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雪の結晶、舞台設定、弱い組織…コミュニティを捉え直す言葉と視点

コミュニティマネージャーの学校『BUFF』を運営する株式会社qutori代表の加藤翼さんをお迎えしてPodcastでインタビューさせていただきました。この記事はその書き起こしです。コミュニティ運営のヒントがつまったインタビューをぜひご覧ください!




AIによるインタビュー内容まとめ

加藤さんは、コミュニティに対して自然界のアナロジーを用いて捉えていることが印象的でした。雪の結晶のように、シンプルなルールを反復することで複雑で美しい構造が生まれるというのは興味深い視点です。物事を俯瞰して見る力とともに、細部に宿るパターンを見出す観察眼が加藤さんの特徴だと感じました。

また、コミュニティにおいて「舞台設定」と「役割」の重要性を指摘されていたのが印象に残りました。それによってコミュニケーションがスムーズになり、参加者のモチベーションも上がるというのは腑に落ちる話でした。

コミュニティを「弱い組織」とも表現していて、それゆえに多様性を許容し、メンバー同士が助け合える強さがあるという逆説的な見方も示唆に富んでいますね。

コミュニティマネージャーの学校「BUFF」を47都道府県に展開したいという展望も素敵で、ローカルの課題解決に取り組むコミュニティマネージャーが各地で生まれることを楽しみにしています。

加藤さんの視点と活動からコミュニティの本質とそれを育むためのヒントが数多く得られるインタビューでした。

generated by Claude3 Opus (an AI language model developed by Anthropic)


左:加藤翼さん 右:黒田悠介


AIによるインタビュー書き起こし

黒田悠介(以下、黒田):今回は株式会社qutori代表の加藤翼さんにお越しいただいております。よろしくお願いします。

加藤翼(以下、加藤):はい、加藤です。よろしくお願いします。

黒田:加藤さんとの最初のご縁はおそらくQWS(渋谷にあるイノベーションハブ)かなと思います。

加藤:そうですね、最初の初めましてはQWSな気がします。

黒田:加藤さんのことをQWSの人と認識していたら、実は株式会社ロフトワークの人で100BANCHも手掛けていらっしゃったり。かと思いきや、別の場でBUFFというコミュニティマネージャーの学校の話を聞くことがあり、これも加藤さんがやってるのかと。

さらに株式会社qutoriも経営していて企業とポップアップ的な場作りもしているし、カフェアンドギャラリーもやっているし、もう何者なのかよくわからないというのが今の現状です。

たくさんの活動のなかから今回はコミュニティやコミュニティマネージャーにまつわるお話を伺えればと思います。よろしければ、最近はご自身のことをどのようにご紹介されているのか聞かせてください。

加藤:自己紹介が苦手なんですよね。改めて加藤翼です。基本的にはコミュニティというところは一貫しています。僕が元々コミュニティに興味を持ったのも、ずっと好奇心で生きていて、世界を知りたいと思った時に、一番いろんな自分の知らない世界の人と出会える接点としてコミュニティがあったから。それを作っていたら、気づいたらコミュニティマネージャーと呼ばれるようになって。

QWSという会員制共創施設をコミュニティディレクターとして立ち上げから関わっています。並行して自分の会社をやっていて、その事業の1つとしてBUFFというコミュニティマネージャー学校を立ち上げました。今後、いろんな業界や現場、世界において、コミュニティマネージャーの必要性が高まってくると思っています。特に人工知能の発展や人手不足の中で、いろんな人たちの力を借りないと、自分たちの生活を維持したり、誰かの幸せを守っていくのが難しくなる。だからコミュニティの存在を広げられたらと思って日々活動しています。

黒田:色々と聞きたいことだらけですが、気になる方は加藤さんのインタビュー記事もあるので調べていただけたらと思います。今日は普段語らないことも聞けたら嬉しいです。聞いてみたいのは、コミュニティや場を作るときに、加藤さんは何を見ているのか、何が見えているのかというところです。色々な場を見ていると、人と違う解像度で場が見えたりするんじゃないかなと思っています。加藤さんが場やコミュニティに向き合う時に、他の人にはなかなか見えていないけれど、自分には見えているものってありますか?

