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音楽の感想

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90年代後半~00年代ハウス・ミュージック(2):備忘メモ

90年代後半~00年代のハウス・ミュージックは、気付いたら消えていなくなっていたというトラックメーカーやプロデューサーがたくさんいた。それは時代と共に廃れがちなジャンルならではで、意図的に思い出さないと忘れてしまう。 だから埋もれさすには惜しいトラックを備忘のメモとして残す。かつてレコードで購入した音源がメインとなり、これはその記録の2つめ。 (備忘メモの(1)はこちら) Them Drums (Version Dub)/Swagシェフィールドを拠点に活動する、Chris

90年代後半~00年代ハウス・ミュージック(1):備忘メモ

音楽配信サービスや過去に購入したCDやらレコードのおかげで、一生かかっても聴ききれないと思われるほどの楽器を聴ける環境にある。 新たな感動を求めて新曲を探すけど、そうすると古い曲を聴かなくなって気が付くと記憶からも消えていってしまう。 私にとって思い入れの深い90年代後半~00年代のハウス・ミュージックは、気付いたら消えていなくなっていたというトラックメーカーやプロデューサーがたくさんいた。 それは時代と共に廃れがちなジャンルだからこそで、意図的に思い出さないと忘れがち。だか

春に向けて気分を盛り上げていく音楽(2024年)

冬だから当たり前なのだけど、寒すぎて気分が滅入ってくる。ここ数年は手足がしもやけで痛くて、文字を打つPCとマウスすら冷たい。 だからせめて音楽だけは気分のアガるものを。 とはいえゴリゴリだったり、イケイケアッパーな感じだけではなく、あまり下世話にならない選曲で、なおかつこの1年以内にリリースされた作品を中心に選択した感想などを。 Get Up Sequences Part Two/The Go! TeamUKブライトンの6人組による7枚目のアルバムは、2023年2月のリリー

2023年総括。心を落ち着けるダウンテンポ/アンビエント・ミュージック(感想)

身体の凍えるような冬にこそ、心を落ち着けられるチルアウトを。 以下、この1年以内にリリースされた、ダウンテンポ/アンビエント・ミュージックを中心に印象的だった作品の感想などを。 Before I Saw the Sea/Me and My FriendsUKブリストルの5人組によるデビューアルバムは2023年1月のリリースで、レーベルはSplit Shiftより。 気怠いアフロビート、フォーク、ソウルなどがブレンドされたイチオシの1枚。「You Came Into My L

Gloria Estefan(感想)_頭を空っぽにしてくれるアッパーなリミックス

80年代中頃から活躍するGloria Estefanの紹介文によると、キューバからの移民でいわゆるヒスパニック系アメリカ人のサクセスストーリーの体現、または1990年の交通事故による瀕死の状態からの復活劇など。 正直に言ってGloria Estefaについてほとんど知らないけど、リミックス目当てでシングル盤を集めていたらそこそこ手元にある。 すべてのリリースの把握となると数が多すぎて無理だけど、90年代以降のリミックスには特にお気に入りのトラックが多くて、傾向としては大げさ

Goldfrapp2010-2023年(感想)_シンセポップからチル・アウトまで

Goldfrappは、Will GregoryとAlison Goldfrappによる1999年結成のデュオ。以下に2010年以降にリリースされたアルバム/シングルについての感想などを。 2008年までのリリースについての感想はこちら。 Rocket (2010年)5thアルバムからのリードシングル。UKシングルチャート47位。 80sテイストのキャッチーなシンセポップ。Alisonのヴォーカルに透明感があって全体的にキラキラして眩しい。 過去作と比較してチャートアクション

Goldfrapp2005-2008年(感想)_幅広い音楽性と優れたリミックス

Goldfrappは、Will GregoryとAlison Goldfrappによる1999年結成のデュオ。 以下に2005年以降にリリースされたアルバム/シングルについての感想などを。 2004年までのリリースについての感想はこちら。 Ooh La La (2005年)3ndアルバムからのリードシングル。UKシングルチャート4位。 グラムロックっぽくもあって、ポップでノリの良い軽快な曲。 リミックスはBenny Benassi、Peter Rauhoferなどのは個人的

