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小津夜景句集 『花と夜盗』

小津夜景さんは1973年北海道生まれ。『花と夜盗』は、第一句集『フラワーズ・カンフー』につづく第二句集です。2000年よりフランス在住とのこと。

小津夜景さんのエッセイ集『いつかたこぶねになる日』も句集といっしょに読み、小津さんは名文家だと思いました。文章のすべてが美しく、文節単位で見ても一切油断がない……!

『花と夜盗』の印象に残った10句を。

風船の縁(へり)をすべりて光の刃
ものぐさでものさびしくて花軍(いくさ)
蟬生(あ)れて死んで愛してゐた時間
かささぎのこぼす涙をおつまみに
グリセリンソープに透かす伊賀の月
巻物にけりのつかない十三夜
天秤の雪と釣り合ふ天使かな
風花の生まれてけふの伊勢屋かな
古代魚のふつくら炊けて花の宴
ぶらんこは躍る百済の烏賊のごと


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