村井千尋@R fragrance

R fragrance / Founder,Perfumer,Creator 香料の知…

村井千尋@R fragrance

R fragrance / Founder,Perfumer,Creator 香料の知識や調香技術の専門教育を受け、企業で調香師として勤務した後、独立。2017年に香水ブランド「R fragrance」を発表。香りや香水の様々なことを、ものづくりの現場からお届けいたします。

最近の記事

桃の香り(花・葉)

本日3月3日は、桃の節句・ひな祭り。 魔除けの効果を持つと信じられている桃を「百歳(ももとせ)まで生きられるように」と、不老長寿の願いを込めて飾る習慣があります。 この桃ですが、花にはあまり香りはなく、わずかにバラ様の香りがうっすらとします。 以前、フィールドワークで桃畑に伺ったことがあります。 ちょうど摘花の時期で、許可を得て、果実の成長に差し支えない範囲で花や若葉を採取させていただきました。 花と若葉を入れた容器と、若葉のみを入れた容器をそれぞれ持ち帰り、帰宅後に容

    • プロがプロたる所以は何か?(2024年2月11日X投稿分)

      「調香師」は国家資格ではありません。 故に、学びの程度や実績の有無に関わらず「調香師」を名乗ることもできます。 ですから、この肩書きだけでは知識や技術の高さの裏付けとはなりません。 私自身も香料についての専門教育を受けていますが、それのみでは実践において知識や技術が圧倒的に足りないことを、当時は身を持って実感したものです。 私の場合は、専門教育を受けた後、一般企業に在籍して、知識や技術を磨き、実績を積んだ後、独立してフレグランスブランドを立ち上げました。 香水とは、香料

      • 日本におけるドメスティックブランドの取り扱い(2024年2月3日X投稿分)

        海外出張の際、限られた時間でおおよそのその国を知るために、百貨店や店舗に立ち寄ることにしています。 特に百貨店は、その国の象徴的なブランドを取り扱っている印象があるからです。 私の場合、グローバルブランドの他に、ニッチなドメスティックブランドの扱い方を見る機会が多いように思います。 実際のところ、訪れた多くの国で、ドメスティックブランドのためのコーナーを小さくとも設けていたり、積極的に取り扱っているのを体感したりする機会が多く、結果としてその存在や、その国の方々の自国への

        • 調香師として大切にしていること(2023年6月10日X投稿分)

          調香師として大切にしていることの1つ。 それは、香りにこだわるだけではなく、大切なお客さまの安全のために規制を遵守すること。 香料の規制は年々厳しくなっています。 例えばイランイランの天然香料は、皮膚感作が理由で現在は香水に0.73%しか使うことができません(IFRA数値)。 私たちのクリエーションは、お客さまに楽しんでもらうためにこのような厳しい制限の中で試行錯誤を重ね、懸命に取り組んでいるものです。 香水を含む化粧品の製造に携わる人間として、法律や規制を遵守し、安全

        桃の香り(花・葉)

          新フレグランス「オー ド アール オーデコロン」発売日を迎えて(2023年4月5日X投稿分)

          本日発売の新フレグランス「オー ド アール オーデコロン」。 私にとってオーデコロンとは、濃度を表す単語以上のもので、ブランド設立当初から「いつかはオーデコロンを」と、どこか憧れにも似た特別な気持ちがありました。 フレグランスの歴史を振り返る際、その重みをひしひしと感じると共に、今日までオーデコロンをはじめ、香りや香水文化の発展に尽力してきた先人たちへの敬意と感謝の念が尽きません。 オーデコロンとは、ひとつの伝統的な完成形であり、それぞれのブランドが様々な解釈で香りを発表

          新フレグランス「オー ド アール オーデコロン」発売日を迎えて(2023年4月5日X投稿分)

          香りのピラミッドとは(2022年11月17日X投稿分)

          香りのピラミッドとは、時間とともに変化する香りのイメージを可視化したものです。(あまり変化のない香りもあります) ピラミッドには、フルーツやスパイス・ハーブ・花・木の種類などが書かれていますが、基本的には書けるもののみを書いていることが殆どです。 合成香料を使用している場合、その香気成分が含まれている天然の動植物に当てはめるか、実際には含まれていなくともそれらしい香りがしたら名称を書くか、“グリーンノート”のようにまとめるか、著名な合成香料はそのまま香料名を記載することもあ

          香りのピラミッドとは(2022年11月17日X投稿分)

          ブランド誕生5周年を迎えて(2022年3月1日X投稿分)

          初めての香水をまとった時、当時まだ幼かった私は、背伸びをしながらも少し大人になれたような、なぜだか誇らしいような気持ちになったことを今でも明確に覚えています。 ちょうど5年前の今日、R fragranceは3種類の香りとともにこの世に誕生いたしました。 それから今日まであっという間に時が過ぎました。 悩みながらも私なりに様々なことを追求し、皆さまに助けられながら進んだ日々が思い出され、今日を迎えられたことをとても感慨深く思います。 いつもブランドや香りに愛をもって携わって

          ブランド誕生5周年を迎えて(2022年3月1日X投稿分)

          誕生3周年のご挨拶(2020年3月1日X投稿分)

          3年前の今日、R fragrance JAPANは3つの香りとともにこの世に誕生いたしました。 おかげさまで、今日という日を迎えられたことを皆さまに心から感謝申し上げます。 日本の気候や風土・文化に合わせて 日本国内で 日本人の繊細な感覚で作られた香りは 湿気の多い日本の気候の中でも まとった方を魅力的に見せることができる アールフレグランスはそんな考え方から生まれたブランドです。 日本ならではの高い精神性や繊細さを表現すると同時に 癒しや潤いを取り戻し 豊かな心になる

          誕生3周年のご挨拶(2020年3月1日X投稿分)