Goldfrapp2000-2004年(感想)_耽美で退廃的な電子音楽

Goldfrappは、Will GregoryとAlison Goldfrappによる1999年結成のデュオ。『Silver Eye』以降ユニットとしての活動はご無沙汰だが、2023年にはAlison Goldfrappのソロがリリースされた。 以下にGoldfrappとしてリリースされたアルバム/シングルといくつかのソロ作品についての感想などを。 Lovely Head (2000年)1stアルバムからのリードシングルでレーベルはこれ以降のリリースもMuteから。本作以降

2023年、夏の夜に聴きたいメロウなグルーヴの曲

観測史上かつてないほど7月が暑くなったなんてニュースが流れているけど、湿気とうだるような暑さに逆らわず、メロウなグルーヴの曲を聴きたいときのR&B、ソウル、ソフトロックなどで、主にここ1年くらいにリリースされた音楽などの感想を。 3000°/Ambreルイジアナ州ニューオリンズで生まれ育ったAmbreの新作は2022年6月のリリース。レーベルはRoc Nationから。 AmbreはRavyn LenaeやH.E.R.の作曲でクレジットされている人。 タイトなビートと気怠

EBTG(Everything But the Girl)2002-2023年(感想)_時代に合わせて変化するソロ作

EBTG(Everything But the Girl)は、Ben WattとTracey Thornが1980年代前半から活動しているユニット。以下に2002年以降にEBTGとしてリリースされたアルバム/シングルと、いくつかのソロ作品についての感想などを。 1996-2001年リリースについての感想はこちら。 Corcovado (Knee Deep Mixes) (2002年)EBTGによるAntonio Carlos JobimのカバーはDrum'n'Bassだっ

EBTG(Everything But the Girl)1996-2001年(感想)_リスニング用Drum'n'Bassと、踊れるリミックス

EBTG(Everything But the Girl)は、Ben WattとTracey Thornが1980年代前半から活動しているユニット。以下に1996年以降にEBTGとしてリリースされたアルバム/シングルといくつかのソロ作品についての感想などを。 1988-1995年リリースについての感想はこちら。 Walking Wounded (1996年)同名アルバムからのシングルカット曲は、Drum'n'Bassのリズムにのせてさらなる音楽性の変化が聴ける。UKシング

EBTG(Everything But the Girl)1988-1995年(感想)_AOR路線からダンスビートへの転換

EBTG(Everything But the Girl)は、Ben WattとTracey Thornが1980年代前半から活動しているユニット。以下に1995年以降にEBTGとしてリリースされたアルバム/シングルといくつかのソロ作品についての感想などを。 1982-1986年リリースについての感想はこちら。 Idlewild (1988年)大人向けのポップスといった雰囲気の落ち着いた曲が多く、雨の日曜午前とかに家でまったりと聴きたい音楽。UKアルバムチャート13位。 過

EBTG(Everything But the Girl)1982-1986年(感想)_優しく寄り添ってくれる初期の名盤

EBTG(Everything But the Girl)は、Ben WattとTracey Thornが1980年代前半から活動しているユニット。 2023年4月には24年振りのニュー・アルバム『Fuse』をリリース。正直に言ってこれまであまり注目していなかったのだけど、過去作から遡って聴いてみるといくつか耳に馴染んだので、以下にEBTGとしてリリースされたアルバム/シングルといくつかのソロ作品についての感想などを。 A Distant Shore/Tracey Thor

Zero 7 2012-2022年(感想)_質の高いダウンテンポを聴かせるEP/シングル

Zero 7は、Sam HardakerとHenry Binnsからなるプロデュース・ユニット。 以下2022年までにリリースされたいくつかのシングル、リミックスをピックアップした感想などを。 2010年までの感想はこちら。 The Colour of Spring/Zero 7 (2012年)CDでは2枚組になるTalk Talkのトリビュート盤『Spirit of Talk Talk』への収録曲。 神秘的な女性ヴォーカルとエレクトロニカのようなシンセによるスピリチュアル