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北野天満宮での巫女さんのアルバイト その2

引き続き北野天満宮での巫女さんのアルバイトのお話をしましょう。


季節は進み、お正月になりました。初めての神社でのアルバイトです。お正月といえば家にいるものと思っていましたが、神社でのアルバイト、それも北野天満宮、それなら行っておいでと親も言ってくれて、いつもなら家にいるはずのお正月にひとりで出かけるということになんだか少しオトナになったような気分がしたのを覚えています。


ところが、朝7時からのお仕事に向けて、元日の朝に市バスがちょうどいい時間に来るはずもなく……。そもそも年末年始は祝日ダイヤで本数も少ないというのに予めバスの時刻表を確認することもせず、多分バスが来るだろうという甘いヨミでバス停に行き、バスがなかなか来ない、というあたり前のことに気づきました。表通りから少し入ったところにある家まで戻って親に送って欲しいなんて頼んでいる時間はありません。《アルバイトに行くのにタクシー……。働く前にバイト代が既に飛んでいる……。なんなの〜コレ》と自分で自分を笑いつつ、遅刻するわけにもいかないしと思いタクシーを探しました。ありがたいことに運良くタクシーが通りがかり、遅刻せずに行くことができました。


大晦日は夜通しお参りに来られる方がおられるとはいえ、元日の朝、6時半ごろはさすがに静かです。空気はピンと張り詰めたようで、寒いというよりは冷たい、という言葉が合うようなそんな感じでした。


まだその頃はユニクロのヒートテックなんて便利で優秀なものはなかったので、寒さの厳しい真冬の京都、なんとか防寒しなくちゃ、でセーターにタイツにスパッツに……と着膨れしてころころになっていました。


当時、巫女さんは担当の持ち場と担当時間が決まっていて、いわゆるシフト制でした。持ち場は年末年始にだけ設営される臨時の御守り授与所、御祈祷受付、おみくじ、社務所のなかのどれか、という具合でした。


何年かお世話になったので、すべての持ち場を担当させて頂きましたが、なかでも一番寒さが堪えたのはおみくじでした。その頃、おみくじは白いテントを張った仮設の所で、下は地面。ヒーターと足温器を置いてくださっていましたが、ほとんど外ですから寒いなんてものじゃありません。


一番混雑していたのは特設のお守り授与所でした。当時は2日の午後が一番混んでいたのですが、ご家族連れ、御友人と、あるいは学校や塾の先生と思わしき方が生徒さんの人数分、大量の学業御守りをと来られたり。奥では次から次へと箱が空いていった光景が目に焼きついています。


仕事が終わると私服に着替えて帰るわけですが、参道にはたくさんの露店が並んでいました。帰ったら家族とお正月……なのですが、もうお腹ぺこぺこ、限界……で甘い匂いに引き寄せられ、ベビーカステラを友人と頬張っていたのが懐かしいです。当時は日給で毎日お給金を頂いていましたが、朝のタクシー代の補填に始まり、帰り道におやつを買い求め……で家に帰るまでに既にアルバイト代が減っていたのもいい思い出です。


いまも神社にお参りするとこの時のことを思い出しますし、とりわけ北野天満宮は思い入れのある場所となりました。貴重な経験をさせて頂いたこと、改めて感謝しきりです。


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