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謎を解いて桜を見た話

 小田急電鉄が開催する謎解き『特急!ロケハントレイン!アシスタントと奇妙な手紙』に挑戦してきた。
 プレイヤーは映画監督の新人助手。撮影の予定が迫る中、脚本が完成しておらず、帰り道で不思議な手紙を拾うところから、小田急沿線を巡りながら脚本を仕上げていくというストーリーになっている。
 朝の10:40頃から取り掛かり、途中で昼食やお茶を挟みながら、クリアしたのは17:30頃だった。

 新宿駅からスタートし、色々な駅を巡った。面白かったし、難易度もちょうど良かった。謎解きは終盤の方が難しいのがお約束な気がするが、この謎解きは序盤の方が苦戦した。終盤の方が行き慣れた場所だったり、土地勘があったりというのもあるかもしれない。2ヶ所だけどうしても分からなくてヒントを見てしまったのが悔しい。

 謎とはいっさい関係ないことだが、謎解きの休憩がてら寄ったマクドナルドで、お爺さんとお孫さんの2人が僕の隣の席に座った。お爺さんはサラダを注文したが、パキッテの使い方が分からず、ドレッシングのをかけられず困っていた。お孫さんもまだ幼く、まだ分からない様子だった。困ったお爺さんに「ドレッシングはどう出すんですか?」と訊かれた。こればかりは電車の乗り継ぎとは異なり口で説明するのは難しく、実際にやってみせた。「ああーこれ逆に折るんだ……ありがとうございました」とパキッテに感動していたお爺さんであった。どうやら平たい方を内側に、縦向きに折ろうとしていたらしい。休憩も終わり、次の目的地はどこか謎を解いて割り出そうとしていたところだった。僕はここでヒントを見ることとなったのである。

 続編にあたるスペシャルエピソードもあるらしいので、後日また挑戦するつもりだ。


 染井吉野が見頃を迎えた。本当であれば六本木でディナーを食べながら見るつもりだったが、六本木に行った当日は桜が全く咲いておらず、「花より団子」どころか「もはや団子しかない」状態だったことを思い出した。

 リベンジというわけではないが、昨日は仕事帰りに地元で夜桜を見た。

 桜がライトアップされているわけでもなく、桜の名所というわけでもなく、どこにでもあるような小さな公園である。桜の木は1本しかなく、たまたま近くに街灯が1本立っていて、たまたま桜の花を照らしているだけの場所の過ぎない。
 昼間ならともかく夜にこの公園にわざわざ立ち寄る者もおらず、僕だけが知っている秘密基地のような高揚感さえあった。偶然が生み出した桜のライトアップはどこか妖しげで不気味で、それがまた美しく感じられた。

 実のところ夜桜を見たのは初めての経験だった。昔から憧れていたが、家族は付き合ってくれなかったし、友人と見に行く話も「夜に出歩くな」と言われおじゃんになったし、そういったことを言われなくなってからは都会の喧騒に呑まれて桜どころじゃなくなったしで、なかなかチャンスに恵まれなかった。ようやく、長年の夢が叶った心地であった。


 今日は別の用事のついでに線路沿いの公園まで足を延ばした。

 夜桜の妖艶さも好きだが、青空の下の桜が僕はやはり好きだ。特に染井吉野は白に近い色をしているためか、青空がよく似合うように思える。

 線路沿いの公園を選んだのもたまたまアクセスが良かっただけに過ぎず、僕自身も鉄道ファンというわけではないが、折角ならばと無性に電車と桜のコントラストを楽しみたくなった。小田急線沿いだったので、ロマンスカーを写真に入れられたらいいなと思い、スマートフォンでロマンスカーの時刻表を検索した。
 ロマンスカーはたまに乗ることがあるが、それこそスマートフォンでポチッとネット予約してしまうので、時刻表なんてちゃんと見るのは初めてだった。そこで初めて知ったのは時刻表に車種が載っていることだった。粋な計らいだなと思い感心した。

 後に別の用事も控えていたので、間に合うように帰らなくてはいけなくて、その間にロマンスカーが通ればいいなと思ったのだが、奇跡的に時間が合ったので、公園で待ってみることにした。しかも車種はGSE。「赤いやつ」くらいの知識しか僕にはないわけだが、写真映えを考えれば最高だった。

 そういうわけで普通の人が鉄道ファンの真似事などしてみたのだが、時刻表の粋な計らいと鉄道が織りなす美しい光景を知る機会になったのは良い経験だった。

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