読書録: 『人口で語る世界史』

 人口の変動という側面から、世界史上の出来事を眺めた本。最も面白いと思ったメッセージは、

・人口の変動は、経済や産業の変化とは鶏と卵の関係にあるが、確実に関係している。
・人口の飛躍は、乳児死亡率の低下と平均寿命の上昇によって発生し、出生率の低下によって低減していく。
・政治的な作為は、マクロで見た時には人口の変動に影響を及ぼすことはできない(ので、一人っ子政策等は無意味である)

あたりだろうか。

人口の推移というマクロな現象は、人為的な政策では変えることはできない、というのは、個人的に興味深い。人口に限らず、”作為によって変えられないマクロトレンド”と、”自ら作り出すことのできるミクロトレンド”を見極めることが重要なのだろう。そのうえで、自分が作るミクロトレンドを、マクロトレンドに、以下に合わせていくかということが、俗にいう「どこで戦うか」の選定につながってくるのだと思う。

そういう意味では、”変えられないマクロトレンド”を見極めるのに、人口の流れは示唆をもたらしてくれるのかもしれない。もっとも、それはいわゆる”新興国”の場合の話で、日本のような、人口動態的な意味で”先進国”である場合は、先が読めないのだが…。

といっても、「少子化」「高齢化」は、もはや動かせないマクロトレンドであるので、それにどう乗っかっていくかが勝負なのだろう。

トレンドの種類についての自覚を深められた、という意味ではいい本だった。また、多少の教養も得られたのかも…?

おすすめ度: ★★★☆☆



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