川本千栄

「塔」編集委員。短歌と短歌評論。第20回現代短歌評論賞受賞。歌集『青い猫』(第32回現…

川本千栄

「塔」編集委員。短歌と短歌評論。第20回現代短歌評論賞受賞。歌集『青い猫』(第32回現代歌人集会賞)『日ざかり』『樹雨降る』。評論集『深層との対話』。他『D・arts』。第四歌集『森へ行った日』ながらみ書房出版賞・日本歌人クラブ近畿ブロック優良歌集賞。第二評論集『キマイラ文語』。

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  • 再録・青磁社週刊時評

    青磁社のHPで2008年から2年間、川本千栄・松村由利子・広坂早苗の3人で週刊時評を担当しました。その時の川本が書いた分を公開しています。

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    短歌総合誌『短歌往来』を読んで、好きな歌の一首評をしたり、気になった記事の感想を書いたりしています。

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共同研究による短歌史再考(前半)【再録・青磁社週刊時評第七十八回2010.1.12.】

共同研究による短歌史再考(前半)        川本千栄 (青磁社のHPで2008年から2年間、川本千栄・松村由利子・広坂早苗の3人で週刊時評を担当しました。その時の川本が書いた分を公開しています。)  あけましておめでとうございます。2010年の年が明けた。去年まではゼロ年代という言い方がよくされたが、それで言うと、今年から10年代が始まった。何でもかんでも年代で切って考えるのは良くないとは思うのだが、文化は時代の影響を受けずにはいられないものだ。10年ごとの区切りとい

    • 角川『短歌』4月号にて(過去ログ)

      (過去ログ)現在発売中の角川『短歌』4月号「歌壇掲示板」「イベント報告」に「『キマイラ文語』を読む会」について掲載いただきました。感謝です!皆様ぜひお読み下さい。この会でパネリストの発言のみならず会場発言からも多くの示唆をいただきました。それについても論としてまとめたいです。 2024.3.25. Twitterより編集再掲

      • 図書館での掲示

         職場の図書館に掲示してもらっている今週の一首。8年間勤めた職場を去ることになり、これが最終回かと思えば何と!「メールで送ってほしい」と言っていただきました。新しい職場と合わせて、新年度からは2校に掲示されます。 2024.3.22. Twitterより編集再掲

        • 『短歌研究』4月号にて(過去ログ)

          (過去ログ)現在発売中の『短歌研究』4月号にて後藤由紀恵『遠く呼ぶ声』の書評を書きました。ぜひお読み下さい。 また同4月号「短歌時評」にて川島結佳子様が『現代短歌』3月号の川本千栄のエッセイに触れて下さいました。川島様ありがとうございます!うれしいです。皆様ぜひお読み下さい。 2024.3.21. Twitterより編集再掲

        共同研究による短歌史再考(前半)【再録・青磁社週刊時評第七十八回2010.1.12.】

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          『短歌往来』4月号にて(過去ログ)

          (過去ログ)現在発売中の『短歌往来』4月号「今月の視点」を寄稿いたしました。タイトルは「新人賞その後」です。皆様ぜひお読み下さい! 2024.3.20. Twitterより編集再掲

          『短歌往来』4月号にて(過去ログ)

          『短歌往来』2024年3月号

          ①たてよこにのびもちぢみもせぬキスは投げらるるときキッスとなりぬ 都築直子 上句は具体としてのキス。下句は言語としてのキス。確かに投げキッスであって投げキスではない。そう言われた途端、投げられたキスがビヨーンと伸びてこちらへ届いたような気がする。 ②椿または山茶花といふ結果なりそれならと「見分け方」を検索 田村元 Googleレンズで花の名を調べている主体。あるあるな結果が導き出された。その違いを聞いているというのに。使ったことのある人なら、このイラっとする感じが分かるはず

          『短歌往来』2024年3月号

          『現代短歌』2024年3月号

          ①「新人類は今」特集にエッセイ+10首で参加いたしました。 隠された川があるから踊るひと放たれていく爪の先から  川本千栄 〈「川本さんはまさに新人類って感じだね」と年上の同僚から言われたことがある(…)〉 ②井辻朱美「ファンタジーと歌舞伎」 〈ファンタジーはいつのまにか想像から体験となっている。(…)物語は歌舞伎仕様に脱皮した。(…)そうなると、歌舞伎に縁がなかった若い観客も牽引されてくる。歌舞伎の持つ異様さ、荒唐無稽、誇張された舞踊やしぐさは、いまや新しい暴力的な様式で

          『現代短歌』2024年3月号

          〔公開記事〕濱田美枝子『女人短歌』(書肆侃侃房)

          時代をはね返す炎  一九四九年から一九九七年まで四八年間に亘って女性たちの手で運営された季刊歌誌『女人短歌』について考察した論。本書は戦後の短歌史を考える上で、欠かせない資料的価値を持つ重要な一冊になると思われる。今まで語られて来た戦後短歌史にはこの『女人短歌』に対する言及が驚くほど少なかったのではないか。本書はそうした傾向に一石を投じる役割を果たすものとなるだろう。  まず著者は、『女人短歌』が生まれる土台になった戦時下及び戦後すぐの時代状況を分析し、創刊への道のりを丁寧

          〔公開記事〕濱田美枝子『女人短歌』(書肆侃侃房)

          『塔』事務所3月開所日(過去ログ)

