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SHOW ME THE MONEY

緊急事態宣言が出て外出自粛期間中、韓国のヒップホップサバイバル番組「SHOW ME THE MONEY」を見た。

「SHOW ME THE MONEY」は現在シーズン8まで出ているけど、Mnetに有料会員登録し、日本語字幕で見られるのは6~8の3シーズンだったので、GW中に全て一気見した。

この番組を知ったのは、2017年に初めて友人たちと韓国旅行に行ったときで、クラブでこの曲が流れたことがきっかけだった。

この曲が流れた瞬間、VIP席で一緒に飲んでいた韓国人のお兄さんたちが「オキドキよー!!」と歌い出し、踊り出した。わたしたちもわけもわからず合わせて歌って踊り、ホテルに帰ってから「あの曲はなんだったのだろうね……」と話題になった。

「Okey dokey」と調べてみるとこの動画がすぐにヒットし、「SHOW ME THE MONEY」という番組を知ることになった。

その後、2017年から今に至るまで韓国のヒップホップに興味が沸いて色々と聴いていたのだけど、この自粛期間を期に、ついにMnetに有料会員登録をして「SHOW ME THE MONEY」を日本語字幕で見ようということになったのである。(今まで有料会員になるのはちょっと抵抗があったのだけど)

見終わった結果から言うと、本当に見てよかったと思える番組だった。

テレビ番組でこれは見てよかった!得るものがあった!という経験って今までなかったのだけど、この番組は、感動も自分の為になる気づきもあって、自粛期間をかなり充実したものにしてくれたのだった。

この番組の概要をサラッと説明すると、一万人以上のラッパーの挑戦者(プロアマ問わず)の中から、最終的に優勝者を一人決めるという内容。まずはアカペラでのラップから、ビートを流してのラップ、サイファーでのラップなど、数々のミッションを与え、その度に審査員が審査をし、脱落者が出て、挑戦者が減っていく。最初、審査員はプロデューサーと呼ばれる有名なラッパーやビートメイカーで、挑戦者が減っていくと、途中からはそのプロデューサーごとのチームに振り分けられてのバトルが始まる。各プロデューサーがビートを提供し、プロデュースした上でバトルをし、本選では観客と視聴者の投票によって勝敗が決まる。

日本でも「フリースタイルダンジョン」や「高校生ラップ選手権」のようなラップバトルの番組はあるけれど、それとの大きな違いは、フリースタイルのミッションがないことだ。

フリースタイルだとどうしても瞬発的に頭を回転させて韻を踏む、気の利いたことを言って相手を負かす、ということが必須になってしまうけど、ショーをするスタイルなのでじっくりと制作・練習をして、音楽性やパフォーマンス力、ラップのスキルを表現することができる。

また、挑戦者の努力や、音楽にかける思い、家族やクルーとの絆というドキュメンタリー映像も挟み込まれているので、感情移入して応援したくなる。

なんといっても見どころは、挑戦者たちの熱量だ。プロとして成功している人のステージにはない、切実さ、必死さ、熱量が感じられて、見ている方も胸が熱くなる。

韓国は音楽やダンスなどエンターテイメントの質が高く、幅広い音楽性がメジャーとして国民に浸透しているのが、日本にはない良い所だと思う。

わたしはスポーツに興味がないのだけど、この番組を見て、韓国では音楽がスポーツ並みに国民に受け入れられて、感動を与えるものになっているように思った。

ラップのショーで戦って勝敗を決めるというのは、スポーツで戦って勝敗を決めるのと同じ形式だ。日本では音楽という芸術の分野は国民全員に熱狂的に受け入れられるものではなく、音楽番組は減り続けているし、流行る音楽も一辺倒なものばかりなので、この違いは羨ましい限りである。


そんな「SHOW ME THE MONEY」の6~8で、印象に残ったステージを厳選して少しだけ紹介したい。


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まず、ZICO・DEANチームの「Yozm gang」

ビートがグライムでやや暗めなのだけど、5人のラップそれぞれに個性があって、コミカル。楽しい雰囲気を作り出すのが上手い。


ダイナミックデュオチームのJOWOOCHANくんのステージ「VVIP」。

彼は小学六年生と若いのに、一次選考から終始落ち着いていて賢い子なんだなという印象。ステージでも堂々と振る舞っていて、安心感がある。サビが頭から離れなくなる。そして、かわいい。


これは残念ながら、放送されなかったTigerJK・BIZZYチームのウ・ウォンジェの「we are」

番組を見る前からこの曲が好きだったので、いつやるのだろうと思いながら見ていたのだけど、やらずに終わって悲しかった。良い曲なのでステージで見たかった。


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Nucksal・Deepflowチームの「PAE」

香港の夜景を意識したビジュアルと、どことなく中華テイストなビートがかっこいい。飽きさせない面白さのある曲。


CODE KUNST・Paloaltチーム、Loopyの「Save」

CODE KUNSTの落ち着いたお洒落なビートにLoopyの高い声が映える。彼のステージでの動きがチャーミングで見ていて小気味良い。


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BGM-V CREWの「Bamn」

個人的にシーズン6~8の中で一番のステージ。millicのビートも全員の個性のあるラップもVJの映像もかっこいい。パンチネロの最初のラップにやられた。サビが面白くて笑える。


40CREW TAKUWAの「Bibbidi Bobbide Boo」

予選のときは、原宿KAWAII色が強くて色物系だから残らないだろうな~と思っていたのだけど、ぐんぐんと実力をつけていき、決勝まで進むという快挙をなしとげたTAKUWA。このステージの前の家族とのドキュメンタリー映像を見てからこのステージを見て不覚にも泣きました。歌詞と共に熱量がぐんと伝わって感動があった。


すべて見終えて思ったのは、勝ち残る為の大前提として声量やラップのスキルはもちろん必要だけれど、見ている人が魅力を感じるかどうか、というのが一番重要だということ。

その「魅力を感じるかどうか」というのは一見、見る人の感性によって違ってしまうように思えるが、実はどの人もだいたい同じように受け取れる、共通意識があるように感じた。

細かく言えば、16小節ラップをするだけでも、見ている人を飽きさせない展開を入れたりなど、客観性があるかどうか。ステージ上での自信やパフォーマンス力が、プロ並みにあるかどうか。表情や態度に人としてのカリスマ性があるかどうか。

そういった、技術だけ・言われてやっているだけでは出せないのが魅力というもの。その魅力は、その人が心から何かを表現したくて、自問自答しながらブラッシュアップして、考え、感じ続けていないと出せないものだというように感じた。
これはラップ以外にも表現をする人全員に共通することで、当たり前のことかも知れないけど、これが実感として学べたのが自分にとって大きかった。


この番組で制作された音楽は、名曲揃いで誰もが聴いていて楽しめるものだと思うので、是非一度アルバムを聴いたり、実際に番組を見てみたりして欲しい。


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