これまで作った同人誌の装丁の話
こんにちは。これまでのエントリーでは小説同人誌の作り方、入稿の仕方などを説明してきましたが、そういえばこの人はどんな本作っているの? ということを説明していませんでした。大した本は作っていませんが…あまり知識のない文字書きでもノリでできる装丁の工夫を加えて作ってきましたので、今日はそのご説明をしたいなと思います。
目指していたのは「あんまり知識のない文字書きでもノリで出来る洒落乙同人誌」です。ではご紹介いたします。お付き合いください!↓
1冊目:カバー&紙しおりノベルティ
さすが本文オフセット。以降作った本は値段の関係でオンデマンドが多いのですが、圧・倒・的に読みやすいです!
なによりカバー付きはその溢れ出る市販っぽさがいい。
そしてせっかくカバー付きにしたからにはハガ〇ンの単行本のように、カバー下におまけがついていたら「Web小説にはない本を買う良さ 」みたいな楽しさがあるかと思って小話を収録しました。
ちなみにこのセットのオプションでしおりが作れたのでこちらも作りました。(イラストは仲良くさせていただいている絵師さんに依頼しました)
2冊目:タイトル箔押し+帯
物語の中身がきらきらしていたので表紙もキラキラさせたい…!ということで、初箔押しにチャレンジ。
STARBOOKSさんは箔の種類が選びきれないほどあり(金だけでも10種類以上)、一番スタンダードな金にしました。
本文用紙は新シェルリンN_プレーン_180Kという、これまた美しい紙。
新シェルリンN_プレーンは、白に映え、キメの細かい美しい光沢が印象的です。ただ色を乗せた部分に関しては思ったより光沢が目立たなくなるので、白を基調としたデザインの時に使用するのがいいのかな?と個人的には思います。
また、小ネタですが本文左上のヘッダーは物語の中の日付にしてみました。読者もページをめくるごとに物語の登場人物と同じ季節に移り変わっていくイメージです。
【帯について】
今回は美しい金のタイトル、美しい紙を使っていたのでイラストではなく、余白を生かせるよう帯をつけることにしました。
プリンパさんのHPからテンプレートをダウンロード。元のテンプレートが背幅5mmだったので、実は背幅は1cm近くあったので、とりあえずテンプレートの背幅を倍にして作りました。色は全てK100%一色!(印刷色は白に指定)
見づらいですが実際作った帯のデータ↓
こちらが実際にできた帯です。それぞれの幅も測ってみました。
オプションで片側を印刷所が折ってくれるサービスもありましたが、今回は表紙にお金をかけ過ぎていることもあり、自分で折ることに。手先がぶきっちょなのでまぁ大変でした(笑)
デザインはそんなに凝ってないものだったので助かりましたが、こうしてみると折り込み部分は前後で1cm違う…! 適当なデザインで助かりました…
3冊目:絵描きさんに表紙制作を依頼
装丁とは少し違いますが、絵師様(仲良くさせていただいてた相互フォローワーさん)に初めて表紙をお願いしました。私のわがままを快く聞いてくださって、ありがたい限りでした…。
依頼時は、絵師さんに先に本文をすべて読んでいただいてから以下の要望をお伝えしました。
・主人公の男女は二人とも入れて欲しい
・幸せそうに二人とも微笑んでいるまたは女子が片想いっぽい感じ
・「いのち」と題名にあるので、明るい色(黄色や黄緑?自分で表紙を作るとしたら植物の萌芽をイメージして素材を買う予定でした)を基調としていただけると嬉しいです!
ということをスカイプでお打ち合わせさせていたあと、3枚のラフ画が届き、表紙が出来上がっていきました。感動で泣きそうでした。
実際できた本はこちら!
かな〜〜りマイナーカプでしたが、表紙のおかげでたくさん手にとっていただけました。描いてくださった絵師様には本当に感謝感謝です!
