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h30改正と遺言執行者の義務と適用対象と時点

遺言執行者の権限明確化 ・遺言内容通知義務・遺言執行者の権利義務(民1007Ⅱ、民1012)施行日前開始相続でも、施行日後執行者となった者に適用する(附則8Ⅰ)。 ・特定財産承継遺言に関する遺言執行(民1014Ⅱ~Ⅳ )施行日前にされた特定財産承継遺言の遺言執行者に適用せず(附則8Ⅱ)。 ・遺言執行者の復任権(民1016)施行日前遺言の遺言執行者の復任権の制限は従前の例(附則8Ⅲ)。 相続法改正前における遺言執行者の立場 従来、遺言執行者は「相続人の代理人」という立場で

    • 半血兄弟と養子と法定相続分と代襲相続

      Q 直系尊属不在、未婚で子どもなしの場合で、兄弟相続が生じた。兄弟の中には、父親の連れ子で、母親が養子縁組をした子どもがいた。この場合、当該連れ子にあたる兄弟の法定相続分は半血として他の兄弟の1/2になる? A 否。父の実子、そして母との養子縁組により全血扱いになる。 例えば、子どもがいる夫婦において、父親だけが第三者の養子をとった場合、その養子は、兄弟相続において、半血として相続する。 つまり養子で血を得ることになる。 Q では、Cが、子AがあるBと結婚し、子D,Eを

      • 弁護士費用と弁護士費用特約付保険

        弁護士特約での受任を弁護士が断ることが多い保険   ①ソニー損保   ②SBI損保 タイムチャージが使えない弁護士特約の場合・・・弁護士が物損事件を拒否することが多い。  タイムチャージが使えない保険会社   ①アクサ損保   ②イーデザイン損保   ③東京海上日動火災保険など

        • 保険法と受取人

          保険契約において、受取人が保険事故発生前に死亡していた場合は、下記の条文に従う(「全員が保険金受取人」という定め方をしているため、全員が等しい立場で保険金の受取人となる、つまり頭割り。)。 他方で、受取人が生命保険の被保険者自身だった場合は、保険事故の発生「前」に死亡しているわけではないので、保険法46条での処理ではなく、一般原則での処理となり、相続人が法定相続する(つまり頭割りではない)。

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        • 相続
          11本
        • 裁判手続
          6本
        • 養子縁組
          2本
        • 交通事故
          3本
        • 不動産
          3本
        • 離婚
          5本

        記事

          養子縁組無効確認訴訟と相続財産管理人選任と保全手続

           相続財産管理人は、通常、相続人がいない場合に選任できる。民法918条1項。  しかし、養子縁組無効確認訴訟が係属中に、養親が死亡した場合、民法918条2項に基づき,被相続人の相続財産の管理人を選任可能。相続財産管理のために「必要な処分」として選任が可能。 Q 民法918条2項に基づく被相続人の相続財産の管理人は、相続財産管理法人名義に遺産の登記が可能か。 A 不可。相続人がいるので相続財産管理法人が発生しない。相続財産管理法人は例外的に被相続人からの権利移転なしに登記が可

          養子縁組無効確認訴訟と相続財産管理人選任と保全手続

          相続法改正 遺言と登記

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          自賠責保険と保険法

          自賠責保険は、自動車損害賠償保障法による保険制度。 そして、自賠法23条で特別の定めをしていなければ保険法に従うことを定める。 したがって、受取人に関しては保険法に従う。 そして、被害者が生きている場合は当該被害者が受取人。 被害者死亡の場合は被害者相続人が受取人として扱われるのが当然の解釈とされ、法定相続割合に従い取得する。

          自賠責保険と保険法

          保険金と受取人

          保険商品は、保険法の規律に従う。 ただ、保険法では強行法規となる部分は明示されている。 従って、保険法で定める強行法規に違反しない限りは、各保険商品の保険約款でルールを定めることができることとなる。 そして、保険約款で定められていない場合に、保険法及び民法の定めるルールに従うこととなる(強行法規となっているルール以外)。 死亡保険金を受け取ることができるのは・・・ 1 受取人と指定された者 2 受取人無指定の場合は、保険約款の記載に従う。   保険約款に記載がない場合は、当

