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セクトポクリットのコンゲツノハイク【2024年2月】 20句選

蜜柑むく指がきれいで騙される  加藤綾那(秋草)
雨粒の那由多の灯る十夜寺  田邊大学(秋草)
小六月玉が玉突く玉の音  村上喜代子(いには)
自転車を鳥居にとめる三日かな  岡田由季(炎環)
コンビニの四角く煌と時雨れけり  山尾玉藻(火星)
せつせつと芋虫の斑の波打てる  蘭定かず子(火星)
冬の夜や閉ぢて鏡を休まする  峯尾文世(銀化)
火葬場の丸きスイッチ曼珠沙華  夏目たかし(櫟)
背後の人同じ吊革摑む残暑  長谷川照子(澤)
的の矢を抜くに力や秋高し  寺澤佐和子(磁石)
手元の灯すこし落して夜食とる  黒澤麻生子(磁石)
その中に答へあるかに大花火  福嶋すず菜(蒼海)
死にたくもなるよなと縄綯ひながら  小野展水(鷹俳句会)
枯蟷螂の内翅すこし草の色  藤本くに子(南風)
船を見るスケートリンクの縁に凭れ  若林哲哉(南風)
たくさんの聖菓売り終へひとつ買ふ  安倍真理子(ふよう)
前で拝む人の耳より雪蛍  竹内宗一郎(街)
ただいまを聞いてから焼く秋刀魚かな  松野苑子(街)
牛売りぬ一度つきりの雪踏ませ  鈴木牛後(雪華)
冬ぬくし芭蕉四十の翁ぶり  町田無鹿(楽園)





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