4冊目:絵描きさんに表紙+挿絵を依頼
今回は表紙のみならず、挿絵にもご協力いただきました。
ということで、今回は文章だけではなく絵も見せる本というわけです!そのために、いつも本文はクリーム色の淡クリームキンマリという紙を使っていましたが、白の上質紙にしました。
ひとつ前の本の反省として、すごく素敵な表紙を描いていただいたのに文庫本サイズだと小さかったな…という印象がぬぐい切れず、次は絵が見やすいようにこれまでの文庫本より少し大きめにしたいけれど、しかし2段組にはしたくない…ということで、以下の記事の「文庫サイズとA5サイズのいいとこ取り」という「B6」という大きさにしました。
すべて左ページに挿絵を入れられるように調整。
たくさんわがままを言ってしまい、ご協力いただいた絵師さんは大変だったかと思います…(すみません~!)しかしながら、こうして誰かと協力して素晴らしい一冊ができたと思うと、やってよかったと思える最高の本となりました!
ちなみに、夜をイメージした表紙をお願いしていたので、青が綺麗に出ると噂のあかつき印刷さんの「カレイドカラー」印刷にしてみたかったのであかつき印刷さんにお願いしたのですが、オンデマンドでは引き受けていないといわれて断念しました……
【再版時】
表紙&挿絵のおかげさまで好評だったので再版しましたが、白上質の本文用紙はやり文章が少し読みづらい印象でしたので、再版分は淡クリームキンマリに変更しました。だいぶ読みやすくなって、挿絵、文章共に見やすい本となったと思います◎
5冊目:なんちゃってフルカラー絵本
外国の絵本のような挿絵付きの小説本を作りたい! という気持ちで考えた一冊。そのため、なんと横書き・挿入写真付き・フルカラーという属性モリモリな仕様にしました。
横書きの小説ってまるで携帯小説の書籍化みたいで少し時代にそぐわないのでは…?と不安になりましたが、結果的には、その場面場面に合ったおしゃれな写真を挿入することにためらいがなく、かなり好きな仕上がりとなりました。
小説を書くとき、作者的には「今は朝で、周りの雰囲気は少し白くて、植物は生き生きしていて…」みたいな情景があると思うんですが、それを文章ですべて表現するのは難しい。その補助として自分のイメージに合った写真が挿入できるというのは本当に楽しい作業でした。
しかもフルカラーですので背景色も好きに変えられます…!
夜のシーンは濃紺にするなど場面に合わせたページ作りが逐一できて本当に楽しかった一冊。本物の絵本のようにハードカバーにはできませんでしたが、フルカラーにするだけで創作の幅が大きく広がりました!
フルカラーで50ページ近くあったので、費用的にできるのか…と不安でしたが、ちょ古っ都印刷さんは本当に良心的なお値段で部数も1部単位で刷ることができて助かりました。全ページカラーの人、ちょこっとさんおすすめですよ!!!(大声)入稿もわかりやすくてよかったです。
6冊目:ベルベットPP加工
今回のポイントはPP加工であるベルベットPPのみ。ただ、このベルベットPPというのがやっている印刷所が少ない&やっていてもかなり高いという曲者なのです。
今回のタイトルにチョコレートと入っているので、チョコレートのようにしっとりとした触り心地のベルベットPPにしたい!とずっと思っていたのですが、そもそも印刷費が嵩んでいる100P以上の文庫本にベルベットPPまでつけるとものっすごい金額になってしまう…と悩んでいたところ見つけたのが、コミックモールさんのベルベットPP無料加工フェアでした。
コミックモールさんは結構入稿の仕方が特殊でしたが、慣れている方にとっては破格のお値段でベルベットPPの良さが味わえます…!
しかもこの期間限定と銘打ってあるフェア、なぜかいつまでも期限延長しています笑(2023年9月現在まだやってました。本を発行したのは2021年7月)誰かこの不思議に気づいて…笑
7冊目:紐しおり
今回はWeb再録で350ページもあったため、市販本によくついている憧れの紐しおり加工をしました!
