不動産高値売却のメソッドー媒介契約で失敗しないポイント

前項『不動産売却のメソッドー不動産業者の選び方』で、実際に不動産業者に「問い合わせ〜選定する」方法について記させていただきました。本項では「媒介契約を結ぶ〜売却開始」の段階での注意点と具体的なアプローチ方法を説明したいと思います。

[ Chapter0 ]  媒介契約の基礎知識

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媒介契約とは

媒介契約とは「不動産売買を依頼し、報酬を支払う」契約
具体的なアプローチの前に、媒介契約の基本を説明します。媒介契約とは「売却主(あるいは購入主)が不動産売買を依頼し、それを受けた不動産業者に報酬を支払う契約」のことです。「不動産売買契約」と混同しがちですが、不動産売買契約は「買主と売主が、不動産を売買する契約」です。仲介手数料を支払うときや媒介契約を解除するときなどにトラブルにならないよう確認して契約しましょう。

3種類の媒介契約
媒介契約には主に「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類が存在します。

専属専任媒介契約
・売却主は、媒介契約を結んだ不動産業者のみに売買を任せる
・売却主は、自分で購入希望者を見つけても必ず媒介契約を結んだ不動産業者を通して契約する(「自己発見取引」ができない)
・不動産業者は、媒介契約を結んだ翌日から5営業日以内にREINSへ物件情報を登録しなければならない
・不動産業者は、媒介業務報告を1週間に1回以上行わなくてはならない
専任媒介契約
・売却主は、媒介契約を結んだ不動産業者のみに売買を任せる
・売却主は、自分で購入希望者を見つけて不動産業者を通さずに契約することができる(「自己発見取引」ができる)
・不動産業者は、媒介契約を結んだ翌日から7営業日以内にREINSへ物件情報を登録しなければならない
・不動産業者は、媒介業務報告を2週間に1回以上行わなくてはならない
一般媒介契約
・売却主は、複数の不動産業者に売買を任せることができる
・売却主は、自分で購入希望者を見つけて不動産業者を通さずに契約することができる(「自己発見取引」ができる)
・不動産業者は、REINSへ物件情報を登録しなくてもよい
・不動産業者は、媒介業務報告をしなくてもよい
※ 平成29年4月1日に次のような改正がありました。不動産業者は一般媒介契約を締結していたとしても成約に向けて「積極的に」努力する義務を負う、というものです。今までは単純な「努力義務」だけでしたが、専任媒介契約と同程度の積極性を求められるようになりました。

契約書が「怪しい」と感じたら都道府県庁で調べる
媒介契約書に記名押印する前に契約内容を確認しましょう。まずは媒介契約書の上部に「標準媒介契約約款 に基づく媒介契約書 」という文言が入っているかを確認してください。標準媒介契約約款というのは、国土交通省が定めた包括的なガイドラインである「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」において、媒介契約で用いるように指導しているものです。売却主を保護するために、媒介契約の内容をわかりやすくすることで円滑な取引を実現することを目的としています。この記載がない媒介契約書だった場合は契約しない方が良いかもしれません。

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「この不動産会社、怪しいんじゃないか?」そう本能が訴えているのを感じたら、都道府県庁で「業者名簿」を確認するというのも1つの方法です。一例として、東京都庁の窓口を挙げておきます。都道府県毎に調べてみてください。

担当部署:東京都住宅対策本部
直通電話:03-5321-1111(代表)
開設時間:都庁開庁日9:00~17:00
閲覧手数料:300円
その他:閲覧のみでコピー・写真撮影はできません。

この業者名簿に記載されているのは「営業実績」「資産状況 」「納税状況」「行政処分歴 」などです。行政指導(正式な行政処分には至らない注意・指導等)の記録、業者に対する苦情・相談の状況については公表されていません。度重なる行政指導や改善が見込まれない場合、重大な違反を犯した場合に「行政処分」が下されます。事実を確認して、慎重に判断してみてください。

