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Playlist No.2 水平線

「あなたはそれを見るでしょう」

胸元に花飾りを付けて、
小さな花束を持ち歩く学生たちが
駅で楽しそうにはしゃいでいる。

金曜日が終わって、
ようやく休日を迎えられる安堵感をよそに
彼女たちはきらびやかな表情をしている。

そうか。近所の高校、卒業式だったのか。

卒業シーズンとなると、
たくさん有名な曲が街中に溢れかえるが、
私はback numberの『水平線』推しだ。

直接的に、「別れ」や「旅立ち」を
歌っている訳ではないが、
大人社会に出てぶつかる葛藤、現実、生きることへの勇気を与えてくれる曲だ。

冒頭の、
「できるだけ嘘はないように
どんなときも優しくあれるように」
2番の、
「心は誰にも見えないのだから
見えるものよりも大事にするといい」

周りの大人たちから教わってくることだが
この詞は自分で気づいて言い聞かせているように感じる。

2番サビ前、
「正しさを別の正しさで
なくす悲しみにも出会うけれど」
2番サビ、
「耐える理由を探しながら
いくつも答えを抱えながら悩んで
あなたは自分を知るでしょう」

絶対的な正しさは存在せず、
いろんな答えがある中で、「自分の答えを見つける」、すなわち「自分を知る」。
言葉だけ並べると一見ネガティブだが、
それ自体が成長であることを後押ししてるように思える。

1番と2番のサビは対比になっていて、
1番では自分の夢は叶わなかったけど、通りがかりの誰かから見たその姿は美しく、光となって昇華する。
2番では自分の夢が叶い、歓声と拍手を浴びるが、その裏で誰かが傷ついている現実を仄めかす。

ここにも、「自分にとっての正しさ」と「誰かにとっての正しさ」を向かい合わせにするメッセージが込められていて、この曲の大きなテーマになっていることが伺える。

学校を卒業して、大人社会に出ると、
「正しさのぶつかり合い」なんてのは
日常茶飯事。

そして、「正しさ」というのは結局、
「誰かにとっての正しさ」でしかなくて、
脆く、儚いものだということ。

自分がダメだと思っていたことでも、
誰かの目には光り輝くこともあるし、
自分にとってはよくても
誰にとってはマイナスになることがあるから
思いやりを持つ必要がある。

それが、最終的に冒頭の歌詞に
厚みを持たせてくれているのだと思う。

高校を卒業してからはもう、
7.8年は経過したが、当時の私がこの曲を聴いたら
どんなことを思ったのだろうか。

そんなことを想像しながら、
卒業式を迎えた高校生たちにそっと想いを馳せて
back numberの「水平線」を贈りたい。

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