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父ありき

小津映画はいつも死の影が漂っている。
軍国主義の影をひきずりながらも、素朴な夢を追い続ける親子の姿を描く。淡々とした日々を、並外れた緊張感で描く力作。

中学の数学教師である笠智衆は、自分の不注意から、修学旅行で生徒の1人を死なせてしまう。彼は、責任をとって教職を退職する。
笠智衆が責任を感じて思い詰める顔っていうのは初めて見た。
見たことのない笠智衆が詰まっている。

人生の厳しさを描き、歯を食いしばりながらそれを肯定する。
小津映画のよさというのは、その点にある。

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