オススメのアクション
・後からトラブルにならないように媒介契約書に精読する
・不明な点は担当者に確認する
・不信感を抱いたら都道府県庁に相談する


[ Chapter1 ]  媒介契約の3つの選び方

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専属専任媒介契約を選ぶべき人

本気でサポートしてほしい人
専属専任媒介契約のメリットは担当者・不動産業者が本気でサポートをしてくれることです。一般媒介契約は他社で成約する可能性が高く、専任媒介契約でも売却希望者の自己発見で成約できてしまう懸念があります。成約報酬型の不動産業者としては、専属専任媒介契約は売却が成功すれば必ず仲介手数料が発生すると確信できますので販売活動に集中できます。会社としても広告費を割り当てやすくなります。「本気で売却したいのでサポートしてください」と熱意を伝えると効果的です。

ほどよいプレッシャーが販売活動を促進する
1週間に1度の報告が義務付けられているので、販売状況が良かろうが悪かろうが頻繁に状況を報告します。報告は、良い意味で担当者にプレッシャーを与えてくれます。販売状況が良ければ報告は気持ちがよく「早期成約に繋がるようにますます頑張ろう」と考えますし、状況が悪ければ「売却主さんに顔をあわせ辛い。報告のときにチラシを撒く提案をしよう」というように、いずれにしても担当者に動いてもらうことができます。担当者が動くことで販売は前進するのです。

専任媒介契約を選ぶべき人

十分なサポートしてほしい人
不動産業者が最も力を注ぎづらいのが一般媒介契約です。やはり他社に成約されてしまっては徒労に終わってしまいます。専任媒介契約はその心配がないので不動産業者も販売活動に集中できます。専属専任媒介契約との違いは売却主による自己発見ですが、それも頻繁には起こりません。ですから、基本的に不動産会社は本気で売却をサポートしてくれます。サービスも専属専任媒介契約と変わらない会社が多いです。頻繁に報告してくれなくても良いと考える方は専任媒介契約でも十分です。

● 知人や隣人に売却する可能性がある人
もし、知人や隣人に売却する可能性がある場合は専任媒介契約にしましょう。個人間売買であれば仲介手数料を支払わなくて良くなるので、その分を値引きすることもできます。気をつけていただきたいのは契約書の作成です。取引後の不安から結局不動産業者にお願いするケースも多いです。その場合、仲介手数料をサービスしてもらうなどの交渉の余地があります。個人間売買については別の記事で詳しく説明したいと思います。

一般媒介契約を選ぶべき人

信頼できる担当者に出会えなかった人
一般媒介契約の扱い方として「不動産業者を競わせる」という意見がありますが、私は反対です。前述のとおり、一般媒介契約は他業者に成約されてしまう可能性があるので本気で売却をサポートすることに尻込みしてしまいます。担当者が一生懸命に売却活動を進めようとしても、会社が止めるケースもあります。また、物件磨きなどのサービスは他社に塩を送ることになってしまうので行えません。具体的なところでは「広告費をかけてもらえない」「サービスを受けられない」「媒介報告義務がないため放置される」などが考えられます。「競わせる」とは、信頼できる不動産業者に出会えなかったということなのだと思います。競わせるならば媒介契約を結ぶ前の段階です。信頼のできる不動産業者、担当者を見定めることに努めることが成功への最大のポイントです。そうは言いながらも、ごく稀に信頼できる担当者に出会いないこともあります。そのときは一般媒介契約で競わせる手法も良いと思います。例えば、最初の2ヶ月だけ一般媒介契約を複数社結び、売却活動を様子見します。そして、これからもサポートをお願いしたいと思える担当者に専任媒介契約で任せる、などが良いでしょう。それほど一般媒介契約は不動産業者にとって希薄な契約なのです。

オススメのアクション
・ 本気で売却をサポートしてほしい人は専属専任媒介契約にする
・ 知人や隣人に売却する可能性がある人は専任媒介契約にする
・ 信頼できる担当者に出会えなかった人は一般媒介契約で2ヶ月間複数社と契約し、その後最も信頼できる担当者に専任媒介契約で任せる


