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星が産み落として行った

歌いはじめのちょっとした仔猫

濃い目の文法、形容動詞武器にして

路地裏のゴミ箱転がした

生まれ過ぎた私、まだ驚いてる

発明し過ぎた感情、この世はなんて素敵

豹柄で揃えた余所行きは下着も同然

住み着いたボウリング場の機械室

明後日には幼気(いたいけ)な疫病が流行る

いい気なもんさ、甘いパンは食べられないし

頭蓋骨に響くからヒップホップは嫌い

そのうちここいらも立体交差で埋め尽くされて

ポリシーだって交番だって終わる

疑うばかりの青春もぱちんと弾けて

よぉ流れ星、綺麗だね


子供は三人目・・・までは覚えてる

ビール箱並べただけのステージ

ビートが強過ぎて足元から崩れた

カバー曲しかお客はノッてくれないし

時間旅行の筈が予定を繰り上げた

悪化する持病ぴくぴくぴくって

疼くこめかみ、この世はなんて素敵

ツケのきく水飲み場ならあそこ

バブル期のシャッター錆びてて動かない

知らない人が知らない人に今日も謝罪して

だから元気に回転する銀河系

暗闇を眩しいと言った哲学者の言葉を信じてる

心臓発作で逃げ切れたが勝ち

生き残れたら負け、ボーカリストだもん


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お読みいただきありがとうございます。「ヴォーカリスト」ではなくあくまでここでは「ボーカリスト」です。
全然手に負えないから詩は楽しいのであって、自由に好きに書いていいんだよだけだったら私は生き残らなかった気がします。
喜びのすぐ隣にあるものに気付けるかどうか、で違った。




読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。