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【知財塾】事業戦略提案ゼミの感想

こちらの記事は、実際に知財塾のゼミに参加された受講生に寄稿いただきました。ゼミへの参加を検討されている方の参考になれば幸いです。

☆2022年1月開講ゼミ、現在ゼミ生を募集中です!(22年1月4日申込期限)

1、はじめに

知財塾の事業戦略提案ゼミ第1期を受講した片山と申します。縁あって今回、本ゼミの感想記事を書かせてもらうことになりました。

私は普段、R&D系スタートアップ企業で知財・法務を担当しています。


社内の知財担当者は私と上司の2名ですが、上司から「こんなゼミがあるんだけど、もし興味あれば一緒に受けてみない?」と誘われたのが受講のきっかけでした。

私は当時、大手メーカーの知財部からスタートアップに転職したばかりで、「知財部員の少ないスタートアップで働くからには、特許の権利化以外も色々できるようにならないといけないんだろうな」
という気持ちで、誘われるままに受講を決めました。

 

2、ゼミの具体的な内容

ゼミの受講者(私が受講したときは6人)でコンサルティングチームを組んで、仮想の事例をもとに顧客へのプロジェクト提案(新たな事業戦略を考案してその実現のために伴走するプロジェクトについて、顧客に契約してもらうための企画提案)の模擬演習を行います。

ファシリテーターは三菱総研、デロイトトーマツを経て独立された、(株)テックコンシリエ 代表取締役の鈴木 健二郎先生です。
鈴木先生は、コンサルタントとして取り組んだ案件が300件を超えるというプロフェッショナルで、その指導を直接受けられるのは大きな魅力でした。

https://tech-consiglie.com/company.htmlより

ゼミでは2~3回の講義で1つの事例を扱い、それを複数事例で繰り返していきます。回を重ねるごとに、チーム内の連携もスムーズになり、ディスカッションの内容も深くなっていき、受講者全員の力がついてきているのが実感できるのが面白かったです。

各事例の演習は、以下のように進みました。

①演習説明

ファシリテーターから、演習内容の説明を受けるとともに、プロジェクト提案の進め方、顧客に刺さるアウトプットに求められること、チームとしての動き方、コンサルティングで重要な考え方のポイントなどのヒントを教わります。

実際にコンサルティングファームで行われている(つまり多くの仕事とお金の獲得の実績がある)進め方や考え方を学べるのはとても貴重です。

 

②ヒアリング

ファシリテータが顧客役として、受講者のコンサルチームに対して顧客企業における悩みを相談してきます。仮想事例ではありますが、その設定は非常に具体的かつ現実的です。

例えば、「惣菜業界のメーカーで、いままでスーパーなどに発注品を納める事業を行ってきた。ただ、これからの環境変化に適応できるように業務改革や新規事業に取り組みたいが、自社だけでは進め方がわからない」というような相談が来ます。

これに対してコンサルチームは、顧客からの相談内容を聞き、適切な質問を投げかけながら、プロジェクト提案に向けて顧客の現状と課題を把握していきます。このヒアリング段階で顧客からどんな情報を聞き出しておくかが非常に重要なのだと、演習を進めるにつれて身に染みてわかってきます。

複数回事例を繰り返すことで、ヒアリングの工夫や聞いておくべき情報の勘所が身につくので、ゼミ形式ならではの利点がありました。

 

③課題分析と戦略立案

ヒアリングで得た情報をもとに、チーム内で顧客の課題を分析し、顧客に提案するプロジェクトの内容を検討します。

「顧客はああ言っていたが本当の課題はこうなんじゃないか」とか、「この課題の解決の方向性を決めるためにはこういう情報が必要だよね」とか、「このポイントを強調すれば提案内容が顧客に刺さるんじゃないか」とか、色々な仮説を立てながら、ゼミ生でディスカッションします。

当然唯一の正解があるわけではないので、提案内容を固めるためのディスカッションは毎回白熱していました。決められた時間内に方向性を固め、役割分担をしながら提案のプレゼン資料を作成するのですが、いつもプレゼン資料の作成に残された時間が短かくなり、実務さながらの時間に追われる戦いを繰り広げていました。

 

④提案プレゼン

顧客役のファシリテーターに対し、チームで作成したプロジェクト提案内容をプレゼンします。演習を重ねて慣れてくると、単なる一方向のプレゼンテーションではなく、最初のヒアリング時には聞けなかったポイントの質問など挟みながら、より顧客に合った提案をできるようになっていきます。

提案内容に対して顧客からの質問も投げかけられるので、顧客にお金を払ってもらって契約を獲得できるように、真剣に回答していきます。

プレゼンのゴールは「顧客にコンサルティング提案を行い、それに対して正式発注をもらうこと」ですが、コンサルティング業務は単価が数百万~数千万であることが通常です。発注する側も、「そのプロジェクトにそれだけの費用を払う価値があるか?」と厳しい視点でチェックします。

プレゼンを通して顧客と信頼関係を構築し、いかにして「この提案をしてくれたチームに依頼したい」と思ってもらうか?、提案者側で深く考えていくのは、とても勉強になりました。

 

⑤フィードバック

プレゼンが終わった後は、ファシリテーターから演習全体について、良かった点や改善のためのポイントなどのフィードバックを受けます。

受講人数がそこまで多くない(私の参加ゼミは6名)のでなんでも質問することができ、例えば演習時に悩んだ部分について、「実際にファシリテーターが仕事でこのコンサルティング案件を担当するとしたらどうするか」のような、突っ込んだ内容も聞けたのはとても良かったです。 

 

3、受講して良かったこと

①本物のコンサルタントの生の知見を学べた!

