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散々夢を見たアラーム止めて起き上がるんだ

あまりにも大きすぎる荷物を一人で抱え込むに適した体勢を見つけ出すのには時間がかかるとは思っていた。
余韻とやらに身を任せながら「乾杯」しつつ、セットリスト順にライブを再現しながら徐々に嚥下したかったけれど、ライブが終わる頃に地上を一瞥すると、静まりかえって急いで帰り支度を始めている。あたふたしながらも受け入れる以外なく、仕方がないので直帰を選択する。

PEDROとネクライトーキーのツーマンライブ。悔しいぐらいに楽しくて、泣くほどに響いた一夜の出来事を処理するスペックはまだなくて、騒然とした頭の中を「ゆるふわ樹海ガール」が絶えず流れて占拠する。

プログラム順に沿って、同時進行で整理しながらライブの速度に追いつこうとしていたつもりだったのに、アンコールの衝撃と感激で篩をひっくり返された。
ゆるふわ樹海ガール」をネクライトーキーが演奏しながら、アユニ・Dも一緒になって歌っている。
ライブを見ながら頭が真っ白になったのは初めてだった。
多大な影響を受けてきた二組が一点で交差したのである。理由のわからない涙が溢れ、視界が霞むも必死に目を擦って気を保った。

胸に深く刻まれるようなライブは、次の日をより強く生きてゆくための活力になることが多い。

はずなのに、幻想に近い理想だったものが、まさか偶然にも現実で回収されてしまい、達成感か優越感か、それとも夢が叶ってしまったからなのか、ハリが無くなった。気合は入る分以上に抜けていった。

処理に追われて忙しない頭と、力がうまく入らない体の対比に足が痺れた。

家に帰ったら、ライブのセットリスト通りに並べたプレイリストを追って、落ち着きを取り戻して、感情に名前をつけてあげようと思っていたのに、いざ蓋を開けてみるとどうだろうか、体が動かなくなるのだ。普段以上に動きにぎこちなさが生じている。終演後にもらったワンドリンクの爽健美茶を二口飲み、そのままふぅと一息ついた。


寝ていた。望まずとも抗えない睡眠で、音以外の記憶はライブ会場から散り散りになって帰っていく。

たった一度きりの鮮明な光景でも、どうしても薄くなって見えなくなっていずれ消えてしまう出来事は、やはり夢のようだった。


「Re:」PEDRO×ネクライトーキー
@Zepp Tokyo


【セットリスト】

<PEDRO>
WORLD IS PAIN
乾杯
東京
生活革命
浪漫
GALILEO
SKYFISH GIRL
自律神経出張中
NIGHT NIGHT

<ネクライトーキー>
ジャックポットなら踊らにゃソンソン
こんがらがった!
許せ!服部
がっかりされたくないな
続・かえるくんの冒険
北上のススメ
誰が為にCHAKAPOCOは鳴る
オシャレ大作戦
明日にだって

<アンコール>
ゆるふわ樹海ガール 


自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。