          (過去ログ)明日3月14日(木)は定例の「塔」京都事務所開所日です。ぜひ遊びに来て下さい。歌集の貸し出し再開します!!ここで色々借りて読んで、お気に入りを見つけてくださいねー。 2024.3.13. Twitterより編集再掲 (過去ログ)「塔」事務所定例開所日でした。またまたきれいにブックカバーを掛けていただきましたよー。白が強めの本は特にカバー必要…!これで安心して読めますね。来月は私もカバー掛けに挑戦する(つもり)! 2024.3.14. Twitterより編集再掲

          『塔』事務所3月開所日(過去ログ)

          『塔』2024年2月号(3)

          ⑯中本久美子「私の先生」 〈「なんで辞退するんだ。君に入れた後輩の気持ちはどうなるんだ。」と。「私なんかとてもとても」と言うと「どうして自分のことをなんかって言うんだ?失礼だろ。自分に対しても。」〉  著者が部長を辞退すると言った時の先生の反応。とても響く文。 〈音符と音を一致させていく。楽器の音が読めるようになる。表情を読む。(…)指揮する時自分は何を感じ、どう表したいかを持つことだと。音は自分の中で映像になる。〉  ここも良かった。著者は吹奏楽部の部長になり、指揮を先生か

          『塔』2024年2月号(3)

          『塔』2024年2月号(2)

          ⑦強い気持ちはいらない炎(も)える葉鶏頭ゆふぐれるまでここにゐさせて 田中律子 いらない、と言いながら、葉鶏頭の持つイメージを増幅させる「炎える」という形容詞。それだけで十分強い。強い葉鶏頭に対して縋るような思いがあるのだろう。そっと傍にいるのだ。 ⑧親よりも長く夫と暮らしきて時々この人を産んだ気がする 石井久美子 親と暮らしていた期間は案外短い。例えば大学で下宿してそのまま就職したら18年しか親と暮らしていない。それに比べて長い伴侶との生活。下句はもう何もかも知っているよ

          『塔』2024年2月号(2)

          『塔』2024年2月号(1)

          ①いそいそとトムのうんちを袋に詰め永田先生たのしき日課 永田和宏 あ、、、言っちゃった。自分で自分のことを。方代さんや万智ちゃんの列に…。しかも歌の素材が「猫のう○ち」。でもこれ同じ音数でも「永田和宏」じゃ全然だめで、「永田先生」だからキャラ立ちする。  実物を見ましたが、確かにこのトムは可愛いやつです。犬猫嫌いの私が言うんだから間違い無い。でも歌の中の永田先生がどうにも可愛い。「いそいそと」「う〇ち」「たのしき」などどれも完璧に「永田先生」のキャラを浮き上がらせてくれる。分

          『塔』2024年2月号(1)

          『うた新聞』2024年2月号

          ①大辻隆弘「自己志向的な「の」」 『まひる野』1月号の北山あさひの時評から終助詞の「の」について考察した文。北山が「の」に「困難に立ち向かおうとする女性の意思」を読み取ることに同意し、なぜ「の」にそうした働きがあるかは、自己志向的だからと分析する。  〈三枝令子は「話し言葉における文末『の』の機能」のなかで、文末の「の」の起源を、以下のような格助詞「の」の準体言用法のなかに見出している。〉 〈文末の「の」は、このような準体言の「の」の進化形である。〉  体言化、か。だから状況

          『うた新聞』2024年2月号

          歌集批評会に思う(後半)【再録・青磁社週刊時評第七十五回2009.12.14.】

          歌集批評会に思う(後半)        川本千栄  基本的には指名されて発言していたのだが、度々反論や疑義が提出され、自由に意見が交換された。会場の活発な議論に触発されてか、オブザーバーの岡井隆も、一章を使って歌われている「寡婦」の表すものは何か、と論点を提示してきた。  これら全ては大いに知的好奇心を刺激してくれた。こうした議論が引き起こされるのは中島の短歌が良くも悪くも多くの論点を含んでいるからだろう。また、自由闊達な雰囲気で議論が行われ、好きな時に発言できる少人数の環

          歌集批評会に思う(後半)【再録・青磁社週刊時評第七十五回2009.12.14.】

          歌集批評会に思う(前半)【再録・青磁社週刊時評第七十五回2009.12.14.】

          歌集批評会に思う(前半)          川本千栄 (青磁社のHPで2008年から2年間、川本千栄・松村由利子・広坂早苗の3人で週刊時評を担当しました。その時の川本が書いた分を公開しています。)*所属結社等はこの記事を書いた時点でのものです。  12月5日、「未来」の中島裕介の第一歌集『Starving Stargazer』読書会に参加した。中島は個性的な文体を持つ作者で、以前に一度、この週刊時評でも取り上げたことがある。 ベツレヘムに導かれても東方で妻らは餓え

          歌集批評会に思う(前半)【再録・青磁社週刊時評第七十五回2009.12.14.】

          『現代短歌新聞』2024年2月号

          ①前田康子「俵万智『アボカドの種』評」 〈老いた両親との生活を詠んだ一連は、意識が言葉よりも対象へ深く向いている。ここにはわかりやすさや代弁よりも、両親の老いとともに変わっていく生活への手探りの表現がある。〉  とても納得。これに続く結語も良かった。 ②小塩卓哉「文語と現代仮名遣い」 〈中世以降は「ハヒフヘホ」の音は語の中で「ワイウエオ」と発音されるようになりました。〉  発音と表記の問題、時代と結びつけて覚えたい。 〈寺山より先行する世代は、歴史的仮名遣いで教育を受けてき

          『現代短歌新聞』2024年2月号