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遣ってはならぬ事(3)・・・他者の手柄の横取り

 「他者の手柄の横取り」は、よく耳にする言葉である。官公庁でも民間でも、学者の間でも生徒間でも、自らの努力も苦労もなく発見もなく、他者のアイデアを盗んだり、他者の実績を自分のお陰だと言い張ったりする人がいる。

 「他者の手柄の横取り」は、厳密に言えば窃盗である。自分では苦労することもなく、他者の成功や実績を、自らの成功や実績のように吹聴して回る人がいるが、これは実に恥ずかしい行為でしかない。

 ところが、「出世街道まっしぐら」しか頭にない人は、他者の努力や苦労を無視し、その成果を我が物のように作り上げ、役員や上司へ報告する厚顔無恥なる人もいる。処世術としてはかなり低劣な悪手であるが、結構、このパターンは多い。

 また、よく聞く言葉で「自分のものは自分のもの。他人のものも自分のもの。」と豪語する人もいる。そういう人物が、「他者の手柄の横取り」をしてでも、自分の評価を高めようとするのである。

 しかし、目の前で堂々と「他者の手柄の横取り」があれば、そこはしっかりと是正する必要がある。周囲が気づいていても黙認するようでは、「横取り」が常態化してしまい、狡賢い人だけが暗躍できる環境を作るだけで、善人がバカを見ることになる。

 「能ある鷹は爪を隠す」という時代は既に終わった。今の時代は「能ある鷹は爪を隠さず」という時代になっている。よって、「横取り」する姑息な人を野放しにするような、忖度満載の時代に逆流しないよう、日々心掛けて頂ければと・・・。

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<付録>

 話はちょいと逸れるけれども、面白いことに「横」がつく熟語であまり良い意味のものはないので、詳しく調べてみたのでご参考まで。以下の通り。

  1. 横恋慕(よこれんぼ): 他人の恋人に恋愛感情を抱くこと。

  2. 横行(おうこう): 悪事がまかり通っている状態。

  3. 横領(おうりょう): 他人の財物を不正に自分のものにすること。

  4. 横暴(おうぼう): 自分の力や地位を背景に他人に対して無理やり自分の意志を押し付けること。

  5. 横取り(よこどり): 他人が得るはずのものを不正に自分のものにすること。

  6. 横着(おうちゃく): 手間を省いて楽をしようとする態度。

  7. 横滑り(よこすべり): 仕事や地位などが横に移動すること。

  8. 横流し(よこながし): 正規ルートや手続きを経ずに、商品や情報などを不正に流すこと。

  9. 横柄(おうへい): 人に対して傲慢な態度を取ること。

  10. 横目(よこめ): 横から見る目。または、斜めに見ることで不快な印象や不満を示すこと。

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▼「横」がつく熟語でネガティブなものが多い理由は?

「横」という文字がネガティブな熟語に多く用いられる理由は、主に「横」が持つ方向性やイメージに由来します。日本語では「縦」に比べて「横」が持ついくつかの文化的、象徴的意味合いがあります。

  1. 正道から逸脱: 「縦」はしばしば正しさや正統性、安定や順序を象徴し、「横」はそれに対する逸脱や非正統を意味することがあります。例えば、「横道に逸れる」という表現では、正しい道から外れる様を「横」という言葉で表しています。

  2. 無断・不正行為: 「横取り」や「横流し」のように、本来の所有者や正規の流れから外れて、無断で行われる行為に「横」が使われます。ここでは、本来あるべき順序や方法を無視した不正や不当な行動を示しています。

  3. 突然性・不意打ち: 「横から」のような表現は、予期せぬ方向からのアプローチを示すことがあり、しばしば否定的な意外性や不意打ちを暗示します。予期せずに横から何かが起こる(横襲など)という用法です。

  4. 支配・抑圧の象徴: 「横暴」という言葉は、他者を抑圧するような力の行使を表します。ここでの「横」は、正当な縦の関係性を無視した横の力による支配や圧迫を示しています。

このように、「横」という言葉は、文脈によって様々なネガティブなイメージを喚起することがあります。ただし、これらは文化的な解釈であり、必ずしもすべての場合に当てはまるわけではないことに注意が必要です。状況によっては、これらの用法が中立的あるいはポジティブな文脈で使われることもあります。

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▼ChatGPTによる評価

このエッセイは、職場や学習環境における倫理問題について重要なポイントを提起しています。「他者の手柄の横取り」を厳しく批判し、その行為がいかに不道徳であるかを明確に指摘しており、読者に対し、正直さと誠実さの重要性を訴えています。

文章は、その現象が発生するさまざまな環境を具体的に示し、読者が共感しやすいように実際の事例に触れています。また、処世術としての「横取り」の非効率性と倫理的欠如を論じ、そのような行為が個人だけでなく、社会全体にとっても害を及ぼすことを強調しています。

エッセイの後半部分では、「能ある鷹は爪を隠さず」という言葉を用いて、現代社会における透明性と説明責任の価値を推奨しており、これは特にリーダーシップや公正性が求められる職場環境において重要なメッセージです。

付録として提供された「横」がつく熟語のリストは、興味深い視点を提供しており、このテーマに関連する言葉がどのように一般的にネガティブな意味を持つかを示しています。これは、エッセイの主題を補強し、読者に深い印象を与える効果的な方法です。

全体的に、このエッセイは論理的に構成され、説得力があり、倫理的な考察に対する深い理解を示しています。そのメッセージは普遍的であり、多くの読者にとって価値ある洞察を提供しています。

サポート、心より感謝申し上げます。これからも精進しますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。