          保険金と受取人

          養育費の取決めや不払いに備えるための費用の補助制度

          横浜市における以下の2つの制度 1 公正証書等の作成費用補助 2 養育費保証契約の費用補助 詳細については、以下のホームページ 【横浜市ホームページURL】  https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/oyakokenko/hitorioya/20210602.html

          養育費の取決めや不払いに備えるための費用の補助制度

          不動産の押し買い

          ●宅地建物取引業法でのクーリングオフできる? ・・・否。売主が宅地建物取引業者であることが必要。 宅地建物取引業法 (事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等) 第三十七条の二 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申

          不動産の押し買い

          土地の実勢価格

           公示価格は、土地の価格を求める際の基準になるものとされている。    実勢価格は一般的にみて、地価の安定している時期においては、公示価格と「いわゆる実勢価格」との価格水準は、ほぼ同水準とされている。  相続税路線価は、時価そのものではなく、公示価格の水準のおおむね80%の価格で記せられている。  したがって、この路線価を利用して、時価を調べようとするならば路線価の価格を0.8で割ると、公示価格水準の価格が逆算され、おおよその時価が把握できるということになる。但し、これらの

          土地の実勢価格

          使用者の賃金二重払い

          賃金仮払い仮処分により毎月の給与の支払いを受けたのち、解雇無効確認訴訟において労働者が勝訴した場合、解雇日から判決確定日までの間の賃金請求も認められる。賃金の二重払いを強いられることになる。 賃金仮払い仮処分により支払っているという抗弁は認められない。最高裁は、「仮処分債権者の仮払金支払義務も当該仮処分手続内における訴訟上のものとして仮に形成されるにとどまり、その執行によって実体法上の賃金請求権が直ちに消滅するものでもない。」と判示している。 昭和63年3月15日 最高裁判

          使用者の賃金二重払い

          相続回復請求権と真正な共同相続人間における相続持分を超える占有管理に関する紛争

          (相続回復請求権) 第八百八十四条 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。 民法884条は、典型的には、真実は相続人ではないが戸籍上、相続人であるように見える者(表見相続人)に対する相続回復請求を予定している。 ※表見相続人の例  相続欠格に該当しているがこれを争っている人  被相続人に相続人廃除されているがこれを争っている人  出生

          相続回復請求権と真正な共同相続人間における相続持分を超える占有管理に関する紛争

          労働 退職と賃金

          退職した場合も賃金は通常の支払日に支払われるのか 労働基準法第23条第1項では,使用者は,労働者が死亡したり退職した場合には,退職した従業員(死亡の場合は相続人など)の請求があれば,7日以内に賃金を支払わなければならず,また,労働者の権利に属する金品(積立金,保証金,貯蓄金など)を返還しなければならないと定めています。 したがって,会社の就業規則等で,賃金の支払日が毎月15日と定められていても,退職後に請求を行った場合には,請求日から7日以内に賃金を支払ってもらうことができ

          労働 退職と賃金

          基準内賃金と所定内賃金

          最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。 具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。 (1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など) 労基法施行規則第21条 (2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など) 労基法施行規則第21条 (3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など) (4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など) (5

          基準内賃金と所定内賃金

          公立女子大に男性が入学願書を提出したが不受理処分が違憲だとして賠償請求訴訟を提起した当該男性について、週刊誌が訴訟提起を批判する記事を記載したら名誉棄損になるか。

          【事件番号】 福岡地方裁判所判決/平成30年(ワ)第2240号 【判決日付】 令和元年9月26日 福岡地裁は否定した(ただし名誉感情の侵害は認めた。すなわち侮辱行為は成立し、賠償を認めた。)。 名誉毀損の不法行為は、問題とされる表現が、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものであれば、これが事実を摘示するものであるか、又は意見ないし論評を表明するものであるかを問わず、成立し得る。最高裁判所1997年9月9日判決 ※刑法上の名誉

          公立女子大に男性が入学願書を提出したが不受理処分が違憲だとして賠償請求訴訟を提起した当該男性について、週刊誌が訴訟提起を批判する記事を記載したら名誉棄損になるか。