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前職を辞めてからライターになるまでの長い長い道のり

この仕事を始めた最初の理由は、「お金」だ。

子どもの大学進学にお金がかかる中、少しでもお金を稼げればと思ったのだ。

もちろんお勤めの仕事にもトライしたが、あまりにもブランクが大きすぎて需要はゼロ。最後の手段として始めたライター業がたまたま自分に合っていたようだ。

おかげさまで、今はそこそこ稼げるようになり、当初の目的だった「お金の問題」は解決した。

しかし、お金だけをモチベーションにライターを続けるのは極めて難しい。いずれ必ず行き詰まる時が来る。

そう気づいた私は、お金以外の動機で仕事を続ける道を探した。その結果辿りついたのが、2つの動機だった。

そのひとつが、長い長いブランクを経て得られた仕事を「楽しい」と思う自分の気持ちだ。

約30年前、結婚退職に追い込まれた

専業主婦だった期間が非常に長かった私は、ずいぶん長い間家事育児に専念してきた。夫がそれを強く求めたからだ。

本来、私はまったく専業主婦向きではなく、外で働くのが好きだった。本当は可能な限り共働きを続けたかった。

しかし、当時勤めていた会社は結婚や出産で女性が辞めることが不文律となっており、辞めるしかなかったのだ。

だから、「夫を支えて家事育児を完璧に行うのがこれからの私の仕事」と何度も自分に言い聞かせながら仕事を辞め、家庭に入る大きな決断をした。

再就職にトライする度に邪魔が入った20余年

結婚後に入った社宅では「妻はパートでも就業禁止」という謎ルールがあった。そのため、家を買って社宅を出た時点で、既に10年のブランクが生じていた。

それでも何か始めようと思ってハローワークに通い始めた矢先に、今度は夫に海外転勤辞令発動。家を空けて妻子も行く事を命じられ、また再就職の機会を逃してしまった。

また、海外生活の疲れからか帰国後体調を大きく崩し、再就職どころではなくなった。

その結果さらにブランクが広がったのは言うまでもない。

これまでずっと1人で生活を支えてくれた夫には深い感謝しかない。しかし、大人しく家にいられない私にとって、これ以上専業主婦を続ける生活は苦痛でしかないと思い始めていた。

気がつけばアラフィフ。お勤めの仕事を諦めた末に辿りついたライター業

そうは言っても、ふと気づけば五十路目前。ただでさえ仕事がない地方都市で、ブランクが長すぎるアラフィフ女性の需要などあるはずもない。

それで心折れてしまった私はとりあえずお勤めを諦め、TV視聴モニターやミステリーショッパーなどで子どもへの仕送り資金や下宿先に行くための交通費を稼ぐことにした。

その延長で出会ったのがランサーズ。ひょんなことからライターとして記事を書いて欲しいという依頼をいただいた。

当時は子どもたちの大学進学と仕送りでカツカツだったので、異常に低い単価でもいいからお金が欲しかった。それで依頼を受けたら1年以上の継続依頼に。それで成り行きでライターを名乗ることになり今に至る。

お金以外の動機を探した末にライター業が「楽しい」と気づいた

ライターを名乗るようになってから4年。その間に子どもたちは全員自立し、特に私が働かなくてもよい状態になった。

子どもにお金がかからない今はある程度の蓄えができ、老後資金の心配も減りつつある。

しかし、私はお金に困らなくなったらライターを続けるモチベーションを失い、「この先どうする?」という状態に陥ってしまった。

とはいえ、せっかく継続案件が増えてある程度収入が得られるようになったのだから、どうせなら続けたい…とお金以外の動機を探した結果、あることに気づいた。

……20年以上のブランクを経てようやく得られた楽しい仕事を、今辞めるのもったいないわ。

それは、ライターの仕事を長年やってきた専業主婦よりよっぽど楽しいと感じる自分の正直な気持ちだった。

もはや、私にとってライター業は「お金を超える大きな楽しみ」になっていた。そして、それこそが仕事を続ける上で大きなモチベーションになると気づいたのだ。

その後もライター業=楽しいの構図は揺るがず、割の良い仕事と悪い仕事の区別もせず、時に寝食を忘れて没頭するのも苦にならず。

おかげで継続案件と単価が増えてモチベーションは全く落ちないまま。

20年以上もブランクがあったただのおばさんが4年もこんなレッドオーシャンで仕事をやってこられたのは、ただただ仕事が楽しいという気持ちに支えられてきたおかげだと思っている。

紆余曲折を経たからこそ実感できた「ライター業の楽しみ」

前職を辞めてすぐこの仕事を始めても、今ほどの楽しさは感じなかったかもしれない。選択肢が多いうちはどうしても贅沢になり、ちょっとの不満でやめていた可能性もある。

しかし、今の仕事は前職を辞めてから何度も再就職のチャンスを逃し、アラフィフで仕事の選択肢が極端に減った中で出会えた楽しい仕事だ。年齢的に他の選択肢が限られる中、これ以上自分に合った仕事は見つからないだろう。

つまり、再就職の苦労を知った今だから、ライター業を楽しめているということ。そう考えると、仕事にもご縁というものがあるのだなあ…としみじみ思うのだ。

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