[ Chapter2 ]  後悔しない「媒介契約書の読み方」

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媒介契約書の読み方 : 「 仲介手数料 」を確認する

仲介手数料で決められているのは「上限」のみ
不動産屋業者の報酬である仲介手数料は、成約価格に対して「3%+6万円」と決まっているわけではありません。これは宅建業法という法律で上限が定められているだけですから仲介手数料を交渉することは可能です。最高裁の判例では「取引額・難易度・期間・労力・その他の事情を考慮して仲介手数料を定める」とされていることからも交渉できることがわかります。

仲介手数料の定められた上限
・取引額200万円以下の金額 … 5%
・取引額200万円を超え400万円以下の金額 … 4%
・取引額400万円を超える金額 … 3%
なお、取引額400万円を超える物件については以下の式で速算できる
・売買価格×3%+6万円+消費税


仲介手数料は値引きした方が良いのか?
仲介手数料が高いか否かについては議論の余地があります。不動産業を営むには免許を取得する必要がありますし、店舗を構える義務もあります。法令に則った事務作業、ウェブ広告、チラシ広告、交通費、人件費、売却サービスなど1つの契約にかかる費用は少なくありません。あまり仲介手数料の割引をしすぎてしまうとサービスそのものが受けられない、一生懸命に働いてくれない(働けない)、ということがあります。どんなサービスを受けられるのか、どんなサポートをしてくれるのかを不動産業者に聞いてみましょう。率直に「お支払いする仲介手数料分働いてくれますか?」と聞いてみるのも良いでしょう。一生懸命働いてもらい成果が得られるならば仲介手数料を払う価値は十分にあると私は考えます。

オススメのアクション
・担当者に「どんなサポートが受けられるのか、どんな結果を目指すか」を聞く
・仲介手数料を払う価値があるならば惜しみなく支払う
・仲介手数料を払う価値がないならば値引き交渉をする


媒介契約書の読み方 :「 別途に発生する費用 」を確認する

仲介手数料以外の請求は「特別な業務」の場合
基本的に仲介手数料以外に請求できる費用はありません。不動産業者の報酬は国土交通大臣が下記のように定めていて、現地案内・購入申込・通常の広告・物件調査費用などを請求することはできません。ただし、下記のような場合は別途費用を請求できることになっています。

別途費用を請求できる場合
・ 依頼者の依頼によって行う広告の費用相当額
・ 遠隔地における現地調査費用
・ 空家を売却する場合の現地調査費用
・ 別途業務契約を結んだ場合の費用

「依頼者の依頼によって行う広告の費用相当額」は自社ウェブサイト、スーモなどの広告ウェブサイト、チラシ広告などは含まれません。それらは不動産業者の業務内と見なされます。例えば「どうしても新聞折り込みを入れて欲しい」と依頼した場合などが該当します。また、「遠隔地における現地調査費用」は「ハワイの物件を売却してほしい」などの移動費が該当します。仲介業務以外に不動産コンサルティング業務なども行う場合、業務内容と報酬額等を明らかにした書面により契約を締結し、依頼者に成果物を書面で交付しなければ報酬を請求することができません。つまり、仲介手数料以外にコンサルフィーをいきなり請求されることは無いということです。住宅ローンの斡旋料を「住宅ローン代行手数料」という名目で5万円~15万円を請求する不動産業者があります。東京都庁に確認したところ「住宅ローンのサポートは不動産業者が仲介手数料を受領する範囲内で行うべき」という回答が得られました。仮に支払ってしまっても、都庁に相談すると返還の指示が勧告されるようです。不当な要求をされないように契約時に「仲介手数料以外にかかる費用はありませんか?」と直接聞くことをオススメします。

オススメのアクション
・媒介契約書上に仲介手数料以外に発生する費用がないか確認する
・担当者に仲介手数料以外に発生する費用がないか確認する
・不当な費用を支払ってしまったら都道府県庁に相談する


