている。アラーの神はかぎりなく慈愛深い神であり、だから人々にも慈愛を持って接するようにと教えている。イスラム帝国の都市には、だからありとある宗教の寺院が同居していたそうだ。イスラエルができる前のパレスチナでも、いろんな宗教の人たちが一緒に暮らしていたのだ。イスラム帝国では、イスラム教徒以外は税金を払わなければならなかったけれど、税金さえ払えば、どの宗教を信じていてもかまわなかった。この税金が宗教差別だったという話もあるけれど、本当にそうなのかどうかは疑問だと私は思う。実際、イスラムの都市では、あらゆる宗教が認められていたために、非常に多彩な民族文化があったと言われている。イスラム教徒たちは、富裕な人々は何かにつけて貧しい人たちに施す戒律に従っていて、それが社会福祉のように機能しているから、それを考えれば、そうした戒律に従わないイスラム教徒以外の人たちが、その代わりに税金を払うというのは、理に適っているように思える。

この200年ほど、自由や平等や民主主義という概念で、世界中で伝統的な自立したあり方が破壊されていき、多くの人々を資本主義経済に依存するお金の奴隷にしてしまったのだ。私たちは伝統文化に守られることのない、国家の虜のようなものだ。今、その近代国家のシステムが崩壊するステージにあって、その正体が見えてきているのかもしれない。自己中心的な損得勘定で、自由や平等を考えるのではなく、全体として機能する社会の全体を見たときに、初めて本当の意味での自由や平等というものが見えてくる。

一極支配から多極化へと時代が転換していこうとしている今、全体として機能する有機的な構造を見る意識が重要だ。その視野で事態を見たとき、多極化の世界というものが、多彩でありながら調和する、生き生きした全体として、リアルに見えてくるんじゃないかと思う。

2023年10月24日


写真展会場での西江雅之


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【ハルマゲドンとは何なのか?】


イスラエルとパレスチナの間で紛争が始まって、いろんな人たちが、ハルマゲドンが来るのではないかと言い出している。アメリカの軍事専門家で元国連武器監査官のスコット・リッターは、イスラエルがガザに侵略したりしたら、イランとレバノンのヒズボラが介入してきて、ハルマゲドンになるぞと言っていた。アメリカの退役大佐ダグラス・マグレガーは、タッカー・カールソンのインタビューで、アメリカが軍事介入したりしたら、トルコとロシアが介入しないわけに行かなくなるから、ハルマゲドンになる、と言っていた。

スコット・リッターもダグラス・マグレガーも、軍事の視点で状況を見ている。戦略的に言って意味があるのかどうかで、軍をどう動かすべきかということを考える人たちの視点だ。二人とも、この紛争でイスラエルに肩入れするのは勝算がないし、大規模な犠牲を引き起こす可能性が高いという見解だ。だから、停戦交渉するべきだと言っている。

ところで、ウクライナでも見てきたけれど、政治家というのは、軍事とはまた別な視点で状況を見ているのだ。彼らは、軍事的に意味がなくても、戦争をやめようとしなかったりする。軍事的には意味がなくても、金銭的には意味がある。戦争を続けるかぎり、武器が通常の何倍もの値段で売れ、巨額の税金を軍事産業に流す口実ができる。だから、軍事産業に投資している金融資本家たちは、勝算などなくても、戦争を続けようとする。金融資本家からリベートをもらったり、武器を転売したりして儲けている政治家たちは、何とか戦争を止めまいとして、無茶なことまでしたりする。

ロシアのプーチン大統領は、軍隊の諜報部に長年勤めていて、ありとある策略に通じていたから、世の中の闇の領域はもうすべて知り尽くしたと思ったそうだ。ところが、政治家になったとたん、政治家に比べたら、軍人なんかは子供のようなものだということに気がついた、と言っていた。軍人ならば、得策でないから攻撃をやめようと思うときでも、政治家はやめなかったりするのだ。軍事的な策謀よりも、さらに汚い世界がそこにはある。

ところで、ハルマゲドンとは何なのだろう? これは、ヨハネの黙示録に出てくる地名で、「メギドの丘」という意味だろうと言われている。そこに王たちが呼び集められて、地を破壊し尽くすような戦いが起こるという話になっている。そもそもヨハネの黙示録とは、ヨハネが天の使いから受け取ったメッセージで、これから世界に起こることの予言だということになっている。天の使いに与えられた書物の封印を解くと、世界にありとある災いが起こり始めるという話で、神の怒りがそれを起こすのだということになっている。

