新フレグランス「オー ド アール オーデコロン」発売日を迎えて(2023年4月5日X投稿分)

本日発売の新フレグランス「オー ド アール オーデコロン」。

私にとってオーデコロンとは、濃度を表す単語以上のもので、ブランド設立当初から「いつかはオーデコロンを」と、どこか憧れにも似た特別な気持ちがありました。
フレグランスの歴史を振り返る際、その重みをひしひしと感じると共に、今日までオーデコロンをはじめ、香りや香水文化の発展に尽力してきた先人たちへの敬意と感謝の念が尽きません。

オーデコロンとは、ひとつの伝統的な完成形であり、それぞれのブランドが様々な解釈で香りを発表しています。

オーデコロンを調香する時に、おおよそスタンダードな香料がいくつかあります。
歴史に敬意を払いつつも、この概念を壊してみたくなりました。

オーデコロンとしての構成は大きく変えずに、日本で採れる原料を使って調香したらどうか?
日本には素晴らしい香りの原料がたくさんあります。
オー ド アールに使用した国産の和柑橘であるかぼすもその1つです。
他の和柑橘も試しましたが、私の考えるオーデコロンには、かぼすがしっくりとくるようでした。

和柑橘といえば、真っ先に柚子が思い浮かぶ方も多いとお思います。
柚子は少し加えるだけで特徴が出やすいのに対して、かぼすは特徴を残したまま調香するのに技術が必要な天然香料だと感じます。
調香師の仕事はアコード(調香)を取ることですが、今回はいつにも増して慎重に香りを重ねました。

かぼすは、瑞々しく酸味のあるフレッシュグリーンノートに、ややスパイシーな香りを併せ持つ、香り高い柑橘類(シトラス)です。
かぼすの果実は熟すと黄色になりますが、熟す前の青玉の方が香り豊かです。
青玉の深い緑色からくるイメージとは裏腹に、香りはとても繊細。
私のルーツである日本がこれほど豊かな国であることを大変誇りに思います。

新しいチャレンジには様々な困難がつきものですが、素晴らしい原料や環境が整い、周囲のあたたかな協力もあり、ようやく今日皆さまにお披露目できます。
ブランド名を冠した、R fragrance謹製オーデコロンをどうぞお楽しみください。

2023.4.5
R fragrance
調香師
村井 千尋

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