「親の宗教」であるキリスト教の苦しさを和らげてくれた本たちのこと…


親の宗教の刷り込みが苦しい
……「気づいたら薄まってた」くらいが良いのかも

私は伝統的キリスト教の2世として育ちました。
私はキリスト教の神を愛することができず、教会コミュニティに属することも苦しかった。結婚で実家を出たのを機に、もう完全に離れてしまいたいと思っていました。

しかしキリスト教は、私の内面根深く、細かく分かれて食い込んでいました。

私がどんなにキリスト教や育ったコミュニティを憎もうが、地獄の恐怖や、司祭に罪を告白しなければ赦されないという恐怖は抜けないままでした。
嫌なことがあると、自分が教会に通わず、罪の告白もしていないことが頭をよぎります。

頭の中では延々キリスト教や神や、司祭たちのことを批判しつづましたが、これを続けたところで自分が楽になることはないのも分かっていました。


1人で思い出しては、新たに傷ついていくだけ。
私は自分の中のキリスト教と闘うことをやめ、放っておくことにしました。
きっと今、急いで答えを出すことはないんじゃないかと思ったのです。


その頃のことを書いた記事が、こちらです。

そんななか思いがけず助けになったのは、キリスト教を意識せずに読んだ本たちでした。


とくに欧米圏の昔の文学は、物語の底には国家やキリスト教とどう付き合っていくかというテーマが流れています。どちらも個人にとっては強大な存在です。


私はそうした本たちを通して初めて、悩んでいるのは自分だけではなかったことを知りました。

またキリスト教が片隅にでもテーマになっている本を読むと、私の育ってきたキリスト教世界を、すこーし斜め上から観察することができるのです。正面から取っ組み合って、怒り狂っていた頃よりもはるかに楽になりました。

作品によっては読むことを通して、キリスト教が支配する世界観の枠組み」を俯瞰して見ることができたのもありがたかったです。

ありがとう!昔の文豪たち!!
そして私がこうして日本語で海外文学を読むことができたのは、文学部の先生方が少ない研究費で踏ん張ってきてくださったかはだなあと思いを馳せては、「文学部は大事なんだぞ」と声を大にして訴えたくもなりました。

さてさて話がそれました。
今日は私を助けてくれた本たちについて、以前書いた記事を貼り付けます。


(次の記事以降は、他の本をご紹介します。
 今日の記事を含めて、小難しい本が登場しますが、
「ああ、こいつ暇だったんだなー」
くらいに思っていただければと思います。
 時間だけはあるという、今思うとありがたい日々でした)


では、ひと作品目。

◆強大な何かは、ユーモアでかわしていいと教えてくれた本


note記事でかいた感想には、誤読も含まれると思います。とくにこの『ユリシーズ』は、英文学、そして舞台(作者の出身地でもある)アイルランドの超ローカルな事情なり歴史なりが容赦なく出てきます。

私も読み始めは、註を参照しながら読みましたが、
「これでは、いつまでも進まない…(私の知識がなさすぎて)」
と諦め、拾えるところだけ拾って読むことにしました。

そんな私でもキリスト教2世として拾えたことがありました。

・キリスト教の世界をおちょくる発想があったこと
(小説の会話に出てきます。私はセンスないからしないけど…)
・強大でどうしようもないものに対しては、ユーモアでかわしても良い。
(私は未だにできていません…)

あまり書くと長くなるので、気になる方はリンク先を読んでいただけると、ありがたいです💦

ただ一言。ジョイスという作家の背景には、当時のカトリックと、アイルランドという国の運命という、儘ならぬあまりにも大きなものがありました。
だからこそ、(当時のジョイスほどではないとはいけ)私も勝手に拾えたものがあったのかもしれません。


そして、2作品目はこちら。

◆多神教が多数派だった社会の感覚を教えてくれた本
(一神教は、絶対じゃない)


これも正直、小説に私の教養が追いつかなかった…。
(これから紹介する本は、全部そう…)  

私が小説の中でとくに取り上げた箇所は、多神教がメインの社会にとっては、一神教の民ってただただ面倒だった。そんなことが伺える話でした。

なんとなく私たちは、キリスト教、イスラム教と一神教が多数派の世界で生きています。
まして、キリスト教2世として育つことは一神教100%のコミュニティに放り込まれることです。

でも、そうじゃない世界もあったんだ…。作者の描写力も相まって実感できた私は、肩の力を抜くことができました。

(リンク先の記事では、ローマ帝国時代に、ユダヤ人が元々いた地を追われる前後のことが書いてあります。
まさか今のような悲惨なことになるとは思いませんでした。当時の記事は、苦い思いで読み返しました)

このnoteはしばらく、
「あの頃、こんなの読みましたー」
みたいな話がつづくと思います。
毒々しい話はおおかた終わりましたので、お気軽にお付き合いいただければ嬉しいです。


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