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憧れの単行本の装画を担当させていただきました!

本日、11月9日に発売される秋川滝美先生 著『深夜カフェ・ポラリス』(アルファポリス刊)、装画を担当させていただきました。

こんな感じ。いつもの桜田の絵とは雰囲気違った感じしません?
帯があるとこんな感じ。赤い帯が高級感あっていいですね。

デザインは西村弘美さん。
めちゃめちゃ素敵にデザインしてくださってありがとうございます!

僕は一足先に中身を拝見させてもらいましたが、心にじんわりくるとても素敵なお話でした。深夜営業のカフェに訪れる人々を描いた短編集です。訪れる人たちの悩みや葛藤が丁寧に書かれていて、読み進めると最終的に一緒に救われたような気分になります。出てくる料理の描写も鮮やかでとても美味しそうな文章でした。ぜひぜひ読んでください!

桜田千尋、初の文芸単行本カバーイラストを担当させていただきました!
これはイラストレーターというよりは読書好きとしての想いなのですが、単行本にはずっと憧れがあったんですよね。
重量感があって高級感がある。そのため値段も文庫の倍ぐらいするので学生の頃は1冊買うのによく悩んでいたのが思い出されます。買うものというよりは図書館や図書室で借りてた方が多かったと思います(上橋菜穂子さんの獣の奏者とかは図書館で借りて読んでました)。

学生当時、単行本と双璧をなして高かったのがCDのアルバムだったのですが、アルバムは2週間ぐらい待てばレンタル出来るんですよ。ただ単行本はいつ文庫になるのか、そもそも確実に文庫になるのかもわからないので読みたいなら買うしかないという。
さわりだけ立ち読みしてつまんなかったら買わないでいいやと思って手に取ったら最後、結局面白くて買わざるを得なくなるという(湊かなえさんの告白とかそんな感じでやられました)。

そんな感じで僕にとってはちょっと特別な本である単行本の装画を担当させていただけて、とても光栄でした。秋川先生、アルファポリスの担当編集さん!ありがとうございました!

実はこのイラスト、僕の中でも新しいことに挑戦させてもらえた1枚だったりします。
今回のイラストは普段あまり描かない街中のイラストなんですよね。


これまで文庫の装画は何度かさせていただいたのですが、多いのはやっぱり食べ物とか飲み物で風景も描かせてもらったのですが空とか海のようないわゆる絶景のイラストだったんですよね。
ただ今回のお話の舞台は「病院のそばにひっそりとある深夜営業のカフェ」だったんですよね。近くに海があるわけでもないし、背の高い建物もあるイメージだったので空の面積もいつもより狭くなるしで、本当に僕で大丈夫なのかなという一抹の不安が生まれます。

こちらが今までの担当させていただいた文庫の装画一覧

装画の仕事は嬉しい反面、とても緊張する仕事でもあります。
自分の名義で出す本であれば表紙も中身も自分で描いてるのでまぁいいのですが、装画の場合は中身を作家の先生が書かれているので自分が本を出すときとはまた別の緊張があるんですよね。

特に今回は普段あまり描かない街中のイラストです。
普段とは違うテイストの自分の絵が果たして商業の世界で通用するのか、書籍になったとき、あの戦場ともいえる書店の棚で自分の絵で人の目を惹きつけることができるのだろうか。

ただ一度原稿を拝見したときから、頭の中にイメージは浮かんでいました。描きたいという熱い気持ちは山々です。
そんな中、担当編集さんに連絡と直にお会いできることに。アルファポリスさんへお邪魔することになりました。
いつもは打合せをしてイメージを擦り合わせてからラフに取り掛かるのですが、今回はそのときにもう簡単なラフを持って行くことにしました。
そこで編集さんに色々話を聞いてもらってラフを見てもらったのですが「とてもいいです!」と言っていただけたんですよね。
それが自分の中でとても救いになりました。秋川先生にも快諾いただけて作業は進みます。

そうなるとあとはもう一生懸命描くだけです。
描いては消してを繰り返しに繰り返してようやく出来たのがこのイラストです。
建物の造形や窓からの見える光の色の調整といったところがとても大変でした。建物と空の色が被らないように調整するのとかも苦労しています。
でも大変だった分いい1枚に仕上がったと思っています!
お話と一緒に普段とは少し違う桜田の絵の雰囲気も感じていただければ幸いです。

イラストだけだとこんな感じになります。

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