コンサルティングのフレームワークや各種ツールについて書かれた書籍は本屋に行けばたくさん並んでいて、それを読めばある程度の知識を得ることはできます。ただ、どうしても一方通行の知識にはなってしまいます。

一方、本ゼミでは、実際にコンサルティングの第一線で活躍されているファシリテーターの具体的な経験に基づく生の知見を「双方向」で学ぶことができました。

ファシリテーターに自由に質問して答えてもらえたのも大きな魅力です。どういう顧客にはどういう話し方をすれば刺さりやすいとか、チームを組んでコンサルティングするときのポイントとか、ここには書けないコンサル業界の裏事情とか(笑)。そういう「生々しい」内容が学べる場は、他で探しても結構少ないんじゃないかと思います。

 

②仕事で戦略の話に口を出す自信がついた!

私は企業の知財担当者ですが、今までは「事業戦略を考えるのは事業のプロである事業部門の仕事。素人が下手に口出しして迷惑をかけるのは良くない」と一歩引いており、戦略はあくまで”聞き出すもの”でした。

一方、本ゼミを受講してプロのコンサルタントの考え方を学んだことで、「自分が戦略の内容に口出ししても、見当違いの大外れになることは少ないんじゃないか」という自信がつき、戦略は”一緒に考えるもの”という意識がつきました。

事務所勤務の方であっても、「急にクライアントから戦略レベルの大きな相談が来ても、とりあえずコメントできる」という自信がつくのはプラスだと思います。

 

③他の受講者と親しくなれた!

本ゼミは個人ワークの時間が少なく、講義時間のほとんどを受講者で組んだチーム内のディスカッションに費やします。そうしてたくさんコミュニケーションをとった結果、他の受講者とかなり親しくなれました。

受講者の一部は、ゼミ期間の終了後もプライベートで一緒に会ったりもしています。先日はチャリで一緒に霞ケ浦一周にチャレンジした仲間たちもいます。

ずっと企業知財部にいて社外とのつながりが少なかった私にとっては、コミュニティを広げるためのとても良い機会になりました。

また、私が受講したときは、受講者に事務所勤務、企業勤務、事務所経営者など色々なバックグラウンドの方々がいて、ディスカッションの中でそれぞれの考え方を知れたのもとても興味深かったです。

 

4、事業戦略提案ゼミは、こんな人にオススメ!

実際にゼミを受講した上で、私が特にオススメしたいのは以下3種類のいずれかに該当する人です。

① 現在、企業知財部で働いている人

企業知財部には、個別の知財権利化業務をただこなすだけでなく、自社の事業の戦略に沿った仕事が求められますよね。ただ、大企業で働いていたとしても、知財部員が事業戦略の考え方について学ぶ機会はなかなかないと思います。

本ゼミでは顧客の事業戦略を考えて提案する模擬体験ができるため、「事業戦略ってこうやって考えるんだ」というのがざっくり理解できるようになります。

このゼミで身に着けた知識と経験を活かして、自社の事業部門に対して知財側の観点から事業戦略を提案できるようになれば素晴らしいと思います。
もし社内体制的にそこまで出しゃばるのが無理だったとしても、事業部門が立てた事業戦略に対する理解度は深まるため、今までより「視座の高い仕事」ができるようになるでしょう。

 

② 将来、弁理士としての独立も視野に入れている人

国内の特許出願数が減少傾向にある中、今後弁理士として独立して仕事をとっていくためには、良い明細書が書けるというだけでは厳しいと思います。

実際、巷では「これからの弁理士は知財コンサルティングができないとダメだ」という言説をよく目するようになり、弁理士会の研修でも知財コンサルティングに関するものが増えてきています。

本ゼミで学べる内容は、世にいう「知財コンサルティング」よりはもう少し広い(知財観点に縛られない)コンサルティングだというのが個人的な印象ですが、顧客の相談に乗るためのスキルが向上することは間違いないと思います。また、本ゼミで学べる事業戦略の考え方は、事務所経営など自社の事業の戦略を考えるヒントにもなると思います。

 

③ 他人と「差別化できる」武器を身に付けたい人

企業勤務であっても事務所勤務であっても、知財業界で活躍していくためには何かしら他人とは異なる希少なスキルを持っていることが大きな武器になると思います。上述したように知財コンサルティングは最近流行り始めてはいますが、まだそのスキルを十分に持っている人材は多くはない印象です。

本ゼミを受講しただけで一人前のコンサルタントになれるわけではないですが、本ゼミで事業戦略提案の基本的な考え方や進め方を学び、その方向で勉強や経験を積んでいけば、市場で求められる人材になれる可能性はかなり高まると思います。

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なお、上に挙げたものに該当しない人であっても、事業戦略やコンサルティングに興味のある方には広くお勧めできる内容でした。

 

5、まとめ

色々と書きましたが、知財×コンサルティングの基礎スキルも身に付きますし、演習自体も面白いので、少しでも興味がある方は思い切って受講してみるのをオススメします!

特に新しいことを学ぶのが好きな方はぜひ!

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片山さん、ゼミの感想、ありがとうございました。
 

事業戦略ゼミ2022年1月開講の講座情報はこちらです。2022/1/4(火)までゼミ生を募集しておりますので、「面白そう」と感じた方は是非チェックしてみてください!



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