なにが理想的だったの?ーー6

子ども達の小学生くらいまでの教育で、私がこだわりたかったこと。ひとつには、テレビ、パソコンなどを子どもに使わせないことだった。

実は私はそういう機械類が大好きで、パソコンのプログラムなどが理解できるわけではないけど、その昔にSF小説が大好きだったころの延長で、パソコンは魔法の道具のように思っていた。当時はまだ出始めたばかりのノートパソコンを買い、一人でネットの世界にはまっていった。雑読が好きなこともあり、ただなんとなくいろんなページを読んでいるだけで何時間も過ごしていた。

自分がそうなのに、逆に子ども達にはそういう生活をさせたくない。自分の中毒は治りそうにないけど、子ども達はネットのあまりない、自然の中で過ごさせたい。でも自分には自然の中で遊ぶスキルも経験もない。

キャンプヒル内で放置されたようにして午後を過ごしていた子どもが、ある日びっくりした顔をして帰ってきて、「豚のお尻から赤ちゃんが出てきた!」と報告してくれた。たぶん小学校2年生くらいだったか。その後、牧場に出入りするうちに乳牛の種付けの現場などにも遭遇し、うちの子たちの性教育の始まりは、豚や牛の出産、種付けシーンから始まることになったのだった。

その豚は牛たちは、一定の期間の後には近くの工場に送られて、自分たちが食べる肉となってビニールパックに入って戻ってくる。そういえば、キャンプヒルのスタッフには周囲で鹿狩りをする人たちもいて、その鹿の肉を分けてもらったこともあったなあ。

キャンプヒル生活とは、私の想像がまったく及んでいないところなのだった。そんなことがあるとは全然わからずに、参加していたのだった。


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