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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

マリが歌いながらエヴァを操縦するシーンや、戦闘シーンで流れる少年合唱団みたいな歌声は個人的には違和感を覚えるが、そういう演出なのだと受け入れるとする。戦闘シーンの演出はさすがにうまい。とくに、人間のリミッターが外れて突撃していくような空気を作るのはある種の爽快感すら感じさせる。

エヴァの派手な色使いや極端な感情表現を観ていると、これも一種の超常刺激なんだろうなと思う。超常刺激は避けるべきものとされているが、すぐれたイマジネーションは、そういった超常刺激とされるコンテンツの中に多く存在する。また、神秘さや不思議さに目をみはる感性とされる「センス・オブ・ワンダー」が刺激される。超常刺激とセンス・オブ・ワンダーは重なる部分もあるのかもしれない。このあたりの感覚は小島秀夫の作るゲームにも似たようなものがあるのかもしれない。小生はプレイしたことがないが。

メインのキャラクターは本作で出揃う。
マリ、アスカ、カジ。ところでエヴァの登場人物に海にまつわる名前が多いのはなぜだろう。

冒頭、マリが出てくるが、どこのなにものなのかは明かされない。コミュニケーションの言語で日本語をチョイスするところから、日本人のようだ。シンジについても知っている。しかし、シンジはマリを知らない。マリは他人をはねつけるタイプではないが、最後に2号機で戦うときには外部とのコンタクトをシャットアウトするところから、他のエヴァパイロットと同じく他人との関係性を拒む傾向にあるかと。

エヴァパイロットについていえば、それぞれの個性があるが、他者との関係を拒むところに特徴がある。それが徐々に打ち解けていく過程に、本作での成長物語としての一面が見受けられるし、テーマを表してもいる。

本作前半では、シンジがエヴァパイロットとしての生き方を受け入れた状態が描かれる。物語の構造としては、ミッションを果たして、次に、「父親の世界」を体験するという展開になる。本作における父親の世界がどういったものなのかははっきりとは説明されないが、ヒントが断面的に散りばめられる。

月で建造されているエヴァ六号機。そこにいる渚カヲル。その存在に気づいた冬月が「人間か?」とつぶやくところをみると、彼はカヲルを知らないのかもしれない。ただ、カヲルはおそらくゲンドウに気づき、「お父さん」と呼びかける。彼も綾波と同じ存在で、原型はユイなのだろうか。つまりシンジにとっては、母親であり、兄弟でもある存在ということか。

世界各国でエヴァが建造されているという説明があるが、パイロットは他にもいるのかは説明されない。また、月で建造中のエヴァ六号機はゼーレが作っているようだ。見た目はリリスのように見える。作り方が違う、というセリフがあって、六号機が特殊なものであることが示される。ちなみにゼーレのマークは知恵の実だった。「序」で「人類は知恵の実を、シトは生命の実を食べた」という言葉の、知恵の実とはゼーレのことだろうか。

途中、エヴァ三号機の実験で、アスカを乗せた三号機がシトに乗っ取られる。シンジは出動したものの、敵のシトがアスカをのせたエヴァであることを知って戦意を喪失する。ゲンドウの命令で、初号機はダミープラグで戦闘を継続、三号機を倒す。その経験にショックをうけて、シンジはネルフを離れる。

最後に第十のシトが出てきて、綾波を捕食する。キリスト教で考えるとシトはあと2体ということになる。マリが戦うが、歯が立たない。初号機をダミープラグで作動させようとするが、起動しない。ダミープラグは異物であり、初号機の胎内にはいれるのは、ユイの子どもであるシンジだけということなのだろう。
逃げていたシンジがゲンドウのもとに戻り、エヴァにのる。ここで父親の世界を受け入れたことになる。

初号機は苦戦するが、やがて変形し、シトを倒す。初号機が変形する理由をリツコが説明するが、なにを言っているのか理解できなかった。おそらくは、シンジが綾波を救出したいという感情にエヴァであるユイが共鳴したのだろう。ゲンドウはそのことを知っていて仕掛けた、と匂わせる展開になる。すると、シトを第三東京市に呼んでいたのは、ゲンドウだったのか。つまり、サードインパクトを起こすためにシトは呼ばれていたのだろうか。

そして、そのままサードインパクトがはじまる。エヴァはデビルマンそっくりになる。しかし、月からやってきたエヴァ六号機が投げたヤリによって、エヴァは停止する。サードインパクトは中止だろうか。カヲルはシンジに向かって「きみだけは助ける」という。この言葉の意味はなんだろう。

今回の疑問点
シン・エヴァではアスカは食事をできない設定になっていたが、破の段階では食べていた。Qでそのあたりの変化が起きるのだろうか。

心象風景のように出てくる電車内のシーンはなんだろうか。

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