媒介契約書の読み方 : 「 媒介契約の期間 」を確認する

不動産媒介契約は最長3ヶ月、短く設定することもできる
宅建業法では「専属専任媒介契約・専任媒介契約の有効期間を3ヶ月以内」と定めています。それを超える期間を定めた場合は期間が3ヶ月に短縮されます。一般媒介契約は宅建業法による期間の定めはないのですが、媒介契約書には「3ヶ月を超えない範囲で定める」と記載されています。つまり、媒介契約は全て3ヶ月以内の期間で定め、必要に応じて更新するのです。ですから、1ヶ月や2ヶ月など短く設定することもできます。売却方針に不安がある場合は短く設定して様子をみることも一つの手法です。

更新は書類への記名押印が必要
更新手続きは「依頼者が文書によって申し出る」ことになっています。実務上では、不動産業者から送られてくる更新書類に記名押印して返送してください。そうすれば同一条件で更新されます。金額を下げる場合は問題ありませんが、もし金額を上げる場合は不動産業者の承諾が必要です。ただし、この承諾を拒否する場合、不動産業者は根拠の提示が必要とされています。更新期間も3ヶ月以内で次の更新も更新書類への記名押印が必要になります。自動的に更新することはできません。

更新の拒否は双方できる
売却が芳しくない場合、更新を拒否することができます。これは売却主からだけではなく、不動産業者から行うことができます。希望する売却金額が高すぎたり、売却主の対応が悪すぎると断られることがあることがあります。双方に誠意が求められると言うことです。

オススメのアクション
・ 媒介契約を3ヶ月以上設定してくる業者には不信感を抱く
・ 売却方針に不安がある場合は媒介契約を2ヶ月程度に設定する
・ 更新は書類に記名押印をする
・ 売却活動に不満があるときは更新しない
・ 売却主として誠意のある対応を心がける


媒介契約書の読み方 : 「 解約・違約金 」を確認する

不動産媒介契約の解約によって違約金が発生することがある
契約に違反した自己発見取引・解約・抜き行為などを行うと不動産業者から違約金を請求される場合があります。いずれも不動産業者を欺こうとした際に起こる違約金です。3つの媒介契約ごとに見ていきましょう。

● 専属専任媒介契約の場合
・ 専属専任媒介であるにもかかわらず、媒介契約の期間内に他の不動産業者に売却を依頼して売買契約を成立させた場合は約定報酬額に相当する違約金を請求されます。また、自分で買主を見つけて売買契約を締結した場合も同様に約定報酬額に相当する違約金を請求されます。
・ 媒介契約の満了後2年以内に、不動産業者から紹介された購入希望者と直接売買契約をした場合、契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求されます。
・ 媒介契約期間内であるにもかかわらず、不動産屋業者に問題がないのに媒介契約を解除した場合、媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求されます。履行のために要した費用を請求する場合、明細書を作成し、領収証で金額を立証する必要があります。請求できるのは、交通費・調査費用・広告費などで、人件費は精算しづらいため請求しないのが望ましいとされています。なお、約定報酬額を超えることはできません。
専任媒介契約の場合
・ 専任媒介であるにもかかわらず、媒介契約の期間内に他の不動産業者に売却を依頼して売買契約を成立させた場合は約定報酬額に相当する違約金を請求されます。
・ 媒介契約期間内または媒介契約の満了後2年以内に、不動産業者から紹介された購入希望者と直接売買契約をした場合、契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求されます。
・ 媒介契約期間内であるにもかかわらず、不動産業者に問題がないのに媒介契約を解除した場合、媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求されます。
一般媒介契約 ( 明示型 )の場合
・ 媒介契約期間内または媒介契約の満了後2年以内に、不動産屋業者から紹介された購入希望者と直接売買契約をした場合、契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求されます。
・ 媒介契約期間内に、明示していない不動産業者と売買契約を締結した場合、媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求されます。
・ 売買契約が完了したことを通知する義務を怠った結果、不動産業者がその事実を知らずに媒介契約の事務処理を行った場合は、この事務処理費用を請求されます。事務処理費用は微々たる金額になりそうですが、売却をサポートしてくれた不動産屋業者に対する気遣いを忘れないように願いします。
オススメのアクション
・ ちゃんと仕事をした不動産業者を欺くようなことはしない


