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U29もうひとつの物語

私が初めて出演したテレビ番組「人生デザインU29」(NHK Eテレ)が、3月末日で終了した。
(あまり世の中に知られていない)頑張る29歳以下の若者を追ったドキュメンタリー番組で、毎週30分間を一人に充てられる。

私が出演したのは、2015年1月、29歳。京都に帰ってきてまだ一年足らずというときで、決して仕事が軌道に乗っているわけでもなかった。
それでも、聡明なディレクターが見つけてくれて、運よく出演できた。

30分番組に出ただけでなく、出演者のうち10名が呼ばれたスペシャル番組にも出演させてもらった。
全国各地からやってきたU29(チームU29と呼んでいる)と出会えたことが、本当に良かった。桃李くんに出会えたことより、チームU29に出会えたことが何より意味があった。
私は20代最後で出演したので、みんな同い年or年下なのだけど、早々に自分のやりたいこと、そしてすべきことを覚悟して決めて、それに向かってつき進んでる。
私はまだまだこれからだったし、これという明確なものが無いことに(今も悩みだが)、これまで以上に焦り、もっともっと頑張んないと。と、収録後の渋谷で熱い熱い飲み会のあと、みんなでコンビニで買ったアイスを頬張りながら、頭の中ではそんなことを考えてた。

ここまでは、何となくテレビに偶然出てしまった人の物語として想定内だが、彼らとFacebook友達になって動向を見ていると、このテレビの偉大さに気づくことになる。

「若者がNHKのドキュメンタリーに出た」という事実は、仕事に直結する爆発的広告なのだ。特にサービス業への効果はハンパない。
それを機に、雑誌や地元紙に取り上げられるだけでなく、塾生が明らかに増えたり、契約施設が増えたり、宿泊者が増えたり…(しかも急増)
しかも、一時的に多いだけでなく、その後も信頼感は持続するからすごい。

私は、建物を扱うため、金額が大きく年配の方も多いので、反響は少ない方だったと思うが、それでも仕事の依頼は10件は来た。
放映後3年以上経ってるが、いまだに「U29出てましたよね?」と言われるし、テレビ出演が仕事につながっていることは、見えないところできっと多数ある。

若くして起業する者の弱点は、経験と信用。そして適切な広告。
そこをわりと一気に担ってくれる存在。これは名もなき若者にとっては、願ってもないこと。NHKなのでもちろん出演費はいただけないのだが、そんなことより数百倍の広告効果が見込める。
それを、4年で100人ほどの若者に提供してくれたかと思うと、そんじょそこらの起業支援制度より相当イケてる。
NHKが好きかどうかはさておき、これは全国に支局があり、入社早々ディレクターになる制度のNHKだからできる番組クオリティで、自分たちにしかできない本当に素晴らしい仕事だ。

私はU29スペシャルの後、女性プロデューサーに声をかけられ、長野の女子大まで講演に行ったりもした。
NHKとつながりが持てるのというも大事なポイントだと思う。あと、個人的にはとっても聡明な同世代のディレクターに出会え、仕事への真摯なスタンスに触れられたのも大きい実りだった。

番組終了は非常に残念だけど、この100人の若者(私含む)が、こしらえてもらった舟にしっかり乗って、世の中の荒波を漕いで漕いで、どうか魅力的な物語をつくっていけますように。



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