大映のリトル・プリンセス的な立ち位置（と勝手に思っている）麻里エチコさんの1969年リリースの2枚目のシングル「キッスしてっ」のB面に収録されている曲です。

マイナー調のムーディーな演奏に乗せて、エチコさんのカマトト感たっぷりで甘ったるくクセのある歌唱がはじまると、どこかちょっと「これはホラーなのか？」と思わされる独特の雰囲気があります。黒沢良さんの渋いセリフは、さすがベテラン声優の風格ですね。

麻里エチコさんは3枚のシングルを残しておられるようですが、その独特な歌唱を一番楽しめるのがこの曲ではないかと思います。「ちっちゃな恋人／真夜中の遊園地」もホラー要素を感じる部分は共通しており、その歌唱は健在。世間的には一番人気がある「くたばれ野郎ども」は曲自体すごくカッコいいのですが、その特徴は鳴りを潜めます。

しかしいずれのシングルも素晴らしい内容であることは間違いなく、すべてが名作と言えるのではないでしょうか。60年代に活躍した、こういった「歌唱で豊かな表情を伝えるのが上手い」方は本当に大好きです。西ちくまさんや葉村エツコさんなどにも通じる、どこかコミカルなキャラクターを感じるのも大好きな理由の一つです。