見出し画像

【国連で働く人々】多様性と放任主義

講演を聞いてくれた学生さんの質問に回答するシリーズ

「国連で働かれている方には、どのような特徴を持っている方が多いですか?」

国連と一言で言っても事務局、各機関の本部(NYやジュネーブ等)、地域事務所、国事務所とあり、人道、開発、(平和維持や政治)ミッションでも違うので、なかなか難しいのだが、色々と傾向はある。僕が知っているのが主に紛争地の国事務所なので、そこの人たちを前提に話す。

まずアフリカの国事務所レベルでは、最近はインターナショナルスタッフでもアフリカ人が増えてきている。割と国事務所のトップがアフリカ出身のケースも多い。この傾向は人道機関より開発機関の方が顕著であると思う。ミッションや平和構築系の仕事では、元々紛争国のナショナルスタッフだったのが、別の国でインターナショナルスタッフとして登用されることは多い。フランス語圏アフリカではその傾向が顕著であると思う。フランス語を話せる人が限られている上に、フランス語圏は紛争国が多いからだ。僕もアフリカ仏語圏でナショナルスタッフだった同僚が別の国ではインターナショナルスタッフとして一緒に働くことになった人が何人もいる。

人道機関はやはり欧米人が多いが、それは歴史的にも欧米の支援が長かったし、お金も圧倒的に欧米から来てるのもあると思う。人道も開発もどこも多様性を意識しているようで、それなりに国籍を分散させ、ジェンダーバランスを保とうという意向はあるようだ。その反動なのか、人道機関で働いていた日本人女性が、マジョリティである白人男性から「君はアジア人で女性だから優遇されていいよね」と差別的発言を何度も受けたという話を聞いた。一方で開発機関では縁故主義的にアフリカ人の上司が同じ国のスタッフを雇いまくって使えないのに威張っている人がいて困るという話も聞く。まあそういうのに限っておっさんが多かったりするのだけど。

人道系やミッションはボランティアや若い欧米系のフィールドスタッフが多いので、週末はパーティーして夜通し踊っている人たちも多い。まあ欧米系の人は歳とっても踊るの好きで、おじさん、おばさんたちも夜中に踊りに行く人もいるので機関あんまり関係ないかもだけど。

ティンダーをやっている友人が任地でティンダー開いたら、会議やワークショップで良く会う人たちが次々と出てきてそっと閉じたっていう話も聞いた。今の僕の任地もそうだが、国によっては安全のため国連職員全員が同じコンパウンドの中に住んでいるところもあるので、そういうところでティンダーとかやったらどうなるんだろうというのはちょっと気になる笑。

あと、基本的には何らかの修士を取っている人が多いが、国事務所レベルだと、どこの大学を出たとかはあまり関係ない気もする。というか同僚や上司がどこの大学を出ているかなんて多分一人も知らないし自分がリクルートプロセスにかかわるときも大学名を気にしたことはない。

とにかくいろんな国の色んな年代の人たちがいてバラバラなので特徴というのは一言では難しい。僕のキャリアの中で上司がアフリカ人だった期間が7割くらい、女性だった期間も7割くらいだが、それぞれマネジメント方法もバラバラだった。ただ共通して言えるのは 1.基本的には放任主義、2.指示は具体的には出ないので自分で読み取る、3.メールの返信は重要でない限りあんまりない、4.突然休暇でいなくなる、などの傾向はある。これを聞くと悪いように聞こえるかもしれないが、まあ皆上の人は忙しいので、部下に割く時間はそんなにないということだと思う。そんなもんだと思えば、ある程度仕事の自由度もあるし、成果はその分認めてもくれるので、特に困るわけでもない。ただ、他の人の話を聞いていると、僕は比較的上司には恵まれている方だとは思う。辛かった上司もいたけど、誰もが経験する道で、そういう時は上司が去るのを待つか、別のポストを探すかがベストだとアドバイスされた。僕の場合は上司が先に去ってくれたので助かったが。

そんなわけで国連スタッフの話を深堀していくと、いくらでも書くことが出てくるので、今日はこの辺で。次は日本人スタッフの傾向について独断と偏見で書こうかな。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?