見出し画像

この世界からSNS誹謗中傷をなくすための歌「ティマワズィワ」

私の方から歌詞のコンセプトを出して、チェワ語(アフリカマラウイの現地語)や英語で作曲してもらうのが、私がマラウイと曲作りするときの通常の流れだ。

しかし今回はいつもと違った。100%、マラウイ人プロデューサーKhoh(コー)からの提案だった。ある日、唐突に送られてきたサンプルのアマピアノ(Amapiano)のビートには、すでに歌詞がばっちりのせられていた。
※Amapiano: 南アフリカ発祥のアフリカで近年最もホットな音楽ジャンル

チェワ語がそこまで堪能ではない私は歌詞の意味が分からず、Khohに「この曲は何を伝えたいの?」
と聞くと、
「The song says that we should not insult our friends on the sidelines or behind their backs.(この歌では、陰で友達の誹謗中傷をすべきではない、ということを伝えたいんだ)」
「陰でって、SNSとかインターネットでのこと?」
「そうだよ」

つまり、「ネット上での誹謗中傷をやめるべき」というのがメインコンセプトだった。追ってKhohから送られてきた歌詞の英訳には、
「Let’s have a good conversation with love.(愛を持って対話をしよう)」
という文もあった。
 
今回は、私からの持ち掛けではなく、完全にマラウイ人のKhohから生み出されたコンセプトと歌詞だから、それが現地の生の声であることに間違いない。

日本で大きな社会問題になっている、「SNS誹謗中傷」は、遠く離れたアフリカのマラウイでも問題になっているということなのだ。

日本では教育問題としても、現場を悩ませている。小中学校で起きる子どもたち同士のトラブルのうち、かなりの割合でSNSトラブルが絡むようになった。特別授業を実施して、トラブル防止に努める自治体も多い。マラウイでは、子どもたちの携帯電話の所持率は、まだまだ低い。今後の発展とともにどうなってしまうのか、心配だ。
 
Warm heart of Africa(アフリカの温かい心)との別名を持つマラウイ共和国。私は青年海外協力隊として活動中、幾度となくマラウイの人々の優しさに救われた経験がある。そのマラウイでも、携帯電話の普及、SNSの発達によって、人々が互いに心を痛めるようなことが起きているのだと知り、大きなショックを受けた。あの優しい国民が、まさか日本人と同じ悩みを抱えているなんて。
 
SNS誹謗中傷なんて卑怯な行為を、この世界からなくしたい。言いたい事があるなら対等に。自分が何者かを名乗って。誹謗中傷ではなく「愛のある対話」を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?