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戸来村とキリストの墓

社会に出て初めて入った会社の
同僚が言いました。

「青森にさぁ、『ヘブライ村』
ってのがあんだけど、知ってる?」

「あぁ、戸来村のこと?知ってるよ!
行ったことはないけど。」

「それがどうしたの?」

「いや、君なら知ってるかと思ってね。
行ってみたいんだけど、なにしろ
遠くて…」

変わった趣味してるな、と思いながら、
俄に自分の目で確かめたくなりました。
(私も同好の志という訳です)

戸来村とは何か?

戸来村は、現在は青森県三戸郡新郷村
となっています。
この村にはイエス・キリスト渡来伝説が
あり、“神秘の里”として注目を集めて
いました。

村名の由来は、古代イスラエルなどを
意味する「ヘブライ」が転訛したもの
という説があります。

同僚の言はあながち間違いではなかった
ことになります。

キリスト渡来伝説の発端は、昭和初期に
茨城県で発見された「竹内古文書」に
あります。

茨城県磯原町(現北茨城市)にある
皇祖皇大神宮(遷宮前は富山県)の
竹内家に伝わる「竹内古文書」に
この戸来村が記されてあったのです。

竹内氏自らこの新郷村を訪れ、キリストの墓と思しきものを発見しました。

また、1936年には考古学者の一団が
「キリストの遺書」を発見したり、
考古学・地質学者の山根キクの著作で
題材にされたりし、世間の注目を浴びる
ことになりました。

またキリストの弟であるイスキリの墓も
ここにあると言われています。

当時、喧伝されていた噂話をそのまま
書きましたが、真実については後で
考察することとします。

さて、当時の現地の様子ですが、青森の
ほんの小さな村の中に、資料館らしき
ものがあり、他は地蔵堂がまばらに並ぶ、
寂しげな寒村というだけでした。

お堂の前にある風車がいっそあわれで、
どこか恐山にも似た雰囲気が漂います。

異彩を放つのが、写真にある額に十字架の
書かれた人形です。

江戸川乱歩の小説か、横溝正史の映画の
舞台かという趣でした。

しかしこの人形もれっきとした資料であり、ちゃんと意味があるということを
後で知ります。

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