加藤:そんな僕にしか見えてない目線があるかどうかは怪しいんですけど、昔からパズルを解くのが得意なんですね。コミュニティはめちゃくちゃ複雑系で、いろんな人たちの行為が他の人の行為に繋がったりします。QWSでも日々問いを立ててもらっていて、いろんな行動やコミュニケーションの積み重ねで価値が生まれてきます。

そこに対してどういうパスがあるのかを結構見つけたり整理したりするのが得意です。どのパスが優先度が高いのかというクリティカルパスを見つけるのも。各業務や各会員がどう関係しているかを図示すると、意外とみんな見えていなかったりします。

黒田:なるほど。私もコミュニティを複雑系だと捉えていて、生物と同じぐらい複雑だと思っています。臓器があったり、神経系があったり、各細胞がある中で、それが複雑に協調しながら1つの生命体になっているのと、コミュニティのメンバー同士のコラボレーションやコミュニケーションを通じて1つのコミュニティが成立しているのはアナロジーだと思っています。

クリティカルパスがどこにあるのかは私もすごく考えるのは好きなんですけど、そんなに簡単には見えないというか、結構どっぷり入り込まないと見えないケースも多いと思います。ヒアリングに時間を使うと見えてくるのでしょうか? それとも、実際にそのコミュニティに足を運んだりすることで見えてくるものもあるんでしょうか?

加藤:僕、元々あまり人間に興味がなくて、高校生の時は生態系や自然に興味があり、自然保護をやりたいと思っていました。虫取りが得意で、擬態しているナナフシとかを見つけるのが昔から得意でした。

この前もある会社のオフィスで、社員同士があまり交流していないと言われていました。でも食堂はあって、みんなお昼は食べに行くそうです。そこでずっと観察していると、その会社は、みんなご飯を食べると歯を磨く文化があることがわかりました。その後コーヒーを取りに来るんですが、みんな30分ぐらいで食べて帰ってしまう。普通だったら、コーヒー飲みながらだらだら喋っていると思うのに、皆さん早く帰って、また仕事に戻る。

そういうのを観察していると、おそらくここの社員さんたちの認識としては、オフィスをリニューアルして、コミュニティスペースとして使いたいとマネジメント層は思っていても、社員は昔から食堂はご飯を食べる場所だと思っている。だからそこに居座らないし、静かにご飯を食べて帰る。そこの認知の作り方や、社員の意味の解釈のデザインを変えていかないと、コミュニティスペースとして機能しませんよ、みたいな話が観察から見えてきました。

黒田:なるほど。そういう人の生態学的な動き方や、こういう環境において人はこう動くみたいなところを見ているのが、加藤さんの独自性なのかもしれませんね。人間一人一人にフォーカスするというよりは、人の集団をどう眺めているのかというところに特徴がありそうです。

そういうジャーニーを生み出すというか、そこにいるコミュニティのメンバーの認知というのは、どうしたら変えたり最適なものにしていけるんでしょうか? コミュニティマネージャーが1人1人コミュニケーション取るケースもよくあると思うんですが、それ以外の方法もあるんでしょうか?加藤さんが取りやすい、あるいはいいなと思っている認知やジャーニーの作り変え方はどういったアプローチでなされるんですか?

加藤:僕あまり1対1で喋るのが得意じゃないんです。恥ずかしいんですよね。ずっとBUFFでもフラクタル図形の話をするんです。雪の結晶がどうできるかというのと、コミュニティはメタファーでよく語っています。雪の結晶はめちゃくちゃ綺麗ですが、あれを見た誰かに雪の結晶の設計図を書いてくれと言われても無理なんですよね。

実は単純な水分子の120度の結合を永遠に繰り返していくことによって、自然界ではああいう形になっているんです。コミュニティマネージャーも似ていて、コミュニティのメンバーとシンプルで反復可能な何かしらの行動を1つデザインする。それがある時にはカオスになったりもするし、あまりにも統一的なものにすると真っ白な平面になってしまう。ただある条件のとき、すごい見たこともないような造形ができあがる。

その現象を物理学の世界では「カオスの縁」と言うんですが、それを作っている感覚がいつもあります。自分は探求者的に探して試して、うまくいかないなと思いつつ、でも例えばちゃんと挨拶を毎日やっているコミュニティは結構うまくいくなとか。結構シンプルなことを大事にしています。

黒田:おっきな全体像を描くというよりは、細部にあるような反復可能な構造を見出して、それを強化していったり生み出していくことで、結果的に全体がフラクタルで綺麗な模様を描くようになるわけですね。

私の場合はメタファーをよく使って、ディスカッションの場作りをします。それもフラクタル的な構造があって、誰かから誰に話が振られていって、話題もそれで左右に振られていきつつ、スイングしながら最終地点にたどり着いていく。1人で考える時間とみんなで考える時間を交互にスイングすると素敵な結論にたどり着きやすいという法則があって、それは必ず場に織り込むようにしています。

今の加藤さんのお話は、グランドデザインというよりは部分をどう見るかという話だったと思います。関連して、人と人とのインタラクションについてはどうお考えでしょうか? コミュニケーションがコミュニティの中ですごく重要な役割を担っているとは思うんですが、それを生み出す方法や、こういうコミュニケーションが生まれてほしいとか、そのためのシンプルなルール作りについてはいかがでしょうか?

