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もうじき目を閉じるわ

ちょうどいい頃合い見計らって

覚え切れなかったステップ

まだあるけど続きはあちらで


幸せよりも幾分鮮やかに

回る走馬灯の薄明かり

聞こえてくるよ、産声が

歌っていたの、最初に教わった歌


連れて来れたらよかった

あの鳥もあの池も

パイプの煙、薄荷の匂い

いつも卑怯な手で負かされた

憎たらしい顔で笑ってみせる人

今ではすっかり懐かしいし

思い出すだけで嬉しい


ボートハウスも消えた

メリーゴーランドも朽ちた

欲しかったジェリービーンズの缶

もう何処にも売ってない

汗の匂いが本当に苦手だった

戻っておいでと今なら言える


もうじき呼吸も止まるわ

水の冷たさだけが変わらなくて

不思議ともっと飲みたくなる

いつもと変わらぬ正直さで

いつまでも、いつまでも

洪水のように産声が


歌ってたいの、最後に聞こえた歌

そしてたくさんの木の名前を覚えたい

なるべくたくさん、今度こそ

次の世界ではきっと


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お読みいただきありがとうございます。なんかいろいろお知らせすることがいっぱいで、まずは詩誌凪の朗読会、9月24日におこなわれました模様です。前半少し接続のトラブルがありますがご興味がありましたらぜひ。

そしてココア共和国10月号で今回も佳作に選んでいただきました。

電子版にてご覧になれます。

さらには文芸思潮現代詩賞の今年度の途中経過です。第一関門は突破みたいです。



読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。