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【第178回】【モデル地区紹介③】福井県南越前町赤萩地区及び大桐地区


質問 福井県南越前町赤萩地区及び大桐地区の地区防災計画づくりについて教えてください。

概要

①22年度・23年度の地区防災計画学会のモデル地区
②地域特性
③取組状況

解説

①22年度・23年度の地区防災計画学会のモデル地区

 福井県南越前町赤萩地区及び大桐地区は、22年度・23年度の地区防災計画学会のモデル地区になります。
 担当教員は、酒井明子福井大学名誉教授です。

②地域特性

 南越前町は、福井県中央部に位置しており、2005年に3町村が合併して発足しました。
 町の人口は1万799人、世帯数は3,353世帯です。急速な少子高齢化で人口減少が進んでいます。
 特に、赤萩地区は36世帯112人、大桐地区は45世帯59人で、人口減少が進んでいました。
 当該地区では、2022年8月5日の集中豪雨により、土砂災害が多数発生しました。発災後に、大学教員や医学部学生による継続的な支援が行われましたが、今後も洪水や地すべり発生の危険があります。

③取組状況

 当該地区では、2022年8月5日の集中豪雨により、土砂災害が多数発生し、また、河川氾濫により多数の民家が浸水しました。そのような中でも、住民のリーダーが活躍したり、住民同士が、お互いに早期避難を呼びかけて対応したところ、住民全員が無事に避難することができました。
 例えば、赤萩地区の区長は、町役場の職員OBですが、その人脈をいかして、役場と連携して防災活動を行い、外部からの支援が1週間近く遅れる中でも、住民間の調整を行い、全員が協力する体制づくり、避難所の新たな開発、住民への復興に関するタイムリーな情報発信等を行いました。また、大桐地区の区長は、災害発生時に、早めの避難を呼びかけ、住民を高台へと避難誘導し、また、発災後は、孤立した集落の住民のニーズを把握し、外部支援の調整を行ったりもしました。
 これらの地区では、もともと、コミュニティで話し合いをしながら問題解決をする習慣があり、また、防災への意識も高かったのです。
 しかし、災害によって損壊した住家の再建のため、一時的に土地を離れている住民や、離村した住民も出ており、今後の集落の存続問題に直面しています。
 当該地区への支援に当たっては、大学教員が医学部学生と一緒にサロンを開始したり、健康チェック・健康相談、 足湯等を実施してきました。
 また、集落の祭り等ができなくなったことから、被災者同士の情報共有と交流の場づくりを継続してきました。

文献
・西澤雅道・金思穎,2024,「地区防災計画制度施行10年を迎えて―23年度モデル地区の状況―」『地区防災計画学会シンポジウム(第10回大会)基礎資料』.
・酒井明子,2023,「過疎化・高齢化地区で支え合い、持続可能な地区防災計画」『地区防災計画学会誌』(26).

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