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第4話 どこへ移住するのか?

どこでもいいとなるとむしろ難しいものである。

東京にアクセスできればいいとなると千葉、茨城、埼玉、神奈川、そしてもちろん東京だって対象エリアになる。広大だ。気軽に自然に触れ合うことができて、妻の通勤が不便になりすぎない程度の田舎が理想である。東京だって23区を出れば結構自然があるものだ。

自然にも色々あるが、我が家は海よりも山派である。だから海岸線とか、海が見える眺望的なエリアは除外対象だ。むしろ近所に坂があって自転車を乗るのに困らない環境が望ましい。昆虫好きの息子の期待に応えられるような森が近くにあれば最高だ。そんな風にして範囲を絞り、よしこの地域に移住しようと決めたのであった。土地勘などまったくないのだからあとは自分を信じて突き進むしかない。

こうした土地選びを無謀だと思うだろうか。ぼくはかつて地図帳をパラパラして盲で指をさしたところが住むところといって引っ越してきたひとを知っている。それを聞いたときはなんと無計画な選択だろうかと思ったものである。え、そんなことで住む場所を決めちゃうのと思ったわけだ。ところが自分が引っ越す側になってわかったのである。地図帳パラパラ選びもあながち乱暴とは言い切れないのではないかということである。ぼくはもう少しそこに説明の合理性を求めたが、妻の勤務先とか自転車とかクワガタといったパラメータがあったからこそであって、本当になんにもなかったらやっぱりぼくもパラパラやって候補選びをしていたかもしれない。

ぼくらにとって移住するということは家を買うということである。例えばまずは賃貸で住んでみて街が気に入ったら購入すればいいというひとがいる。いかにもリスクを分散していて賢そうな選択のように見えるが、ぼくは賛成しない。ずっと賃貸で行くならそれでいいが、いつか購入を視野に入れているなら賃貸期間は単純に無駄銭であると思う。それに、街が気にいるかどうかなど、物件探しで何度も訪れている間にわかってくるものである。むしろ、賃貸であっさり決めてしまうほうが、よく土地を知らないで住み始めることになってしまうだろう。それに住めば都というではないか。

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