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中国ヒップホップ①中国有嘻哈〜アングラからの脱出〜

こんにちは、Chineeland秦です。

今回は、中国でも市民権を得たと言ってもいい中国ヒップホップのアーティストを簡単にご紹介していきたいと思います。

日本でも様々なラップバトル番組やイベントなどが盛り上がる中、中国でも2017年に始まったとある番組の影響も追い風になり、ラップが一大ムーブメントに。中国のヘッズたちを釘付けにした番組。それが『中国有嘻哈(The Rap of China)』(2017)

爱奇艺の人気番組となったこの番組、プロデューサー(審査員)として
吳亦凡(Kris  Wu)、潘玮柏、MC HotDog、张震岳らが名前を連ね、数千人とも言われる参加者の熾烈な争いを勝ち抜いたGAI そしてPG ONEの2人の勝者を輩出。

これに並行するようにダンスブームなども起こり、ダンススクールも乱立することになります。日本からも有名なダンサーが講師の講師!?として破格のギャラで(高い方)招かれたりしました。

こうして順調にシーン自体が成長している兆しを見せる中、同時に問題も発生します。

中国有嘻哈の勝者であるPG ONEの不倫問題、女性蔑視、薬物疑惑、そしてそのファン同士のモラルのない行動などが取り沙汰され、広電(中国広播電影電視総局(通称:広電総局)が正式に、ヒップホップは中国政府の価値観とあってないという声明を公表。

<広電について説明すると、中国はこの広電の許可を得たコンテンツしか放送できないのです。全てのコンテンツは基本的にチェックを経て、OKをもらったもののみが、スマホの前の皆さんやお茶の間、劇場に届くことになっています。なので広電にNGを食らってしまうとどうしょうもない状況になるわけです。>


そのまま番組は終了かと思われましたが、翌年に根前を変えて『中国新说唱』として復活。その後番組は2020年まで続いています。(次回以降でもう少し詳しく触れようと思います)

今回は中国にヒップホップブームを巻き起こした中国有嘻哈(2017)で勝ち抜いた2名のアーティストをピックアップ。


▫️PG ONE

黒竜江省出身。幼少期はブレイクダンスなどに勤しんでいたようですが、高校生の時の留年をきっかけに中退。その後引きこもって「NARUTO」を観たり、ゲーム三昧の生活を送っていたそうです。そんな生活を送る中、ネット上でフリースタイルラップに出会い、追求し始めたのがきっかけでラップに目覚める。同時期に親戚が経営するクラブでDJも2年ほど経験しています。

2012年に初めてフリースタイルイベントに参加。そしてバトルMCとしてのキャリアをスタート。翌年、初めて参加したイベントで優勝。その後2015年には全国大会で優勝し、音源もリリース。

2017年に中国有嘻哈に参加。そして見事優勝を果たしました。

彼はダイナミックで情熱的なスタイルとそこそこイケメン?なビジュアルが人気を後押しし、たくさんのファンを魅了していきます。

一気に全国区の人気となり順風満帆なキャリアかと思われましたが、彼のリリックで歌われていた「若者に薬をやらせる」「女性を侮辱する」ような歌詞は物議を醸し、さらには不倫疑惑なども重なり、活動の場所を制限されていきます。
現在では、中国国内の主要な音楽ストリーミングサービスで聴けなくなっています。そんな彼は香港、台湾などで活動を続けているようです。2020年10月には新曲のリリックビデオを公開し、PGONEが復活か?なんてネットでも話題になりました。


▫️GAI(周延)

四川省出身。2015年に音源をリリースしデビュー。2016年に本名の周延でタレントコンペティション番組に参加。2017年に中国有嘻哈で一躍有名に。
同年、League of Legends(王者荣耀)のチャンピオンシップとサマーフェスティバルの主題歌を担当。さらにはSUMMER SONIC Shanghai2017にも出演。
(日本からも確かB‘z、LUNA SEA, 和楽器バンド、BAND-MAID, ALISA UENOなどが出演していた気がします。詳しくは調べてみてください)

その後、様々な番組やイベントに出演、さらには賞も受賞して人気も最高潮に。
2018年には結婚し、一児の父になっています。

そんな彼は自身も所属するレーベルDoor&Keyのチャリティに寄付をし、中国山岳部の子供達に音楽教室をプレゼントするなど社会活動にも力を入れ、シーンの牽引に貢献しています。

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Weiboのフォロワーは1000万人以上。


今回は中国有嘻哈を取り上げてみました。

需要があればそのうち2018年から名前を変えて始まった中国新说唱の出演ラッパーなども紹介できたらと思っています。

それでは再见~!


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