おなかガンジョウマル、最後の戦い

なんで世の男性はすぐに腹を壊すんだろう。食べなれないものを食べた時、ちょっと食べ過ぎた時、のみ過ぎた時。何度トイレに駆け込む旦那を見てきただろう。長男も割とその気があるし、周りのママにきいても「男の子はすぐ腹を壊す」といっている。

一方のCHOCOは、賞味期限が多少過ぎていようが、常温で半日放置していた誰かの食べさしの何かだとか、そういうのを食べても全く平気な質だ。

だから、余った食材や、期限が切れているもの、ちょっと落ちたものは自分で食べている。いやいやどころかむしろ積極的。ただの食いしん坊。

ただ、本能と見た目がヤバいと告げているモノそれだけは食べないようにしている。

さて、我が家にはいっちょ前にシンボルツリーというものがある。この家に越してきた時から植わっていたので、何の木なのだか把握していなかった。ちょうど今の時期に白い花を咲かせ(厳密にいうと白い部分は花ではなく総包片という葉っぱが変化したものだそうだが)その時に類似の画像やなんやを調べてその正体を知ることができた。

ヤマボウシ」ミズキ科の割と育てやすい種類の木だ。

昨年の秋、はじめて実をつけた。親指の先くらいの大きさでオレンジ色~赤のもやっとボールみたいな形の実。これは食べられるのだろうか?グーグル先生は「イケる」とおっしゃる。先生は絶対なのだ。

チャレンジャー魂と食欲がCHOCOを支配していく。

「ぱくり(ちゃんと洗ったし、半分に切ってにおいも嗅いだ)」

うん。あっさりと甘い。マンゴーに似ているとあったが、なるほど確かにその通り。でもなんだか、本能がやばいと告げている気がする。半分を食べたところでやめることにした。

その日の夜。猛烈に腹がいたい。何か他の理由から来ているのかもしれないが、自分以外の家人はケロリとしているので夕飯が原因ではなさそうだ。夕飯が原因でCHOCOがこれだけ七転八倒しているのだとすれば、男子どもはとうに死んでいる。

冷や汗をかきまくり、「トイレとお友達」どころかソウルメイトになること十数回。てんやわんやが落ち着いたのは夜中だったと記憶している。おなかガンジョウマル初敗北の瞬間だ。

敗因は何か。「まだ早かった?」「肥料が影響した?」「体質的に合わなかった?」3つほど頭をよぎったが、昨日の今日でもう1度チャレンジする勇気がどうしても出なかった。

「食べられず 落下していく ヤマボウシ」悲しみの俳句の一つも詠みたくなる。いやちょっと待てと。落下していく…?自然界の中で「美味い」に分類されているヤマボウシの実。これを鳥たちが食べずにいる…?

こいつ、何かいけない感じのアレだったんだな?貴様!!謀ったな(完全に食いしん坊の自業自得案件)!?

ガチの野生の本能にはかなわない。これを機に、おなかガンジョウマルは冒険をやめ、ひっそりと山で暮らすことにした。

2019年初夏。今年もヤマボウシが白い花を咲かせている。この中のいくつかはうまく結実し、秋には赤い顔をのぞかせてくれるだろう。もうバカはやらない。CHOCOは学んだのだ。

「野鳥が食べたら自分も食う」

ー最後の戦いが今、始まろうとしているー


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