『歌壇』2023年2月号
①青空を背にして破壊さるるとき橋はなにゆゑ生々しきか 栗木京子 戦争のドキュメンタリーなどで橋の破壊の場面を意外に多く見ていることにこの歌で気付いた。むしろ戦争の一つの象徴かも知れない。あちらとこちらを繋ぐものが青空を背景に壊される。人間の生活の歴史を纏いながら。
②採算と命の値段のくらき溝 鶏の治療はついぞ習わず 久永草太 鶏インフルエンザのニュースの度に何万羽もの鶏を「処分」と聞く。その理由は、鶏を治療していては採算が合わない、「処分」するしかない、ということなのだろう