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#5 出会いと別れを繰り返す

※2015年5月16日のブログを転載しています。



5月13日



朝早くに目が覚め、おじいさんが優しい笑顔で迎えくれた。





外を見てごらん、と窓を指差すおじいさん。





ロシアの壮大な景色。ただただ大きい…



この列車には手洗い場は無い。もちろんシャワーも無い。



トイレ内にある手洗い場的なもので歯を磨き顔を洗え、と言う事だ。



これがまた使いにくい蛇口。要領が掴めずズボンを濡らす。



あー!もう!!



歯磨きから帰ってきたアンドレイがコーヒーを奢ってくれた。



更に自分のカバンからスパムとパンを取り出し食べろと言ってくれた。





アンドレイ…スパシーバ…



四人で少しお話する事に。



おじいさんは全く英語が喋れない。



アンドレイがロシア語で聞き俺らに英語で説明してくれた。





驚いたのはおじいさんは戦争の関係で日本に行った事があるということだった。



1945年日本から船でロシアに帰って来たんだと教えてくれた。



何やろ…この気持ち…



おじいさんは日本の事を、目の前にいる日本人二人の事をどう思ってるんやろう…



たまらなくなりアンドレイにおじいさんは日本の事が好きなんかな!?と英語で聞いてみた。



すると、彼は日本の事が大好きだよ!とアンドレイは教えてくれた。



日本に旅行に行った。日本はご飯も美味しいし、人も親切だ、だから日本が好きだ。そんな事を言ってるんじゃない。


 

おじいさんの日本が好きだ、と言う言葉の重みは今の俺には到底計り知れない。



その言葉には深くて重い過去の記憶が乗っかているように感じた。



ただ一つ言える事は、俺はこの日本が好きだ、と言ってくれる優しい笑顔のおじいさんが好きで、マイフレンド!と言ってくれるアンドレイが好きだと言う事だ。



これが今の俺の精一杯の気持ちだ。



お昼休憩は1時間駅に停車。ミツとアンドレイはタバコ吸いに、俺は写真を撮ろうと外に出た。



今流行りの自撮りって奴やって見ました。笑





はい。今臭いです。分かってます。笑



タバコからアンドレイとミツが帰って来た。

昨日の日本人の子と少し話して来たらしい。



ミツいわく、10年近く日本でバンド活動をし、その間に日本と海外を行き来してはその土地土地でバスキングを行っているらしい。



今回のロシアも全くのノープラン。数日前に列車のチケットを買い乗り込んだみたいだ。



ちなみに英語の方もペラペラ見たいで…行きなり凄い奴と出会ったなと、二人で話す。



彼はこの駅で下車。



ミツが連絡先を交換したみたいやからまたどっかで会えるかな。



アンドレイが俺は後数時間で降りる、最後に二人のギターを聞かしてくれと言ってくれた。



アンドレイはロシアでバンドのベース、ソロでエレキをやっているらしい。

恐らく相当上手いんだろう。



はっきり言って俺らは素人同然だ。



そんなアンドレイの前でギターを弾く事が恥ずかしさを倍増させる。



俺らはノー!ノー!と苦笑いで答える。

アンドレイはそんな俺らに冗談でチキン!と言ってくる。



とうとうミツがギターを取り出したが、そのままアンドレイに渡した。



アンドレイ一回弾いてみて!





うまーーー!!



弾き終えたアンドレイは俺にユーアーネクスト!と言って来る。



アンドレイのプレイを先に見た事で余計にやりにくく…



あーでも、もうやるしかない!!



思いきり歌った。



アンドレイとおじいさんは理解出来ないであろう日本語の歌を真剣に聞いてくれた。



最後には笑顔と拍手を。



さぁ次はミツの番だ。緊張しているのが伝わる。



だけどやるしかないでー!!



偉そうになるが今までで一番良いミツの弾き語りを聞けた気がした。

 


格好良かったやんけー!!



そこからそれぞれ二曲目を終えて、アンドレイが好きなロシア人アーティストの映像を見せてくれたりした。



そんな事をしている内にアンドレイとお別れの時間が来た。



最後に連絡先を交換する。



日本にはいつ帰るんだ?と聞かれ約1年後かなと答えた。



アンドレイは必ず連絡して来いと言ってくれた。



握手を交わし肩を抱き合った。



グッドラック!トモヤ!ミツ!



アンドレイ、ホンマにありがとう!!

いつかまた会える日を楽しみにしてる!!



旅の中で出会いと別れを繰り返す。



これが生きてるってことなんかな…



アンドレイのお見送りを終えた俺らは部屋に戻った。



寂しいけど、どこか清々しいそんな気持ちが心に残る。



そこからはギターを練習したり、英語の勉強をしたり。



夜中になり急にお腹が空いたと言い出すミツ。

つられるように俺もチキンラーメンを頬張った。




美味い…



長い長いシベリア鉄道、列車に揺られる。



先はまだまだ見えない。

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