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どの作品から読み始めるか

社会人になって改めて古文を読んでみたいと思ったときに、「どの作品から読み始めればいいですか?」と聴かれることがあります。


もし、古文の苦手な高校生であれば、「まずは説話がいいと思いますよ」と答えるでしょう。

説話(せつわ)とは、昔から伝わる伝説や、昔話、またはその時代の噂話やスキャンダルのことです。一つのお話が短く、話の展開もわかりやすいものが多いので、高校の教材でもよく使われています。

作品でいうと、そのような説話を集めた説話集(せつわしゅう)に、「今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)」や「宇治拾遺物語(宇治拾遺物語)」があります。

確かにおもしろい話も多いので、おすすめなのですが、相手が社会人となると、答え方は変わってきます。


社会人が相手でしたら、「どんな作品を読んでみたいですか?」と問い返すことが多いです。なぜなら、社会人にとって、「どんな作品を読みたいか」の方が大事だと思うからです。

高校生の場合は、大学の入試問題を解けるようになることが最終目的になることが多いです。その場合は、ある程度さまざまな古文を、ある程度体系的に読んでいくことが必要になります。その場合は、まず古文に慣れるためにも、説話がおすすめなのです。

一方で、社会人の場合は目的はさまざまです。特に、ある作品を読むこと自体が目的なのであれば、その作品から読み始めて問題ないと思います。

社会人には、それほど時間がありません。最初の数か月は読みやすい作品を読み、そこから少しずつ幅を広げて、一年後には目的の作品に……ということもできなくはないのですが、そこまで長い目で考え、学び続けることは簡単なことではないでしょう。

だからこそ、まずは自分の読みたい作品を読んでしまった方がいいと思うのです。

もちろん古文にも読み易い、読みにくいはありますが、まずは読んでみたい作品に挑戦することから始めるのが良いと思います。



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