最近の記事

好きなことキライなことについて

理想的なことを書き始めたつもりが、どちらかというと苦手なことを考えることになってしまった。苦手なことを避けるという幸せの形もあるということか。理想的な状態というのはつまり、自分の苦手なことをしなくてもいいということでもあったのだった。 好きなことは何?というのは、私もよく周囲の子たちに質問している。でもすっきり答えられる子は、実はそんなにいない。ゲームが好きといっても、それがただの時間つぶしなら、本当はそれは好きとは言わないよね。 好きと嫌いと、どちらも見ながら、だんだん

    • なにが理想的だったの?ーー7

      さて私は自分にできることとして、キャンプヒルでの仕事は家事をしていた。それも12人くらいの家で毎日の家事として、掃除、洗濯、昼食作りをする。これを知的障がいを持った人の仕事場として行うので、ある程度は定期的に計画をしたり準備をしたりする。 彼らは日常的に薬を飲んでいる人もいるので、その管理もスタッフの仕事で、これは保健所の人が年に一度検査にもくる薬箱に入って鍵がかかっている。 月に一度、各ハウスから一人スタッフが集まってのミーティングがあり、いろいろな打ち合わせをする。問

      • なにが理想的だったの?ーー6

        子ども達の小学生くらいまでの教育で、私がこだわりたかったこと。ひとつには、テレビ、パソコンなどを子どもに使わせないことだった。 実は私はそういう機械類が大好きで、パソコンのプログラムなどが理解できるわけではないけど、その昔にSF小説が大好きだったころの延長で、パソコンは魔法の道具のように思っていた。当時はまだ出始めたばかりのノートパソコンを買い、一人でネットの世界にはまっていった。雑読が好きなこともあり、ただなんとなくいろんなページを読んでいるだけで何時間も過ごしていた。

        • なにが理想的だったの?ーー5

          さて、全然どういうところか想像できないで行ったキャンプヒルだったのだけど、本当に楽しかったし、私の子育てにとっても大正解だった。 なにより、自分ひとりで子育てをしなくてもいいということ。 朝晩の食事は、一緒に暮らしているスタッフ、障がい者たちと一緒に取る。お昼が学校にランチボックスを持って行く。学校への送り迎えも、子どもがいるスタッフで交代で行う。 ほどんどの平日、私は自分の子どもがいつ学校から帰ってきたのか知らなかった。誰かが迎えに行き、そのまま子ども達はキャンプヒル

        好きなことキライなことについて

          なにが理想的だったの?ーー4

          さて、みんなで家事をするのが楽しかったなんて書いたら、まるで私が大勢でわいわいするのが好きな楽しい人間みたいだ。でも実際はそんなことない。基本的には一人でいるのが好きな我がまま者です。趣味は読書や映画鑑賞。それぞれ一人でするものだし。 それならなぜ、一軒の家に12人も一緒にすむような暮らしが理想的だったのだろう。 東京ではごく普通に、家族で暮らしていた。夫、二人の子どもとの4人家族。新しく引っ越した地域で周囲に知り合いはなかった。それで公民館の子育てイベントに出かけたり、

          なにが理想的だったの?ーー4

          なにが理想的だったの?ーー3

          キャンプヒルの紹介でもしようかと思ってnoteを書き始めたのだったが、それよりも、自分にとっての理想的な生活とは何かを書くシリーズとなりつつあります。 さて、キャンプヒルでの私の仕事は、おもに「家事」だった。それだけなら東京での生活と同じだ。違うのは、いわゆる毎日の家事が12人分であること。そして知的障がいのある人たちと一緒に働くこと。 私が最初に暮らしたキャンプヒルでは、彼らはまずは半年ごとに職場を変わって、いろんな仕事を体験しようというところだった。3年くらいで自分の

          なにが理想的だったの?ーー3

          なにが理想的だったの?ーー2

          さて、なにが自分にとって理想的な暮らしなのか。 私が思いつく第一のことは、自然の豊かさ、四季の美しさ、広大さ、そういったことのようだ。 夏は湖で泳ぐのがちょうどいいくらいの暑さで、車で10分くらいの湖に、毎日のようにそこに暮らす障がい者のひとたちと一緒に泳ぎにいった。ちゃんと監視員のいる、遊泳許可のある湖だ。シャワーやトイレ、小さな売店もあった気がする。どこかから砂を運んできた人工の砂浜が一部に作られていて、その周囲がロープで囲んだ遊泳場になって、監視員もいたのだ。砂浜に

          なにが理想的だったの?ーー2

          なにが理想的だったの?

          キャンプヒル・コミュニティでは、障がいを持った人たちと大きな建物で一緒に暮らします。 例えばバスルームが4つ、ベッドルームが12ある建物で、でも家族向けのような設定にしてある、大きなキッチン、ダイニング、リビングスペースなど。二人用の部屋もあることもあるので、12部屋があると14人くらいまで一緒に暮らせることになる。 この大きさだとたぶん、ハウスペアレントなどと言われる経験のあるスタッフが夫婦でいて、その子ども達が2人くらい。障がい者が6人、コーワーカーと呼ばれるその建物

          なにが理想的だったの?

          理想の生活について

          理想の生活が実現したといえるひとは少ないだろう。 私の理想は一度実現して、でもそのあとに失った。 それは私の力で実現したのではなく、一時的に滞在していただけだったし。合計6年間。 夢の世界のことではなく、地上の現実のことです。私がいたのは、アメリカ、ニューヨーク州にあるキャンプヒル・コミュニティ。知的障がいのある人たちの住み込みの施設で、同時にスタッフにとってはコミュニティでもある。広い広い、何エーカーもある敷地の中に10軒ほどの家が建ち、あとはオーガニックの畑と牧場と、隣

          理想の生活について