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6月15日(月)*2歳4ヶ月―ムスメ、やさしいおせっかいをする

ムスメが「おでかけしたい」というので、バスに乗って隣町まで出ることに。
バス停で待っていたら、すぐに目的のバスがきたものの、なんとドアも開いてもらえないまま素通りされてしまった。
見えなかったのか、それとも急いでいたのか……。
実はバス停で待っているのに、目の前をバスが通り過ぎてしまうのは、これでもう三回目。
存在感が、薄いのかしら。

次のバスまで20分。
子どもとふたりで過ごす20分の待ち時間って、とてつもなく長いのよね。

ぷりぷり怒ってもしょうがないので、ベンチにすわってムスメとおやつを食べることに。
ふたりで並んでおやつを頬張っていると、杖をついたおじいさんがやってきた。

「バス、いま行ったばかりですよ」
と、声をかけるわたし。
「予定時刻はまだ2分も先なのに、せっかちなバスだな」
と、不機嫌なおじいさん。
「おじいちゃん、おこってる?」
と、不思議そうなムスメ。

おじいさんに席をゆずって、ムスメとおじいさんが並ぶ。
「いくつだい」
「にさいに、なりました」
ぎこちない指先で、かろうじて二本指を立てるムスメ。

おじいさんとムスメはしばらくおしゃべり。
「よくしゃべるおりこうさんだねえ」
すっかりなついてしまったムスメは、おじいさんにニコニコ。
早く、幼稚園に行きたいんです!と、うれしそうにしゃべっていた。

10分ほど話したところで、「バスが来ないか少し見てくるよ」とおじいさんはバス停から少し離れたところへ。
おじいさんもせっかちだなぁと思っていた矢先、予定よりもずいぶんと早くバスがやってきてしまった。

杖をつきながらなんとか走るものの、赤信号につかまってしまったおじいさん。
あぁ、どうみても間に合わない。
急いでいるひとがいるかもしれないし、バスに待ってあげてくれというのはルール違反だろうか。
けれど、おじいさんだってせっかく待っていたのに。
あぁ、どうする、どうしよう。

口をひらいたのは、ムスメのほうだった。

「あのおじいちゃんが、バスにのるっていってて!」
「でも、バスがこないなってみにいっちゃって……」
「おじいちゃんのるんです、バス、のるんです…」

ムスメ、目に涙を浮かべて、運転手さんに涙の訴え。

「あのおじいさんバス来ないか見に行っちゃって、たぶん乗ると思います」と、つづいてわたし。
時計を見ながら「まだ大丈夫ですよ、待ってましょうか」と運転手さん。
息を切らせてやってきたおじいさん、無事乗車。

「おじいちゃん、のれてよかったね!」とムスメ。
「ありがとうね」とおじいさん。わたしも、ほっとした。


大人になると余計なことばかりを考えてしまって、ひとに親切にすることをためらってしまうことがある。
「困っているひとがいたら、助けてあげよう」
席を譲ることを教えるためにそういったのはわたしだったはずなのに、教えられたのはわたしのほうだった。
ありがとう、ムスメ。
どうかこれからも、やさしいおせっかいができる子に育っていってくれますように。

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