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この手の本、久々にあたりを引いた気がする ~「バナナの魅力を100文字で伝えてください」☆☆☆感想~

こんばんは。千歳ゆうりです。
本日は「バナナの魅力を100文字で伝えてください」という本の感想です。
この手の自己啓発本、たいてい、言語化まではしていないけど自分が無意識にやっていることの言語化が書いてあって、新規に得るものがないことがままあるんですが(何様目線)、この本は、なんというかすごかったです。

この手の本の要約を書くのもあらゆる意味で違う気がするので、以下は私の感じたことを書いています。

「伝わる」技術には大きく二系統あるのではないか

同書はかなり細かく(伝わるまでには7階層ある、など)「伝わる」技術について書いているが、読んでいると、大きく二つに分けられる気がする。
伝わりやすい情報に、情報をパッケージングする技術
伝えられる人が開封しやすいように情報を届ける技術
一つずつ見ていこう。

伝わりやすい情報に、情報をパッケージングする技術

これは、具体的に言うなら、伝えたい内容の構造化や抽象化、伝わりやすい例示などのテクニックである。

例を挙げるなら、私が感じるバナナの魅力は?と聞かれたら、サクッと「食べるまでのコストが低いわりに美味しいこと」と答えるだろう。皮をむくだけで食べられるし、皮をむくのもナイフいらずで手軽だ。
自分が伝えたいことの要旨、論旨を自覚しているか?はその人の話の分かりやすさに直結する。「自分は何が言いたいか?」の「何」をきちんと自覚(把握)し、正確に(適切に)表現できるか、という話だ。

要は、「自分が伝えたいこと」をわかりやすい形にパッケージングする技術、という話である。

伝えられる人が開封しやすいように情報を届ける技術

一方こちらは、伝えたい人の立場に立って、この人はどういう風に情報を開封するのか?を考え、伝わりやすい情報の渡し方をする技術だ。

例を挙げるなら、相手が関心のある話題をする、相手の好きなもので例を示す、と言ったことだろうか。
食べ物といった比較的普遍的な例示でもいいのだが、この人はゲームが好きだからゲームで例えた方がわかりやすい!とかそういった話である。
これが行き過ぎると内輪ネタになるわけだが、内輪ネタはやっぱり印象に残りやすいし楽しい。そういう意味では、前述の伝わりやすく情報をパッケージングする技術より、深く心に刺さる効果を狙いやすいと言えるだろう。

つまりは、この人には何を/どう伝えればよいのだろう?に対応する技術と言ってもいい。

同書を読みながら、自分は圧倒的に前者はできるが後者は足りない、と感じたし、同時に、私が尊敬している人は両方得意である、と気付けたが、これは大きな発見だと感じている。

そして、興味深いことに、私の尊敬している両方得意な人々は、後者によってお金を稼いでいる、のだ。あくまで私観だが。
元コンサルでバリバリ働いていたり、編集者をしていたり、である。前者は教育系の仕事に就くことも考えられるが、所詮仕事はヒトとヒトのやり取りである、と考えると、後者が長けていると高い給料の仕事につける率が高いのではないか……とにらんでいる。後者の技術があることによって求めている人に求めている情報を届けられるようになる。そのうえで、ありきたりではなく、伝えるのが難しい、ユニークな話をするために、前者の技術が必要になるのではないだろうか。

……まあ、あくまで私見なので、前者が得意で後者が苦手だけどお金バリバリ稼げるよ!という例があるなら少し気になる。両方得意だとすごく稼げる、のはわかるのだが、片方が得意で片方は苦手という場合、前者より後者の方が金稼ぎに寄与しそう、という考えが個人的にある、という話だ。後者を磨きたい場合どこに行けばいいんだろう……コンサルの世界の門でも叩けばいいのだろうか?有識者いらっしゃったらぜひ教えていただきたいところである。

ファクトとメンタルの話

「伝わる」ためにはファクトとメンタルを意識的に使い分けるのが大事、と言ったことが書いてあって、「それなーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」となっていました。

そう、諸兄皆様、私もわりとそのタイプなのですが、
女の子が「ねえねえひどいでしょ!!!!」みたいに言うのに対して正論返しちゃって「女心わかんないの!!?????」とか怒られちゃいがち
(一応言っておくとブーメラン額に受けどくどくと血を流しながら話をしています)だったりしません?私はわりとそのタイプなんですけど。
ちゃんと相手がメンタルの話をしているのかファクトの話をしているのかを見極め、メンタルの話をしているなら共感を示す、のが、モテるコツなのではないかと思います。私もかわいい女の子とデートに行きたいので頑張ります。頑張りましょうね……。

仕事のストレスが言語化されてすっきりした話

目的意識、という言葉はまあまあ繰り返されていました。この会話の目的は何か?伝わるべきことは何か?をきちんと吟味できなければ、そも、この本で書かれているどのテクニックを応用すればいいのかわからないだろう、と思います。
ここ一カ月くらいの仕事のストレスが、「目的の不透明さ」にあったと気づいて、正直、目からうろこでした。コミュ障の自覚があるので、コミュ力不足&苦手なコミュニケーションを強いられていることがストレスの原因だと思っていたんです。ただ、同書を読んでふと今抱えている仕事でのやり取りを思い返して、「目的を共有できていない!」と気づき、ストレスの根源はここだったのかと、しみじみとしていました。
具体的に言うなら、外部と交渉の際、目的や優先順位がわかっていれば、「○○を××までには無理です!」と言われた場合にも、「スペック落としていいので××には間に合わせてほしいです / ○○が欲しいので納期は××から遅れても大丈夫です」と答えられるのになあ、みたいな辛さ、でしょうか。
まあこれ目的や優先順位をわかっていた人が退職しているから、なので、なんか先日バズったツイートにありましたが、「退職するやつのことなんか気にしていない」ってそりゃあそうで、退職する人の抱えていた案件がどうなるかにしか興味ないんじゃないかなあ~~~~~~~~(退職前に引き継ぎちゃんとしてくれ~~~~~~~~~)みたいな話で本当に誰が悪いじゃないんですけどね、つらいですね。

ネガティブワードをポジティブワードに言い換え術とかあるけどさあ

はい。ネガティブな言葉もポジティブに言い換えると頑張ろうという気になるのは、まあ、わかる、わかるよ?失敗を課題発見、って言うとか、つまらないを工夫不足と表現してみるとか、それで救われたり何かに気づく人がいるのはまあ、そうなんでしょうけれども。

個人的にもにゃっているのは2要素あって、
ひとつめは、この言い換え、視点や主語の切り替えと言えるのだけれど、明らかに自分が悪くない状況で、自分が悪い、みたいに自分を責める一因になりかねないという危惧があります。もうちょっと言うと、極端な話、「お前が決めたことだろう」的な自己責任論になりかねず、少し、危険だなあ、と。……まあ、自己責任論まで行くことはめったに無いでしょうし、言い換えの力の強さもよくわかっているので、リスクをちゃんと知ったうえでやってほしいなァ~というのが個人的には思うところです。

二つ目は単純で、同調圧力を弱い衆の声、って言いかえる作者、個人的にはあまり共感できないな、というのがあります。弱い衆、ってむしろキツい言葉になってないか……?あと執着をこだわり、って言いかえるの好きじゃないです、執着は執着でいいじゃないですか?この言葉が包含するねっとり感、別に悪い物じゃなくない?もう本当に私最近フェチズムで殴ってくる作品じゃないと受け付けられなくなってきていて、フェチズムなんて執着の塊じゃないですか、それをネガティブって言われると泣いちゃう……みたいな個人的なこだわり?もあります。

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