唯一といえるほど少ないオンデマンドで紐しおりを付けてくれるあかつき印刷さんに依頼。他はオフセットでないとできないなど制約が多くてですね…費用が…費用があばば
遊び紙と表紙の間に紐を差し込む加工らしく、遊び紙も選んでくれと言われ、適当に美味しそうな名前の「サーモン」という遊び紙にしました。表紙の緑と絶妙に合わない(わぁ)。
8冊目:印刷所にすべてお任せ
この本を制作しているとき、実は並行してWebイベントの主催もやっておりまして、ぶっちゃけ本の表紙をデザインしている余裕がなかったのです。
ちなみにイベントにつきましては詳しくは主催者向けpictSQUAREレポートではありますが、以下の記事に記しておりますのでよろしければ…↓
そこでフォロワーさんに以前教えていただた本の装丁、表紙デザインもすべてをお任せするというぶっとびメニュー、プリントオンさんの「わくわくドキドキデザインセット」に頼ることにしました。
・作品のあらすじ・イメージ色や作中に出てくるキーアイテムをこちらが伝えてデザイナーさんが表紙デザインを作ってくださる
・表紙に使って欲しい画像アイテムを提出できる
・それらを勘案し、紙や加工などの装丁も決めてくれる
というものです。冒険しすぎなメニューだなおったまげ。
でもこの時は「あかん💦忙しすぎて苦手な表紙作業なんてやってられん!(;´∀`)💦💦」という感じだったので、ほんと~~に助かりました。
どうしてもシンプルな筆記体っぽいタイトルにしたかったので、タイトルロゴだけはこちらで作って提出。
ちなみに表紙に出して欲しくないNGアイテムなども指定できます。今回は雨が主題の本だったのですが、作中虹は出てこないので、安易に虹を表紙に入れて欲しくないですとお伝えしておきました。
そして出てきた表紙がこちら。
表紙には水滴(雨の表現)→からの裏表紙にはうっすらと日の光が差すという、「きっと晴れる」というタイトルを表裏表紙で表現してくださっていました…!神。控えめに言って神。
タイトルはエンボスニスというエナメル質っぽい加工がされていました。これもわくわくドキドキデザインセットの恩恵で、こちらからは特に指定できないので完全ランダムです。
表紙デザイン+エンボスニス加工までされて…本当におしゃれな本になったと思います。
値段は少し嵩みますが、表紙デザインに悩まれている方には本当にお勧めできるメニューでした!
9冊目:特殊表紙用紙+箔押し
STARBOOKSさんの紙見本で見つけてからずっと使いたかった紙「ミランダ黒」をセレクトしました。本当にラメがきらきら✨していて美しい紙なんです…!
STARBOOKSさんの紙見本で見てからずっと使いたいと思っていた紙。ようやく星を主題にした作品を作る機運が巡ってきて使うことができました。
STARBOOKSさんの紙見本はこちらから請求できます。なんと、くそ大ボリューム紙見本が送料込みで無料…!!!!
この紙を使うときはタイトルは箔押しじゃないと紙負けしそうだな〜と思い、久々にタイトルロゴを箔押しに。せっかくなので星も光らせてみました。
+α 今回は黒インクでは文字がつぶれてしまうので、箔以外の印刷は全てシルバーインクを使ってみました。線が細すぎてちょっとかすれてますが、そこまでは気にならない印象。
満足も満足。今までで一番美しい本となりました。
ただ、紙の良さを活かしたくてPP加工しませんでしたが、強度は少し不安…手持ちの見本は念のため100均のカバーをかけて保存しています。
総評
最初は本当に同人誌なんてどうやって作ればいいかわからないところからスタートして、いろんな見本やnoteなどで得たノウハウを活かし、やれること・やりたいことも増えて脳汁出まくりの楽しい同人制作ライフを送ることができました。
ちなみに、これから同人誌を作る初心者様に向けて、個人的に初心者の方が取り組みやすい装丁ベスト3を考えてみました。
↑ワンポイント箔を推しているポプルスさん
番外編として、加工ではありませんがタイトルロゴで遊ぶのも楽しいです。タイトルロゴが気合入っていると箔押しにした時もるんるんになりますしね!
きっと装丁に凝っている方はもっともっと素晴らしい装丁をされていることでしょう…。しかしながら、デザイン不得意、お絵かきできない、そもそもお絵かきソフトに課金もしていない…そんなしがない文字書きサークルの私ができるのはこれが精一杯です。
でもこのレベルだからこそ、心から表現したい二次創作のために試行錯誤でき、かつ完成した時の喜びはひとしおでした。
この記事が少しでも読んでくださった方の同人制作ライフの一助となれることを祈っております!
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
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