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植物好きな両親と生きたころ

『らんまん』も、
あと何回だろうか。
福島の故郷を、思い出させてくれた物語だった。
海のものより、
山のもの。
そんな中で成長した幼いころ。

戦後に結婚した両親のもとで、
貧困ながらも、
伸び伸びと成長させてもらって。

もう何度となく書いている。
近所のおじさんたちは、
猟銃を片手に、
イノシシを獲ったり、
そんな時代だったのに。
父と言ったら、
花を育てて、
果樹の苗を取り寄せては植えて。
書物を読んで。
春になると、裏山に出る山菜を食して、
栗の木を植えて、
畑の周囲に植えたお茶を育てて。
浜から、
魚屋さんが持ってくる、
たくさんのサンマを、
バケツ一杯買って。

自分は、
今でも、
魚よりも野菜が好きなことを納得。
だけど、サンマは特別だった。
無理もないかなぁ?
湧き水の流れる沢には、
サワガニもいたが。
父も母も、
口にすることもなく。
ラズベリーを育てて、
桃を育てて。
自分の知っている桃は、
硬くて甘いカリっとした食感だった。

父は、
ヤマユリが大好きで。
裏山に、
せっせと移植して植えていたのを、
思い出す。
晩年、 
夜中になると、
イノシシが掘っては食べてしまって。
仕方ないと思いながらも、
嘆いていたこともあった。

そんな集落も、
現在では2軒ほどになってしまった。
何十年前だろうか。
国が、
土地を格安で売却する話があって。
ご近所の方は、
こぞって土地を購入していた。
我が家は、
将来を見越して諦めた。
しかし、
そうして買った土地も、家も。
住む方もなく、
家は朽ちて、
あの場所に集落があったことを、
思い出すこともなくなるのだろうか。

数年前に、
両親の墓地に植えたサクラの苗木。
数輪花をつけたらしい。
こうして、
墓じまいを済ませて。
帰省する機会も、
少なくなるけれど。
姉の植物好きも、
自分の球根好きも。
全部、
あの場所と両親の影響が大きい。
海沿いで育ったら、
きっと海の好きな自分になっていたはず。
素潜りをして、
貝や魚を獲ったりしていたのだろうか?
想像ができないけれど。
自然が好きで、
その延長で山が好きで。
そこに住む動物が好きで、
そして、
高山植物が好きなのも。
あの場所が、
育んでくれた心なら。
この先も、
持ち続けたいし、
季節の移ろいを感じながら、
そんな日々を過ごしたいから。

あの場所の林のカタクリたちも、
ひっそりと生き続けて。
早春になると、
咲いているであろう光景も、
自分には、贅沢な嬉しい思い出になる。

ありがとうございました。

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