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大好きだった「おっさんずラブ」を大嫌いになるまでの葛藤と心情を、徹底的に考えてみた。

2018年に共に大ヒットしたドラマがある。「おっさんずラブ」と「アンナチュラル」だ。

ここ最近Amazonプライムでどハマりした「アンナチュラル」は、自分の中のNo. 1ドラマに躍り出た。当時No. 1だった、「おっさんずラブ」を押し除けて。

両作品とも大ヒットし、特に「おっさんずラブ」は社会現象とまで言われた。けれどこの2作品は、自分の中でくっきりと明暗が分かれてしまっている。

はっきり言えば、大好きだったのに大嫌いになってしまった作品。それが、おっさんずラブだ。

あのドラマを超えるものが出てきた今こそ、「なんでここまで嫌いになってしまったんだ」とずっとグルグルしていた「おっさんずラブ」について、ちょっと真剣に考えてみた。

両作品にはたくさんの共通点がある。ざっとあげてみると…

人気
熱烈な固定ファン
2次創作勢の多さ
脚本の力
キャストの力
スタッフの力
原作がないオリジナル作品である

そして、

続編を熱く望む声

決定的に違う点は、

「おっさんずラブ」はすでに映画化と第二シーズンの放送が終わり、「アンナチュラル」はまだ続編がないことだ。

私は「おっさんずラブ」の映画も第二シーズンの放送も失敗だと思っている。

自分があれほど大好きだった作品を、もう見たくないと感じるくらい嫌いになってしまったのも、映画と第二シーズンが原因だ。

一体何がそこまで思わせたのかを、今日は徹底的に書いてみようと思う。

✳︎

人気作品の続編(映画化や第二シーズンをまとめて以下では続編とする)を成功させるには、「続編を熱望するファンの期待に沿う」or「良い意味で期待を裏切る」ことが必要だろう。

熱烈なファンが多いほど、それぞれの中で「理想の続編」が出来上がっている。原作のないオリジナル作品だと、いくらでもその後を考えられる。

大量に生まれている「理想像」がある中で、ファンたちを納得させる作品を生み出すのは、とても難しいのだ。

だから安易に続編は作れないし、リスクが高い。

私は2018年の4月以降「おっさんずラブ一色だった!」というくらいのめり込んでいた。もちろんリアルタイムで見ていたし、最終回はツイッターで呟きまくってトレンド一位になるよう貢献した。

Blu-rayは初回限定版をもちろん買ったし、公式本もシナリオ集も買ったし、「おっさんずラブ展」のチケットを取るために近所のローソンへ朝っぱらから足を運び、なかなか繋がらないロッピーの前で30分近く格闘してチケットを取った。

熱烈に追いかけていたので、もちろん続編は望んでいた。

でも私が見たかったのは、春田と牧のその後。

スペクタクルだの爆破だのがない、普通の姿。

恋人になったから出てくるであろう葛藤。周りの家族をどう説得していくのか?上海と東京でどうやって遠距離恋愛を乗り越えていくのか?

ごく普通の恋人になったであろう2人の姿が見たかった。ただそれだけを望んでいた。そして、続編がもしも放送されるなら、何年でも待とうと思っていた。

それが最終回後すぐに映画化が決まり、蓋を開けてみると「なんで?」の連続。

春田と牧のシーンが少なく、ほぼケンカしている。すれ違いばかり。

大事なシーンの書き込み(牧が倒れたところや、春田が牧の実家へ行くところなど)がめちゃくちゃ薄っぺらくて、「そこいらんくない?」という部分の方が多い。

最後の結婚式も、春牧じゃないんかよ!!その2人の結婚式、ほんまに必要?!

最後の最後まで「見たいものがほとんど見れなかった…」という思いしか生まれなかった。落胆しかなかった。

公式が供給するものと、ファンが望むもののズレを決定的に感じた映画化だった。

✳︎

映画のストーリーで感じた違和感は他にもあって。

男性同士で結ばれたのだから、続編があればもっとその点に切り込んだ部分があると思っていた。

ちゃんと牧の家族にも、春田のお母ちゃんにも話をして認められるシーンとか、パートナーシップ条例を出してくるとか。

本編だけで終わらせず続編を作るならば、「めでたしめでたしのファンタジー!」なんかで終わらせたらダメだろうと思っていたからだ。

そして恋人になったはずの2人の関係性に、変化が無さ過ぎた。

牧は相変わらずすぐに怒り、不機嫌になって、肝心なところを話さない。春田も同じく、鈍感すぎて空気を読めなさすぎる。

あんたら一体、ドラマで7話かけてすれ違ったのはなんやったん?完全に、2人の関係が振り出しに戻った感があった。

もちろん人はそんなすぐに変化するものじゃないけれど、あれだけの葛藤を乗り越えて結ばれ、上海と日本で遠距離恋愛時代も乗り切ったのなら、多少は関係性に変化があるはずじゃ…?

