#53 上司①
わたしの上司‥ではなく、
女性同士の恋愛物語。
フィクションです。
大学を卒業するとすぐに社会人として見られるようになる。最初はそれが重荷だったし、もっと学生気分を味わいたかった。
でも、そんな気持ちは「ある女性」によって変わっていった。
桜が咲く頃。不安になりながら初めての場所に向かった。
「あ、今日からお世話になります。Cと申します。よろしくお願いします。」
優しそうな上司だった。
「こちらこそよろしくお願いします。では仕事の説明をしていきます。」
わたしは上司に仕事のことをたくさん教えてもらいながら、時にプライベートの悩みなんかも聞いてくれた。
お互いに上司-部下という関係ができてきた頃にはもう研修期間は終わりに近づいていた。
やっと独り立ちだと思って少し嬉しかった。でも上司とは別の部署になってしまう。寂しさの方が大きかった。
そして研修最後の日。わたしから上司に「ご飯行きませんか?」と言ってみたら快諾してくれた。
「あなたなら新しいところでもやっていけるよ!大丈夫!」
その言葉が安心させてくれるような、でもより寂しさを実感させるような。そう、この頃にはもう恋心が芽生えていたから。
「そうですかね…。」
ちょっと不安げに呟いてみた。
「本当に何かあったら連絡してね!遠くから見守ってる。さあ、もう少し呑む?」
ありがたかった。そして酒も美味しかった。でも離れることはもう確定している。そんな寂しさを紛らわすために酒のペースも早くなった。
「!?そんなに呑んで大丈夫!?」
もう自分では止められない。
「大丈夫です…………」
だめだ、眠気がマックスになった。
目が覚めると見知らぬ場所にいた。
「大丈夫?お水飲む?」
「ここは…?」
上司の家だった。いかにも可愛らしい部屋だった。でもそれ以上に気になるのは上司の服装だった。タンクトップにショートパンツ。いつものきっちりした格好とは違かった。
ぼーっとしていると上司が顔を覗き込んできた。
「さては!私の別れるのが寂しいの?なーんて!」
ギュッ………………。
思わず上司を抱きしめた。
と思ったらベッドに押し返された。
「え………!?」
「目、閉じて」
言われたままに目を閉じる。
くちびるが重なる。
首筋からデコルテ、胸のあたりまでキスをされた。
「気づいてた?ずっと、好きだったの」
続く
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