媒介契約書の読み方 : 「 特約 」を確認する

不動産屋業者に有利で、売却主に不利な特約は無効
契約書類には特約事項の項目があります。そこに記載された内容はよくチェックしておいてください。例えば、次のような特約は全て無効になります。

無効になる特約
・ 有効期間を3か月を超える期間にする
・ 更新を自動更新にする
・ レインズへ登録しなくてOKにする
・ レインズ登録証明書を交付しないことにする
・ 媒介報告を行わないことにする

広告活動の内容を具体的に記載する
特約を上手く使うこともできます。例えば、媒介契約の際に「スーモ・ホームズ・アットホームに成約まで情報を掲載し、毎週土日には現地販売会を開催するために近隣へチラシを1,000枚ポスティングします」と不動産業者が約束したことを特約として記載することができます。言った言わないの争いを避けることができ、不動産業者にしっかりと動いてもらうことを確約できます。

不動産屋業者が買い取る特約
希望金額で売れなかった場合に不動産業者が買い取る特約を設けることもできます。注意点としては、媒介契約書に記載された価格よりも安い金額で買い取る特約は義務として設けず「売却主の希望があれば買い取りをする」のように判断の余地を残しておくと良いでしょう。

一般媒介契約の非明示型
一般媒介契約は複数の不動産業者に重複して依頼できるものです。このとき、どこの不動産屋さんに依頼しているかを伝えるのが「明示型」で、伝えなくて良いのが「非明示型」です。通常は「明示型」ですが「非明示型」を選択する場合は特約にその旨を記載することになっています。

オススメのアクション
・ 売却主に不利な特約は無効になるが注意が必要
・ 不動産業者が積極的に動いてくれる約束は特約に記載しておく
・ 買取特約は売却主の判断ができる余地を残す
・ 一般媒介契約で非明示型を選択するなら特約に記載する


[ Chapter3 ]  媒介契約前後に確認すること

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媒介契約前の確認 : 「 媒介業務報告 」を確認する

媒介契約を結ぶ前に「報告報告の内容」を確認する
専属専任・専任媒介で売却活動が始まると不動産業者から「媒介業務報告書」で活動報告を受けます。これを媒介契約前に確認してください。なぜならば媒介業務報告を怠っている会社が少なくないからです。先に釘を打っておくことで確実に報告してもらいましょう。媒介報告を怠ると「宅建業法違反・契約違反」になり、媒介契約を解除する事由となります。ここでも率直に「どんな内容を、どんな方法で、月に何回報告してくれるんですか?」と聞いてみましょう。

報告内容の例
・ 不動産会社からの問い合わせ数
・ レインズで販売図面が取得された枚数
・ 現地内覧数
・ スーモ・ホームズ・アットホームでの閲覧数
・ 同じマンション内での価格変更・成約・新規登録

媒介業務報告は重要です。報告対象期間での「webページの閲覧数」や「問い合わせ数」「ライバル物件の価格状況」などを見て今後の対策を考えます。「現行の価格で売却はできるのか」「値下げしなくては希望期間中に売却できないのではないか」などの指標となります。また、前述のとおり担当者への良いプレッシャーとなります。本気でサポートしてもらうためにも業務報告を受けましょう。

オススメのアクション
・ 担当者に「どんな内容で、何回報告するか」を確認する
・ 積極的に仕事をしてもらうためにも業務報告を受ける


媒介契約後の確認 : 「 レインズ(REINS)への登録 」を確認する

レインズへの登録は確認できる
レインズ(REINS:REAL ESTATE INFORMATION NETWORK SYSTEM)とは、不動産業者専用の物件検索サイトの事です。2万社以上いる不動産業者のネットワークを用いて売主と買主を早期にマッチングさせることを目的としています。おさらいになりますが、レインズの登録に関しては下記のように定められています。

専属専任媒介契約 媒介契約を締結した日の翌日から5営業日以内に登録
専任媒介契約   媒介契約を締結した日の翌日から7営業日以内に登録
一般媒介契約   媒介契約の特約でレインズ登録を義務付けた場合は登録