そして、どう見ても春田と牧の出番が少なすぎた。特に、牧。

何か裏があるのか?(事務所関係など)とファンに勘ぐらせることは、作品に集中できなくなる上に、憶測や噂話を生み、ファン同士の揉め事も増える。

つまり、万全な状態じゃないのに続編を作ってはいけないのだ。ドラマ本編よりお粗末な内容ならば、作る意味なんてない。

そこからの、「in the skay」である。

もうこれで完全に心は折れた。ボッキリだ。

キャスト一新なのに、春田と黒澤は続投。公式アカウントを新たに作らず、「おっさんずラブ」時代の投稿を消して(アーカイブして?)、新作品のPRが始まった。一体何をやっているんだ、公式さんよ。

大好きな作品を、まさかの公式がぶっ壊してきた良い例だとこれからも語り継がれるだろう。

✳︎

社会現象にまでなる、たくさんの人に大切に思われる作品をせっかく生み出したのに、ニーズの方向性を完全に読み間違えたと私は思っている。

映画化も第二シーズンもそんなにすぐ作る必要があった?

→すぐに作ることで観客動員数UP、視聴率UPを狙える

春田と牧ではないストーリー(in the sky)、何のために作ったの?

→話題作りか?「男性同士の恋愛ものなら喜んで見る」とでも思ったのか?
→思ったんだろうな…お偉いさんなのか、誰なのか、まさかスタッフ陣の総意とは思いたくない。

当時はTwitterで色んなファンの人たちの意見を読みまくった。

映画だってin the skyだって、一定数の人達が「その作品も好き」と感じているのはわかっている。

でも、私と同じように完全に心が離れた人たちも、たくさんいた。

一体どんな力が働いたのか。「おっさんずラブ」をこんな風にしてしまったのは、誰なのか?熱烈に続編を希望しすぎた私たちファンのせいなのか?

でもいくら熱望があったとしても公式が「今じゃない」と判断すれば、私も含めたくさんのファンたちはその日を待ち続けただろう。

万全な状態で作れば、きっと方向性も違っていただろう。

そして今でもファンたちは、「春田と牧はどんな風に生きているだろう」と想像し続けられただろう。

素敵な作品は、登場人物たちが同じ空の下に本当に生きていると感じさせる。「おっさんずラブ」も「アンナチュラル」もそうだった。彼らは生きていた。

春田と牧の普通の日常が見たかった。どんな風に心を通わすのかを。

炎の中じゃなくて、日常の中で彼らの愛情を紡いで欲しかった。

今はもう、私の心の中に春田も牧もいなくなってしまった。そうしたのは、一体誰なんだ。なんのために、こんな形で作品を嫌いにならないといけなかった。

毎週心から楽しみにしていた、あの放送の頃に戻りたい。絶対に戻れないけれど、本当にいい日々だった。

返せるものならば、返してほしい。私の大切な作品を。

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ここまでを昨日一気に書き上げて、そのままアップするつもりだったけれど、読み返すとちょっと書き加えたいと感じたので書きます。

結局私は、自分が大切だと温め続けていた作品を、大切に扱われなかったから、ここまで色々と思うことがあったのだ。

実際には、大切に扱われなかった「ような」気がした。

なんだけど、もう一度冷静に考えてみても、やっぱり「おっさんずラブ」の映画からの流れはいただけなかったと思う。もっと良いやり方は、いくらでもあっただろう…と。

人は大切なものほど思い入れが強くなるし、その分「大切に扱われなかった」と感じた時のショックも大きい。

だから熱心なファンほど、アンチになりやすい。

私はもはやアンチの域も超えて「おっラブ」への関心がなくなってしまったけれど(アンチは対象に関心があるってことだから)。

3年でも5年でも10年でも待ったのになあ。年月を経た春田と牧の方が、よっぽど見たかったなあ。多分もう叶うこと、ないんだろうなあ。

もしもこれが実在する身近な人への気持ちなら、本人に伝えるなりして気持ちの整理もつくけれど、作品となると対話ができない。

モヤモヤとしたものを抱え、放送した時に撮りためたドラマの録画をいつまで残してるんだろう私は…と思う日々。恋かよ!!

いや。恋してたんだろうな、あの作品に。
こんな幕切れになるなんて、思ってもみなかったんだよ。

実在する相手ならいくらでも大切にできるのに。

私の長い長い「おっさんずラブ」への重い愛情と葛藤と、諦めとサヨナラでした。3600文字超えの長文を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。ここまで読んでくださったということは、同じものを感じずにはいられません(泣)

「アンナチュラル」はじめ素敵な作品が、ファンにも、公式にも大切にされていきますように。切に願います。同じ想いはもう御免ですから。





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