ヨハネの黙示録には、戦いばかりではなく、疫病やら害虫やら、天変地異やら、海や大気の汚染やら、いろいろな災難のイメージが出てくる。悪魔崇拝のような宗教だとか、身体に徴がついていないと買い物ができなくなる管理社会のイメージも出てくる。それはすべて、これまでの歴史で私たちがすべて経験してきたもののように思える。この100年ほど、人類はありとある闇を経験してきた。意図的に毒や害虫がばらまかれたりもしたし、ありとある破壊力の強い爆弾が投下されもした。水も海も毒が流されて、多くの生き物や人間が死んだりもした。激しい地震が起こされたり、山が破壊されたりもした。ヨハネの黙示録に出てくる話は、現在の世界の状況と比べて、それよりもひどいものでは決してないと思う。私たちはすでに、その世界にどっぷりと生きているのだ。

ところで、ハルマゲドンに王たちが呼び集められて戦いが始まると、そこで「事はすでに成った」という声がして、そこからは邪悪な人々が裁かれ、滅ぼされていくイメージに変わっていく。「大いなるバビロンの都」は3つに裂かれ、諸悪の象徴として出てくる「淫婦」は焼き滅ぼされ、その快楽に溺れていた「王たち」は嘆き悲しむ、とある。これは、これまでの200年ほど、世界を支配していた金融資本家たちの没落を表しているように思える。彼らは戦争や病害や災害を自ら引き起こして、それによってまわるお金を使って人々を誘惑し、ともに悪事を成すように操っていたわけなのだ。黙示録に出てくる「淫婦」とはそれを表しているようだし、それが焼き滅ぼされて嘆き悲しむ王たちとは、それによって富を得ていた腐敗政治家たちのことを言っているようだ。

そのあと、千年王国ができて、また堕落し、滅ぼされたりするのだけれど、最終的には、「聖都エルサレム」が天から降りてくる。そして、そこには聖所がなく、「神とその子羊」が聖所なのだということになっている。これは、もはや教会や寺院のような宗教組織を人々が崇拝することがなくなり、内なる神とともに生きるようになるということを表しているように思える。

ハルマゲドンだと言われているメギドの丘とは、イスラエルのハイファとガリレアの海の間のあたり、ナザレの南西の辺にある。そこは、古代から交通の要所で、いろいろな戦いがあった場所なのだそうだ。レバノンとシリアとヨルダンの国境に近いあたりだから、今、イスラエルとパレスチナの紛争が国際紛争に発展したときに、戦場になる場所かもしれない。

今、世界中の多くの国は、イスラエルに停戦させようとしているけれど、イスラエルとアメリカは断固としてやめようとしないようだ。軍事的に言ったら、イスラエルには勝算はないにもかかわらず。そしてこれはまさに、黙示録に出てくる「淫婦」が表す金融資本の力に誘惑されているからなのだ。すでにイスラエル軍は、レバノンやシリアを攻撃しているから、この近隣のアラブ諸国は「淫婦」を焼き滅ぼす王たちになるのかもしれない。そこで「事はすでに成った」ということになり、「淫婦」によって富を得ていた人々は、支配力を失って嘆き悲しむことになる、ということになりそうだ。

このことが起こるために犠牲になったパレスチナは、まるで黙示録に出てくる「罪なくして屠られた子羊」のようだ。そして、その犠牲を贖うための「神の激しい怒り」とは、パレスチナを支援するためにやってくるアラブの国々の戦う意志のように思える。そして、最後に現れる「聖都エルサレム」とは、解放されて独立を果たしたパレスチナの首都となる東エルサレムのことではないかという気が、私にはする。そこには「聖所がない」とされているけれど、今あるイスラム寺院は、それまでのユダヤ教やキリスト教の教会のような崇拝の対象ではなく、ただ人々がそれぞれの神と繋がりながら、回廊をグルグルと回る場所なのだ。

もちろん、戦争など拡大しない方がいいけれど、しかしどうしても戦争を続けようとする人々がいて、それはまさに「どうしても悔い改めようとしない人々」のようだ。この人たちは、自らの「ハルマゲドン」へと飛び込んでいっているようなものだということになるのかもしれない。だから、「ハルマゲドン」が起こるなら、起こればいい、ということなのだろう。それによって、世界は金融資本の支配からついに解放されて、本当に内なる神とともに生きていける、平和で美しい世界ができる、ということのようだから。

2023年10月25日


メギドの丘


メギドの丘の位置。メギッド国立公園の中にある。


赤がハマスをテロリスト集団としてみなしている国だそうです。他の国は、ハマスを正規の解放軍と認めているということです。エジプトは赤になっていますが、数年前にハマスを闇組織ではないと認めているそうです。要するに、アメリカの傘下にある西側諸国だけが、ハマスをテロリスト集団と言っているだけだということになります。


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