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トンビがタカを産みました

息子がめでたく第一志望校に合格しました。
我が子ながら彼の頑張りはすごかった、その努力といったら。
黙々と目の前のことをこなす、ただそれだけだと言ったけれど、それは簡単ではないのだよ、と後ろから静かに応援することしかできない母でした。

夫と私、どちらも地方の私大卒。
私は高校時代それほど勉強に力が入らず、入れる大学に入学してなんとなく4年間が過ぎ…そんな大学選びでした。

息子は違いました。
高校を受験する時から真剣で、地元の進学校を選びました。
ほぼ全員が大学に進学、その半数以上は国公立大学に進みます。
その中で過ごしたのがよりいい刺激となり、先生のサポートもあり、2年の夏には県外の国公立大学に志望校を定めてそこに向けての勉強を始めました。

部活後に部屋に篭って勉強する時間が増えていきます。
朝型の生活が合うようで、私よりも早く起き部屋の電気をつけていました。

2年の冬の担任との三者面談。
先生から「お母さん、なにか気になることはありますか?」の問いに、
「ずっと部屋に篭って勉強してるのですが…そんなものですか?まだ受験まで一年以上あるのにすごいなと思って」
今思うと、我が子を褒めているように捉えられてもおかしくないセリフです。
「お母さんは…あまり勉強されなかった…んですかね笑笑」先生を失笑させてしまいました。

帰ってからこの会話を夫に伝えました。
「俺も〇〇(息子)みたいには勉強せーへんかったで。すごいと思うで」
そんな夫婦です。

国公立大学は私立大学よりも試験日が遅いので、周りが進学先を決めていく中、粘り強く勉強を続けなければなりません。
特に推薦で合格した仲間は早ければ年内に進学先が決まり、こっそり免許を取ったりアルバイトをしたり。
大学生活を見据え新しいことにチャレンジし始める友だちの話に、息子も羨ましかったと思います。
浮ついた空気に左右されず、ぶれずに志望校合格を勝ち取ろうと努力する姿は眩しかった。
我が子を誇らしく思いました。

私立大学の合格を心のお守りに、第一志望校の二次試験に挑みました。
出来は悪くはなかった、と口数少ない息子の言葉を信じて10日間。
結果を待つ日々は本当に長かった。

そしてめでたく合格!

近親者に国公立大学を出た人はいないので、おじいちゃんおばあちゃんも大喜び。
本人からは、周りと同じことをやっているだけなので当たり前だとクールな言葉しか出てきません。

親としては行きたい学校に進学することが何より嬉しいです。
息子の努力が実り、望んだ道のスタートラインに立てたことがただただ嬉しい。
これからあるかもしれない多少の困難も、自分が選んだ道であれば乗り越えられるだろうと期待して。
ここまで来れば親が教えることはもう少ないなと、巣立ちも感じつつ。
これからはいろんなことを経験して、人として大きくなってくれることを願うばかりです。
石橋を叩いて渡るような控えめな息子なので、貴重な大学の4年間やりたいことやりたいようにやったらいいよと伝えました。
たまには連絡してね、いつでも1番の味方だよ。
そう伝えたかったけれど、涙がこぼれそうで口には出せませんでした。

合格から一夜明けて、夫がポツリ。
「トンビがタカを産むってこのことやな」
「ほんまいい経験させてもらった、努力って実るんやなー」
その通りです。
トンビがタカを産んだら、トンビが経験できなかったことをタカに経験させてもらった、という話です。

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