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レインズへ物件情報を登録すると「登録証明書(上図)」が発行されます。この書類を登録後に売却主へ交付する義務があります。もちろん物件の囲い込みをさせないためです。かつて物件の囲い込みは売主さまが知らないところで密かに行われていました。現在はレインズの登録内容をネット上で確認できるようになったので悪事を働きづらくなっています。しかし、登録証明書を交付していない担当者も多いので、必ず担当者に発行を求め、自分の目で登録を確認してください。登録内容は登録証明書の下欄に記載されたURLでサイトへ行き、IDとパスワードを入力することで確認できます。「売却依頼者向けログイン」からログイン・入力して確認してください。

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オススメのアクション
・ 媒介契約から1週間程度経ったところで担当者に「登録証明書」の提出を求める
・ レイズタワーの「売却依頼主向けログイン」からログイン、IDとワスワードを入力して掲載状況を確認する


まとめ

媒介契約は「売却主が不動産売却を依頼し、不動産業者が仲介手数料を受領する契約」です。売却主は「高値で」「迅速に」「気持ちよく」売却したいと考えます。実は、不動産業者も同じ気持ちです。そのほうが売却主に満足してもらえるし、業務効率も上がります。それを本気で考えている不動産業者、担当者に出会っていただきたいと思います。媒介契約の「選び方」や「読み方」は担当者が積極的に売却活動に取り組んでくれるかどうかのチェックリストのようなものです。あなたが安心して売却活動が始められることを願います。ご質問などがあればお気軽にご連絡ください。すべてにお応えできないかもしれませんが、できるかぎり一生懸命にお応えいたします。
mail : info@chimidly.com
twitter : @chimidly1

オススメのアクションのまとめ

媒介契約の基本
・後からトラブルにならないように媒介契約書に精読する
・不明な点は担当者に確認する
・不信感を抱いたら都道府県庁に相談する

専任媒介契約の選び方
・ 本気で売却をサポートしてほしい人は専属専任媒介契約にする
・ 知人や隣人に売却する可能性がある人は専任媒介契約にする
・ 信頼できる担当者に出会えなかった人は一般媒介契約で2ヶ月間複数社と契約し、その後最も信頼できる担当者に専任媒介契約で任せる


媒介契約書の読み方:仲介手数料
・担当者に「どんなサポートが受けられるのか、どんな結果を目指すか」を聞く
・仲介手数料を払う価値があるならば惜しみなく支払う
・仲介手数料を払う価値がないならば値引き交渉をする


媒介契約書の読み方:別途に発生する費用

・媒介契約書上に仲介手数料以外に発生する費用がないか確認する
・担当者に仲介手数料以外に発生する費用がないか確認する
・不当な費用を支払ってしまったら都道府県庁に相談する

媒介契約書の読み方:契約期間の設定

・ 媒介契約を3ヶ月以上設定してくる業者には不信感を抱く
・ 売却方針に不安がある場合は媒介契約を2ヶ月程度に設定する
・ 更新は書類に記名押印をする
・ 売却活動に不満があるときは更新しない
・ 売却主として誠意のある対応を心がける

媒介契約書の読み方:違約金

・ ちゃんと仕事をした不動産業者を欺くようなことはしない

媒介契約書の読み方:特約

・ 売却主に不利な特約は無効になるが注意が必要
・ 不動産業者が積極的に動いてくれる約束は特約に記載しておく
・ 買取特約は売却主の判断ができる余地を残す
・ 一般媒介契約で非明示型を選択するなら特約に記載する

契約前に確認すること:媒介業務報告書の内容の確認

・ 担当者に「どんな内容で、何回報告するか」を確認する
・ 積極的に仕事をしてもらうためにも業務報告を受ける

契約後に確認すること:レインズへの登録証明書の確認

・ 媒介契約から1週間程度経ったところで担当者に「登録証明書」の提出を求める
・ レイズタワーの「売却依頼主向けログイン」からログイン、IDとワスワードを入力して掲載状況を確認する

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