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打滷麺はやってない

以前住んでいた町の駅の近くに、人気の中華料理店があった。
天井が高く、清潔で、飾り気がなく、15名ぐらい座れる長いカウンターがメイン。
白い調理服を着た本場の男性が6名ぐらい、カウンターに背を向けて
テンポよくスピーディーに調理するのが気持ちよい店。
店員さんは無駄口を聞かない。


仕事帰りに1人で寄った時
ぼーっとしていて
「ルースー麺(肉絲麺)」
を頼むつもりが
他のお店でよく頼んでいた
「ダーロー麺(打滷麺)」
と言ってしまった。

その瞬間、
全員が動きを止めて一斉にこちらを振り返り
「ダーロー麺(打滷麺)?!」
って言ったのを
急に思い出した。

ちょっと焦って
「あ、ルースー麺だ」
と言い直すと
みんな、「ハイハイ、ルースー麺ね」という感じで調理に戻った。

後に、一斉に振り返った瞬間を思い出して、何回か笑った。

今はもう、その中華料理屋はない。


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