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短歌総合誌『現代短歌』感想文

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短歌総合誌『現代短歌』を読んで、好きな歌の一首評をしたり、気になった記事の感想を書いたりしています。
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記事一覧

『現代短歌』2024年3月号

①「新人類は今」特集にエッセイ+10首で参加いたしました。 隠された川があるから踊るひと放…

川本千栄
2週間前
6

『現代短歌』2024年1月号

①胡蝶蘭枝垂るるや秋の温室に 腎臓は人の身体にふたつ 上川涼子 胡蝶蘭の全体の姿は枝垂れ…

川本千栄
2か月前
8

『現代短歌』2023年11月号

①いずれみなアクリルスタンドになってゆくんだ貴方の推しも貴方も 吉田恭大 フィギュアのよ…

川本千栄
5か月前
9

『現代短歌』2023年9月号

①特集『寺山修司没後40年』なみの亜子「時空を超えて」 〈ここまで書いてきて、私は歌の読み…

川本千栄
7か月前
3

『現代短歌』2023年7月号

①受け皿にこぼれるほどの水を与え、水は捨てたり教育のように 大松達知 前の歌ではドラセナ…

川本千栄
10か月前
4

『現代短歌』2023年5月号

①起伏なき日々を過ごせり街路樹の下の小鳥が骨になるまで 北辻一展 上句と下句の落差が凄い…

川本千栄
1年前
6

『現代短歌』2023年3月号

①ウクライナ支援は施(ほどこ)しなどでなく投資なのだ、と叫(おら)べるこゑす 大辻隆弘 施しなら払うだけだが、投資なら利益が還元される、だから支援しようということか。施しも投資も身震いするほど嫌な考え方だ。叫ぶをおらぶと読ませる作者もそう思ったのだろう。 ②火の中にみるみる燃ゆる藁ありて地面に落つるまへに燃え果つ 大辻隆弘 燃える火の中に藁を放り込んだら、あっと言う間に燃え尽きる。地面に落ちる前に形も無くなってしまう。実際の藁の描写かも知れないが、何かの喩にも読める。圧倒的

『現代短歌』2023年1月号

①「第十回現代短歌社賞選考座談会」本号の半分位を占めるページ数でびっくりしたが、読み始め…

川本千栄
1年前
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『現代短歌』2022年11月号(2)

⑤カブトムシ(オス)を虫籠に入れる子とすれ違いたり得意げなりき 永田淳 自分で捕まえたの…

川本千栄
1年前
8

『現代短歌』2022年11月号(1)

①堀静香「『青い舌』書評」 「わたしがきみの傷となるかもしれぬ日を思って胸を叩いて寝かす…

川本千栄
1年前
2

『現代短歌』9月号

①雨は楽器さうだつたのに雪となり あ でもあなたも楽器だ、とても静かな 藪内亮輔 六・七・…

川本千栄
1年前
7

『現代短歌』2022年7月号

 この号の特集は「沖縄復帰50年」。とても読み応えがあり、夢中で読み耽ってしまった。何か…

川本千栄
1年前
3

『現代短歌』2022年5月号

①動詞とはいづれも性的意味を持つ たしか吉本隆明の言 今野寿美 上句の内容に惹きつけられ…

川本千栄
1年前
9

『現代短歌』2022年3月号

①特集「永田和宏の現在」とても充実した内容だった。あまりにも多くの歌集、そして歌人が短期間に消費される危険にさらされている現在において、こうした特集は大きな意味を持つだろう。コマーシャリズムに流されない短歌の捉え方がここにはあるのだ。 ②「永田和宏の現在」瀬戸夏子〈順に永田の歌集を再読していくと、何かが足りないという感覚がどんどん強くなっていく。(…)永田和宏を永田和宏たらしめる、歌人としての決定的なテーマとは「伴侶である河野裕子の死」だ。〉これは賛成できない。  河野の死