2021年11月19日の朝日新聞より

映画のリアル追い続け

 (石飛徳樹)濱口竜介監督と万田邦敏監督の対談。〈2人の作品を見ると、映画には、いわゆる自然さやリアリティーがかえって邪魔なようにも思えてくる。〉
万田「(…)映画に日常感が入り込むのが嫌なんです。(…)普段の生活では絶対に口に出さない言葉を言わせてみたい。思っていても相手にぶつけないことで、社会生活を送っているわけです。それを言ってみたらどうなるか、映画ではその先を見せたい。すると日常から離れていく」
濱口「(…)演じ手に即興演技をさせると絶対にためらいが出る。それがリアリティーです。『でも、そのリアリティー、面白いですか』と」

 どの分野でも「表現」の問題には通じるところがある。映画に、あるいは短歌にすることで、もう絶対に自然なものではないわけだから。でもリアリティは善と思ってて、それが面白いかどうか問われるなんて考えても見なかったわ。

2021.11.20.Twitterより編集再掲