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新聞音読で暗黒新入社員時代を乗り越えた話

来月、私が携わっているPolarisトークイベントで、再生プラスチックステーション pebbles(ペブルス)を運営している太田風美さんに登壇してもらうことになった。太田さんは、調布にあるコミュニティースペースで、ペットボトルの蓋をプラスチックボードに再生する活動をしている。

活動のきっかけを聞くと、数年前にあった、とある国会議員の「LGBTには生産性がない」という発言だという。自分はLGBTではないけど、生産性で人を測る発言にすごく追い詰められたと話してくれた。

当時、太田さんはまだ大学生。そんな若者にまで辛い思いをさせたなんて、言った本人は考えもしないだろう。

そう思いながら、ふと、私も自分のことを生産性で測っていたときがあったことを思い出した。

存在意義に悩んだ新入社員時代

私は新入社員のころ、ずっと自分の存在意義について悩んでいた。

当時は新規事業の立ち上げ部門にいて、「社運がかかっている」と役員に言われながらも、現場から理解がされず、協力も得られず、感謝なんてされるわけもなく、「本当に私の仕事は必要なんだろうか。」と思っていた。

自分がやっている仕事の意味がわからない。何の価値も生み出していない自分なんて、会社にいる意味があるんだろうか。そう思っていた。

就職氷河期になんとかつかんだ内定。正直、事業内容にはまったく興味がなかったけど、入社したらなんとかなると思っていた。だから、適当な気持ちで入社した自分にバチが当たったのだと思った。

社会がわかると、自分の居場所が見つかった

そんな鬱々とした日々の中、日経新聞を読み込め、とアドバイスしてくれた人がいた。

その人が教えてくれたのは、
狭い視野で存在意義なんて考えるな。もっと引いて自分の仕事を見ろ。
ということ。

より具体的に言うと、世界・日本・会社、3つの視点で自分を見ることができるようになりなさい、というアドバイスだった。つまりこういうこと。

①世界のビジネスの流れを理解し、日本の置かれた状態を理解すること。
②その日本で、自分の会社は何をミッションとしているのか。
③会社がそのミッションを果たすために、自分は何をすべきなのか。

今思えば当たり前過ぎるけど、新卒で、ビジネスの流れどころか社会の仕組みなどまるでわからず、どこを向いて仕事をすればいいのかわからなくて悩んでいた私にはハマった

さらに、音読すると頭に入りやすいし、ビジネスの現場での話し方が身に着くと言われ、その通りにやった。記事の切り抜きもやった。

すると、最初は音読しながら寝そうになってた新聞も、いつの間にか読むのが楽しくなってた。

その頃には、社会での会社の立ち位置がわかるようになり、自分が担当している新規事業がなぜ社運が掛かっていると言われているのかも、腹落ちするようになった。

社会の視点から、自分の仕事が理解できると、もともとやりたかった仕事ではなかったけど、いつの間にかやりがいをもって取り組めるようになってた。もともと、人間関係はとても良い環境だったので、会社も楽しくなった。

今思うと、私にとって初めて社会で起きていることが自分事になった体験かもしれない。

もう存在価値で悩まない

あれからもう20年以上経ったけど、もう自分の存在価値で悩むことはない。

いや、産後にあったかも、そんな時期…。社会との接点がなくなって、取り残されたような思いを抱いていたあの頃。新卒時代に味わったものとはまた違うけど。母親という機能でしか、社会に関われていない感覚。

あぁ、そう思うと、生産性で人を測るやばさは、誰にとっても牙をむく恐ろしいものだな。

日経新聞を読めというアドバイスは的確だったけど、もしあの頃の自分に何か言えるなら、「仕事の意味がわからなくても、いるだけで大丈夫」と言ってあげたい。




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