加藤:QWSもコミュニケーターというスタッフを置いていて、その育成とかもやっています。一応自分もプロコーチのスクールに行ったりもしましたし、コミュニケーションはすごく大事だと思っています。

重要なポイントは、ある種の舞台設定や役割と会話のスタイルですね。僕も初対面の人とパーティーで会話しろと言われるのは苦手です。でも、QWSのコミュニティにおいて、あなたはコミュニケーター、あなたは会員さんで、今日はオリエンテーションだというような舞台設計がされると、配役も決まっているし、めちゃくちゃコミュニケーションがしやすい。向こうもこの人はコミュニケーターだという認知の元に相談をしてくれて、問いを出してくれる。

QWSでは問いの前では皆平等というルールもあります。そういった舞台設定が決まるとめちゃくちゃコミュニケーションが取りやすくなります。そこのデザインをまずするというのは大事にしています。

その上で、コミュニティマネージャーは答えを持っているわけではない。コンサルタントではないので。基本的にはいかに会員さんの中にあるもの、やりたいことや内発的動機を汲み取って、フィードバックして、本人が前向きに進んでもらえるようにするかというところが大事だと思っています。

黒田:なるほど。その舞台設定や役割、その場を包み込むスタイルというのをすごく重視されているのが伝わってきました。一つ一つの対話の場もそうですし、コミュニティ全体においても同様に大事ということですね。

コミュニティを舞台とした時に、その舞台をどう設定するか、そこでの役割を設定するというのは非常に興味深い考え方です。今のお話を聞いていると、加藤さんは物事を複雑に見るというよりは、どちらかというとシンプルに捉えていくことで本質に迫っているような印象を受けました。

そんな加藤さんに聞いてみたいのですが、コミュニティというものを、もっと抽象化して一言で言うとしたら、どのように捉えていますか? コミュニティとは何かという言葉をお持ちでしょうか?

加藤:コミュニティとは何かというのは、BUFFの受講生がアンケートで答えなきゃいけない課題なんですよ。僕にとってのコミュニティとは、ある種弱い組織だと思っています。

黒田:弱い組織というのは、例えば軍隊のような強い組織の反対側にあるという意味ですか?

加藤:そうですね。逆に弱い組織だからこそ、みんなで面倒を見合うし、弱い人もいられる組織だと思います。弱い組織だからこそ、強い組織に勝てたりもする。そういう逆説性が面白いですよね。

黒田:確かに、弱いからこそ隙間があったりして、そのおかげでフラクタルなものが生まれやすいのかもしれません。舞台装置としていろんな人がいろんな見方をして参加しやすくなるというのもありそうです。弱さというのも重要な要素なんですね。加藤さんのステートメントの作り方も、言い切らないとか、過度に説明しきらないようにするとか、複数の解釈ができるようにするというのも弱さに関連しそうです。

加藤:そうですね。僕、ダブルミーニング好きなんですよ。トリプルミーニングとかも。みんな気づいてないだろうなみたいな言葉の選び方とか、分かる人には分かるだろうなみたいなのとかをデザインに織り込んだりします。実はこのスライドデザインの後ろにはこんな意味が隠れていますみたいな。

黒田:面白いですね。私もqutori(キュトリ)という社名に「Q」と「ゆとり」が隠れているのかなと勝手に妄想してました。

加藤:そうなんです。僕らゆとり世代ど真ん中なんで、ゆとりっていいなと思っているんです。余白とか。そこにクエスチョン、クオンタム、クエストなどの「Q」を入れて、面白い言葉を探していたらキュトリになった感じです。

黒田:なるほど、私も「Question」がすごく好きなので、いい名前だなと思っていました。最後に、加藤さんの最近や今後の活動で、特にこれからやりたいことや、リスナーの方に伝えたいことがあれば教えてください。

加藤:コミュニティマネージャーの学校『BUFF』は5年経って、卒業生も200人くらいになっているんですが、そろそろのれん分けしたいなと思っています。47都道府県それぞれでコミュニティマネージャーの教育プログラムがあって、その土地の課題をそこの人たちが解決していくようになったらいいなと。一緒にやれる47都道府県の皆さん、ぜひ連絡ください。とりあえず僕がタダで教えるんで。第1号は今、札幌にあります。

黒田:いいですね。地域で活躍しているコミュニティマネージャーの方は、ぜひ加藤さんに直接ご連絡を。ということで、今日は『BUFF』を運営する株式会社qutori代表、加藤翼さんにお話を伺いました。加藤さん、本日はどうもありがとうございました!

加藤:こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました。



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